SUBARU Lab Development Story 2 コネクト時代の幕開けを告げた「SUBAROAD」 第2話 「SUBAROAD」誕生に不可欠だった
エンジニア×体験のアジャイル開発

オープンイノベーションによる多彩なプロフェッショナル達との協業

SUBAROAD

SUBAROAD(スバロード)とは、SUBARUオーナー向けに開発された最短ルートを案内しない、スマホ用ドライブアプリ。走りがいのある道や、新しい発見に出会えるルートを案内する。コネクティッドカーを見据えた新価値創出の第一弾の取り組みとして、2021年12月にリリース。

SUBARU LABメンバーの小川 秀樹、水谷 拓樹、藤原 崇之が並んでいる

2016年、パリのモーターショーで登場したCASE(Connected/Autonomous/Shared & Service/Electrification)という概念を機に、世界のモビリティを取り巻く考え方が大きく転換。日本では2017年に経済産業省がConnected Industriesを提唱し「つながる」ことによる新たな価値創出への動きが加速。SUBARUは2019年、SUBARU Digital Innovation Labを始動し、第一弾プロジェクトとしてドライブナビアプリ「SUBAROAD」を生み出した。その誕生の舞台裏から、SUBARUが見つめるコネクティッドな未来までを見渡す開発ストーリー。

  • 小川 秀樹

    映像系スタートアップを経て、2009年よりSUBARUへ。データエンジニアとして業務管理基幹システムの開発などに従事した後、デジタルイノベーション推進部にてSUBAROADを立ち上げ。CBPM新サービスデザイン兼 技術本部AIS PGM主査。

    小川 秀樹
  • 水谷 拓樹

    IT関連企業でデジタルマーケティング分野を担当。2024年よりSUBARU国内営業本部ビジネスイノベーション部に着任。販売店のシステム活用支援やCRMを推進するとともに、SUBAROADとマイスバルを含めたオーナー向けアプリのPMを担う。

    水谷 拓樹
  • 藤原 崇之

    2020年、新卒でSUBARUに入社。SUBAROADプロジェクトにアサインされ、立ち上げからローンチ、リリース後のサービス拡張やユーザーの拡大を牽引。現在、国内営業本部ビジネスイノベーション部でSUBAROADを担当。

    藤原 崇之

「エンジニアと企画屋がセットじゃないと、体験を実装していけない」

──SUBARUらしさを突き詰めると浮き彫りになる「走る愉しさ」

小川

クルマを買うときって、昔は何度も販売店に足を運んだと思うんですけど、購入時の販売店への平均来店数が2000年には7.5回、2015年には1.5回というデータがあるんです。一方で、クルマの使用年数は長くなっている。つまり販売店でもお客様との接点ってすごく減っているんですね。でもCASEによってお客様がクルマで常に接続できる世界になると、アフターセールス領域でも接点をもっていける。そこを狙ってSUBAROADはお客様とつながろう、と考えていきました。

SUBARUオーナーさんの声のなかに「わざとナビから外れて走ったりする」「もっと運転したいから遠回りしてる」「ドライブ自体が楽しい」という声があって、そこなんじゃないかと。調べてみると「エンゲージメントの高いお客様は走行距離が長い」というデータも出てきて、やはりSUBARUは「走る愉しさ」でお客様にコネクトしていこうと、SUBAROADの構想が形になっていったというわけです。

藤原

僕は入社と同時にSUBAROADにアサインされました。2020年なので、立ち上がってから1年くらいだったわけですが、そのときにはもうアプリはある程度の形になっていました。

小川

ちょうどコロナの時期だったから、藤原さんともしばらくは画面越しでしか会えなかったんだよね。プロジェクトとしては、アルファ版・ベータ版という2つのプロトタイプを試作して、いろんなアイデアを検証していた頃です。

藤原

はい。スタートとゴールが決まっていて、走行中に音声ARを提供するというベータ版が出来上がっていました。初めてSUBAROADの案内で走ったときは、走る愉しさと旅行気分のようなワクワクがあり、すごく新鮮だったことを覚えています。

小川

そこまで行き着くのに結構大変で、「こういう体験を盛り込みたい!」って描くことはできても、その体験を設計して、さらにそれをシステムに落とし込むのがすごく難しかったんです。試行錯誤を繰り返していましたね。カーナビで高速道路優先とかが選べるように、SUBAROADらしく「走りがいの強度」を設定できるパラメーターにも挑戦していたんですが、技術的な難しさもあって実装には至らず。SUBAROADが全然違う道を案内しちゃって、目の前にある渋谷の高速ランプに全然入れなくて、ぐるぐるこの辺りを走り回っていたこともありました(苦笑)。

それでも結果的に体験を形にしていけたのは、エンジニア(開発)と企画屋さん(体験/デザイン)がセットになってアジャイル開発できたからです。SUBAROADみたいに体験を価値にしていこうとするとき、開発と体験デザインってセットじゃないと難しいと思います。例えば、原理モデルみたいなものを作っていくときって、それこそコードを書きながら体験をデザインするし、体験設計側はエンジニアリングをします。何度も行ったり来たりしないと実現していけないんです。もちろんクルマも走らせますし。開発と体験・検証の近さは、今のSUBARU Labにも共通することだと思います。

「バックエンドのクラウドはAWS、コース作りのためのコンパニオンアプリも製作」

──オープンイノベーションで多彩なパートナーと協業

小川

SDIラボでSUBAROADを担当したのは僕を含めて数人のみ。オープンイノベーションを掲げていたので、いろんなパートナーさんとコラボレーションしながら作っていきました。デザインで参画してもらったバスキュールさんとはかなり密に社内のメンバーのような距離感でやっていました。

ほかにも地図のナビエンジンはmapbox、音楽コンテンツはAWA、ルート作成はNightleyといった感じで。バックエンドのクラウドにはAWSを使いました。サーバーレスでもなくAmazonのEC2のクラウド上で構築・運用。コンパニオンアプリとして「SUBAROADメーカー」というのも作って、コースコンテンツ作りができる環境も整えていきました。

藤原

パートナーさんとの協業はローンチ後も増えていて、音声ARではTBSラジオさん、コースのある地域の自治体さんとの連携。オープンプラットフォームで最近ではAppleのCarPlayに対応しました。

「離れたところに点を打つようなゼロイチをやる時ほど、多様なメンバーと場が必要になる」

──定例会ではなく常態的な場のちから

小川

SUBAROADを生み出す土壌となったSDIラボには、商品企画部門、営業部門、技術部門、IT部門など、社内のいろんな部門から人が集まっていました。プロダクト開発、マーケティング、データサイエンスなどさまざまなバックグラウンドを持ったメンバーで構成されていたのが、すごくよかった。新しいものが作られる時というのは、ひとつの視点だけでやっていくと、どうしてもその延長線上に収まってしまう。離れたところに点を打ちたい、新しいものをゼロイチで作りたいっていう時に、部署や部門は関係ありません。

逆に必要なのは物理的な「場」。常態的に一緒にいるような環境、いつでも対話できる、集まっている場が機能してきます。テーマを掲げて会議室とってそこに定期的に集まろう、というのとはやっぱり違うんです。

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