主要な事業等のリスク

 当社グループの経営成績および財務状況、キャッシュ・フローなどに数百億円以上の大きな影響を与え、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事業等のリスクと対応策は以下の通りです。
 なお、文中の将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、当社グループに関するすべてのリスクを列挙したものではありません。

経済・金融環境の変動に関連するリスク

(1)主要市場の経済動向

<リスク>
 当社グループの主要な市場である国・地域の経済情勢は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に売上収益の約8割を占める北米における景気の後退や需要の減少、価格競争の激化が進んだ場合、当社グループの提供する商品・サービスの売上収益や収益性に大きく影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは、主要市場における経済情勢や需要動向を継続的にモニタリングし、市場環境の変化に応じて生産や販売計画を柔軟に調整することで、景気後退や需要減少の影響を緩和することを目指しています。また、価格競争の激化に対応するため、商品・サービスの競争力向上や原価低減等に取り組むことで、収益性の確保に努めています。

(2)為替の変動

<リスク>
 当社グループにおいて北米売上収益は約8割を占め、売上収益、営業利益、資産等のなかには、米ドルを中心とした現地通貨建ての項目が含まれており、連結財務諸表作成時に円換算しています。通期の業績見通しなどにおいて想定した為替レートに対し、実際の決算換算時の為替レートに乖離が生じた場合、主に円高局面では当社グループの売上収益と財務状況はマイナスに作用し、円安局面ではプラスに作用する可能性があります。

<対応策>
 為替リスクを最小限にすべく、主要販売市場である日米で生産を行っています。また日本において発生する現地通貨建ての売上収益について状況に応じて為替予約などによるヘッジを実施しています。

(3)金融市場の変動

<リスク>
 当社グループは主として日本国内で日本円建ての資金調達を行っており、国内金利の上昇局面においては、資金調達コストの増加を通じて業績にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ金融環境の混乱により必要とする金額の調達が困難となった場合、当社グループの財政状態や成長戦略の実行にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 複数の金融機関や手法による長期固定金利を主とした資金調達、返済期日の分散、十分なコミットメントライン契約の締結、また一定額の現金および現金同等物残高の確保を行い、金利上昇と流動性リスクを低減する取り組みを行っています。

(4)原材料価格の変動

<リスク>
 当社グループは、原材料を多数のお取引先様から調達していますが、特定の原材料およびお取引先様に依存している場合があります。このため、地政学リスク、需給逼迫、環境規制等に起因する原材料価格、物流費、エネルギー価格の高騰や人件費の上昇等によるコスト増加の可能性があります。また、米国の関税政策により、米国生産拠点において現地生産車向けに一部の国から輸入する部品の調達コストが増加する影響があります。加えて、地政学リスクにおいては中東情勢の悪化等を背景とした原油価格の高騰をはじめとするエネルギー価格や原材料価格の上昇により、部品・原材料調達コストや物流費等が増加する可能性があります。原価改善努力や製品価格への転嫁等によっても当該影響を吸収しきれない場合には、当社グループの経営成績や財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは、原材料調達における持続的な競争力を確保するために、お取引先様との共存共栄に根差した生産性改善や品質改善に取り組んでいます。米国の関税政策による調達コスト増加の影響に対しては、原材料や部品調達の状況を注視するとともに、お取引先様と一体となり最適な調達を行うことで引き続き原価改善を図っていきます。また、特定の原材料や部材への依存による需給変動リスクを低減するため、依存度の低い材料・部品構成への転換や代替技術の開発を取り組んでいます。あわせて、複数調達先の確保やサプライチェーンの可視化、取引先との連携強化等を通じて、調達リスクの分散および安定化を図っています。今後も、技術開発および調達戦略の両面から対応を継続的に実施し、需給環境の変化が当社グループの事業活動に与える影響の最小化に努めてまいります。加えて、中東情勢の悪化等を背景とした原油価格をはじめとする原材料価格の変動リスクに対し、調達先の分散、長期的な取引関係の構築、在庫水準の適切な管理等により、安定的な調達体制の構築に努めています。また、原価改善活動の推進や、必要に応じた製品価格への転嫁を通じて、事業への影響の低減を図っています。

業界および事業活動に関連するリスク

(5)特定の事業および市場への集中

<リスク>
 当社グループは、主に自動車と航空宇宙の2つの事業により構成され、“お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指し、選択と集中を進め、限られた経営資源を最大限活用することで高収益なビジネスモデルを展開しています。自動車事業の売上収益が9割以上を占め、販売市場は主に北米を中心とした先進国です。主要生産拠点は国内の群馬製作所および米国のスバル オブ インディアナ オートモーティブ インク(SIA)の2拠点となり、SUV(多目的スポーツ車)を中心に生産と販売を行っています。このような事業構造から、自動車事業における需要や市況、同業他社との価格競争などが想定を上回る水準で推移した場合や、北米地域の政策・通商動向の変化などの影響を受けやすい側面があります。とりわけ、関税政策が変更された場合には、日本から米国販売子会社へ輸出する完成車や、米国生産拠点において海外から調達する一部部品に追加関税が課される可能性があり、コストの上昇を通じて影響を受ける可能性があります。これらの要因により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは、需要や市況の変動に備えるため、主要市場の需給動向を継続的にモニタリングし、生産・販売計画を機動的に見直すことで収益性の維持を図っています。あわせて、価格競争の激化に対応するため、商品ラインアップの競争力強化やコスト構造の見直しを進めるとともに、限られた経営資源の重点配分により収益性の向上を追求します。需要動向に応じた柔軟な生産調整および稼働の最適化を通じて稼働率の向上を図り、事業への影響の最小化を目指します。また、北米市場における政策・通商動向の変化については、関係部門が連携して情報収集と影響分析を継続し、生産・調達・販売面で必要な対応策を検討することで、耐性向上に努めています。

(6)市場における需要・競争環境の変化

<リスク>
 当社グループの主力事業である自動車業界は大きな環境変化を迎えています。モビリティサービスの普及に伴う異業種からの参入や環境対応に伴う電動化へのシフト、シェアリングや自動運転普及に伴う移動手段の多様化などにより、お客様の価値観や嗜好ニーズは一層多様化しています。このような非連続かつ急速な事業環境の変化に対し、当社グループがお客様のニーズを的確に捉えられず、新型車や新商品の販売が計画に達しない場合、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは2023年の経営体制刷新以降、「モノづくり革新」と「価値づくり」の2つに強い決意をもって取り組んでいます。2024年4月には、全社組織の横断機能の強化および執行責任の明確化を目的として、自動車事業におけるCXO(Chief X Officer)※1体制の拡充等の組織改革を実施しました。さらに、2025年4月には、新たに2つのCXO※2の設置や組織改編(カスタマーファースト推進本部の新設および営業部門の再編)を行い、核心的重点テーマへの取り組みのスピードアップと全体最適化の実現に取り組んでいます。また、2025年11月に公表した「SUBARU 2025方針」では、「モノづくり革新」を加速させ、今まで以上に多様な市場およびお客様ニーズに応えられるよう、次世代技術を核とした商品開発を進め、商品ラインアップを大幅に拡充していく考えを示しました。このように、常に市場環境や需要動向を捉え、お客様ニーズに基づく商品企画を行い、適切なタイミングと価格で新商品を開発・製造し、市場に導入することに努めています。

※1:
CMzO(最高モノづくり責任者)、CBBO(最高バッテリービジネス責任者)、CDCO(最高デジタルカー責任者)、CCBO(最高コネクトビジネス責任者)、CCIO(最高コスト改革責任者)
※2:
CLO(最高物流責任者)、CHRO(最高人財責任者)

(7)商品ならびに販売・サービスに関する責任

<リスク>
 大規模なリコールなどが起こった場合、多額のコストとして品質関連費用などが発生することに加え、ブランドイメージの毀損などにより、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは、品質方針を以下のとおり定め、品質の高さをSUBARUブランドの重要な根幹であり、付加価値の源泉であると位置づけています。

(品質方針)
私たちは何より品質を大切にしてお客様の信頼に応えます

  1. お客様に安心して長くお使いいただける商品をお届けします
  2. お客様の声に常に耳を傾け、商品とサービスに活かします
  3. 法令・社会規範・社内規則を遵守し、お客様に信頼される仕事をします

 2018年以降は「品質改革」に取り組み、生まれの品質を中心に着実な成果を上げています。
 今後も「品質改革」を加速させるとともに、電動化などの新技術への対応を含め、開発最上流から生産、物流、アフターサービスに至る様々な接点においてお客様に価値を感じていただける品質の確保に取り組んでいきます。
 そのため、厳格な完成検査体制を維持し、確かな品質で商品をお届けするとともに、万が一不具合が発生した場合には、お客様への影響の最小化と迅速な解決を最優先とした業務プロセスの改革に取り組みます。
 さらに、従業員全員に対し、「品質」は商品にとどまらず、販売・サービスを含め、ご購入後も長期にわたり価値として感じていただくものであるとの認識の浸透を図り、品質最優先の意識を一層高めていきます。

(8)サプライチェーンの分断

<リスク>
 当社グループは、国内外の多数のお取引先様から部品や材料を調達しています。近年、中東情勢等の地政学的リスクの高まり、各国における通商政策や規制の変更、資源・エネルギー価格の変動、重要部品の供給制約、労働力不足による物流制約、ならびにサイバー攻撃の増加などにより、サプライチェーンを取り巻く環境の不確実性は一層高まっています。
 これらに加え、大規模な地震や台風等の自然災害、工場火災、感染症の流行等により、サプライチェーンの分断、需給のひっ迫、物流網の混乱が発生した場合、安定したコスト・納期・品質での調達の維持や商品の出荷が困難となり、当社グループの生産活動、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは、部品および材料の安定調達を維持するため、定期的に取引先の品質保証体制や供給能力の確認を行うとともに、必要に応じて経営状況の把握を行うなど、調達リスクの低減に努めています。また、調達先の分散や代替調達の検討、適正在庫の確保などを通じて、供給途絶リスクへの対応力強化を進めています。これにより、影響を受ける可能性のある取引先や部品を早期に特定し、生産継続に必要な在庫水準の確認、代替品の調達・生産検討、さらには生産設備の復旧支援等を行うことで、サプライチェーン分断による影響の最小化に努めています。
 物流面においては、2025年4月よりCLO(Chief Logistics Officer:最高物流責任者)ならびに物流本部を設置し、物流全体を俯瞰した統合的な管理体制を構築しています。これにより、ドライバー不足や輸送制約等の環境変化に対しより迅速かつ柔軟に対応するとともに、法令遵守への対応も強化し、安全で効率的な物流の実現に向けた取り組みを推進しています。

(9)知的財産の侵害

<リスク>
 当社グループは、製品やサービスを通じてお客様に「安心と愉しさ」という価値をお届けするために必要な技術・ノウハウなどを知的財産として保護し、SUBARUのブランド価値の維持・向上に努めています。第三者が当社グループの知的財産を不当に使用した類似製品を製造した場合や、知的財産に関わる訴訟などが生じて当社に不利な判断がなされた場合には、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは、事業戦略および研究開発戦略と連動した知的財産戦略を策定し、競争力の源泉となる技術やブランドの権利化・ノウハウ化を推進するとともに、知的財産ポートフォリオの適切な管理を行っています。また、商品開発においては、第三者の知的財産権を尊重し、開発段階から調査・クリアランスを実施することで、権利侵害リスクの低減に努めています。必要に応じて設計変更やライセンス取得等を行い、事業への影響の最小化を図っています。さらに、模倣品・侵害品への対応として、国内外における市場監視を行い、侵害者への警告、行政機関等への差止めや摘発の要請、オンライン上での出品削除要請などを通じて、ブランド保護およびお客様の安全確保に取り組んでいます。加えて、知的財産に関するリスク対応力の向上を目的として、知的財産教育を継続的に実施するとともに、外部専門家とも連携した体制を構築し、知的財産に関わるリスクの予防および紛争対応の強化を図っています。

(10)サイバーセキュリティ

<リスク>
 当社グループは、製品の開発・生産・販売等の事業活動において、情報技術、ネットワーク、各種情報システムを広範に利用しているほか、製品には電子部品を搭載し、ソフトウェアによる制御を行っています。近年、サイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、標的型攻撃、ランサムウェア、不正アクセス、サプライチェーンを経由した攻撃等のリスクが継続的に増大しています。また、当社グループにおいても業務効率化や付加価値創出を目的として生成AIを含む先端技術の活用が進む一方で、意図しない情報の外部流出、機密情報や個人情報の不適切な取り扱い、誤った出力結果の業務利用による判断ミスや品質低下、第三者の知的財産権侵害、法令・契約違反、ならびに社会的信用やブランド価値の毀損といった、生成AIの利用に伴う新たなリスク発生の懸念も高まっています。さらに、生成AIを悪用した高度なフィッシング詐欺やなりすまし、不正アクセス等のサイバー攻撃が発生する可能性も高まっています。これらに加え、マルウェア感染、人為的なミスや不正行為による個人情報・機密情報の漏洩、システム障害、大規模な停電・火災・自然災害等が発生した場合、重要な業務やサービスの停止、データの破損・消失、製品やサービスの品質・安全性への影響、社会的信用やブランド価値の低下等を招くおそれがあります。その結果、当社グループの事業活動、経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは、サイバーセキュリティおよび生成AIを含む先端技術の活用に伴うリスクが、事業活動および経営に与える影響の重要性を認識し、グループ全体のセキュリティおよびITガバナンスの強化に取り組んでいます。その一環として、サイバーセキュリティ基本方針を定めるとともに、CISO(Chief Information Security Officer)を委員長とするサイバーセキュリティ委員会を設置し、経営層への定期的な報告・審議を行う体制を構築することで、経営とのレポートラインを明確化しています。
 実務面では、サイバーセキュリティ部門が中心となり、情報技術、ネットワーク、システムおよび製品に関するセキュリティマネジメントシステムを構築・運用し、当該委員会の方針および監督のもとで各種対策を推進しています。
 また、生成AIの利用に伴うリスクについても、情報漏洩、知的財産権侵害、法令・契約違反、誤った出力結果の業務利用等のリスクを踏まえ、生成AIの利用に関するルールやガイドラインの整備、利用状況の把握および統制を行っています。さらに、外部の専門家や最新の技術動向・脅威情報を活用しながら、サイバー攻撃および生成AIを悪用した新たな脅威への対応力向上を図るとともに、ITガバナンスおよびセキュリティ対策の継続的な高度化に努めています。具体的には、従業員および関係者に対して、サイバーセキュリティおよび生成AIの適切な利用に関する教育・啓発活動を継続的に実施するとともに、内部監査等を通じて運用状況の確認および改善を行っています。
 また、セキュリティ防御システムや監視体制の強化により、日々進化するサイバー攻撃や不正利用の早期検知および被害の最小化を図っています。加えて、サイバー攻撃や情報漏洩等のインシデント発生時に迅速かつ適切な対応を行うため、SIRT(Security Incident Response Team)体制を整備するとともに、事業継続の観点から、自社データセンターおよびクラウド環境を活用した複数拠点でのデータバックアップ体制を構築し、災害や障害発生時における早期復旧および影響の低減に努めています。

(11)コンプライアンス

<リスク>
 当社グループおよび委託先などにおいて重大な法令違反や役職員の不正・不適切行為などが発生した場合、お客様の信用・信頼を失うことや社会的評価・評判の低下などによるブランドイメージの毀損が事業基盤に重大な影響を与え、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは、コンプライアンスの徹底を経営の最重要課題の一つと位置付け、法令・社内諸規程などの遵守はもとより、社会規範に則した公明かつ公正な企業活動を遂行することを役職員一人ひとりへの浸透を図るため、コンプライアンス体制・組織の構築および運営、ならびに各種研修等の活動を行い、コンプライアンスリスクの回避または最小化に努めています。

(12)訴訟など法的手続き

 当社グループは、事業活動を行うなかで、お客様、お取引先様や第三者との間で様々な訴訟やその他の法的手続の当事者となる可能性があります。現在係争中の案件や将来の法的手続において当社グループに不利な判断がなされた場合、ブランドイメージの毀損や当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

(13)ステークホルダーコミュニケーション

<リスク>
 株主との建設的な対話やステークホルダーとのコミュニケーションが不十分な場合や、インサイダー取引などの不公正取引や虚偽記載などの法令違反行為による巨額の課徴金支払いなどが発生した場合は、株主や投資家をはじめとしたステークホルダーからの信用・信頼を失うことや社会的評価・評判の低下などによるブランドイメージの毀損が事業基盤に重大な影響を与え、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図り、すべてのステークホルダーから満足と信頼を得るために、コーポレートガバナンスガイドラインを定め、コーポレートガバナンスの強化を経営の最重要課題の一つとして取り組んでいます。また、ディスクロージャーポリシーに基づき、フェアディスクロージャーに努め、法令に基づく開示を行っています。さらに、経営戦略や事業活動など当社グループを深く理解していただくために有効と思われる会社情報を、迅速、公正公平、適正に開示しています。加えて、当社グループの持続的な成長に向けた発信として、2025年11月に公表した「SUBARU 2025方針」の各取り組みの進捗や、電動化・人的資本・知的財産・ガバナンスなどのESG情報、および資本コストや株価を意識した経営について株主・投資家等と建設的な対話を図るとともに、社内関係者へのフィードバックを通じて、ステークホルダーコミュニケーションの向上に努めています。

(14)人権尊重

<リスク>
 当社グループおよびその関係者において、労働環境・労働安全衛生上の問題、様々なハラスメント、労働者の権利・機会の侵害、人権上の問題のある調達などを行った場合には、関連法規への抵触に加え、お客様の信用・信頼を失うことや社会的評価・評判の低下によるブランドイメージの毀損、販売の低迷、人財流出、資材・資金の調達難などが事業基盤に重大な影響を与え、経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは、人を第一に考え、「人を中心としたモノづくり」を行っています。「一人ひとりの人権と個性を尊重」することを、SUBARUの重要な経営課題と捉え、SUBARUグループの「人権方針」を策定するとともに、同方針に基づき、ビジネス上の人権リスクを特定し、その対応策を策定、実行する「人権デュー・ディリジェンス」を実施しています。そのなかで明確化した重要なリスクについての対応策を着実に進め、継続的にリスク軽減を進めています。また、サプライチェーンを含め、事業に関連するビジネスパートナーやそのほかの関係者に対しても、本方針に基づく人権尊重の働きかけを行い、人権尊重の取り組みを推進しています。

(15)人財の確保と育成

<リスク>
 労働市場のひっ迫、異業種も含めた人財獲得競争の激化、コンプライアンス事案につながるような労務問題により人財の確保ができない場合や、安全衛生への対応が不十分な場合、あるいは人財の流出が続いた場合は、当社グループの事業活動や経営に影響を及ぼす可能性があります。同様に、人財の育成が不十分な場合や、従業員の多様性が尊重された誰もが活躍できる職場環境が実現できない場合に対しても、当社グループの事業活動などに影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社は、従業員一人ひとりがSUBARUグループの持続的な成長と持続可能な社会の実現の両立を担う原動力であるとの考えのもと、「真の競争力をもった人・組織」の実現を目指すとともに、自身のキャリア形成を考え、チャレンジする風土づくりや多様な人財が活躍できる環境整備を進めています。「モノづくり」と「価値づくり」で世界最先端を目指すべく、電動化対応、先進安全技術、IT分野の強化などの専門領域における人財確保に向けて、積極的な採用を行っています。2020年12月にはIT企業の集積地である東京都渋谷区に新たな開発拠点として「SUBARU Lab(スバルラボ)」を開設し、これまでAI開発に必要な人財の採用に取り組んできました。2025年2月には拠点を拡張し、その機能をソフトウェア開発全般へと拡大することで、イノベーションの創出につなげています。また、独自の価値創造を実現し続けるため、様々な個性や価値観を持つ従業員が個々の能力を十分に発揮できるよう、性別・国籍・文化・ライフスタイルなどの多様性を尊重した人財登用や働きやすい職場環境の整備に努めています。特に安全衛生については、重要な経営課題と位置づけ「安全衛生はすべての業務に優先する」との基本理念のもと、労働災害防止、疾病予防、労働環境向上に向けた取り組みを全社的に進めています。

(16)気候変動

<リスク>
 当社グループにおいて、気候変動に対する取り組みが適切に進まない、あるいは異常気象による調達・生産・物流活動の停滞などが生じた場合、さらに現時点での将来予測が極めて困難な移行リスク・物理リスクの影響および発現度により、研究開発費用などの増加、顧客満足やブランドイメージの低下による販売機会の逸失、異常気象による調達・生産・物流活動の停滞などにより、SUBARUグループの経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

分類 区分 対象 内容
移行リスク 規制 事業運営全般 各国の気候変動に関する目標の見直しにより、ビジネス全般に重大な影響を与える可能性があります。
商品 各国の燃費規制に合致しない場合、法令違反に基づく追加の費用や損失を被る、あるいは商品の販売機会が制限される可能性があります。
生産段階 石油などの地政学的な要因によるもののほか、政府のカーボンプライシング制度の対象となり、化石燃料使用に伴うコストが上昇する可能性があります。
技術 商品 電動化は、ライフサイクル全体で収益性を確保しつつ進めることが重要であり、商品の上流・下流を巻き込んだ取り組みが進まない場合、商品のライフサイクル全体でその目的を達成できない可能性があります。
生産段階 再生可能エネルギー利用が進まなかった場合、スコープ1、2排出量の削減対策が滞る可能性があります。
市場 商品 現時点では電動化に関する予測が難しく、将来、市場との乖離が生じることが予想されます。この乖離は過大な開発投資による損失や顧客満足の低下による販売機会の減退を招き、電動化の進行を遅らせる可能性があります。
また、電動化は中長期的に着実に進むものと考えており、ある段階で一気に市場への浸透が進んだ際、適切な技術と商品を備えていない場合、商品の販売機会に重要な影響を与える可能性があります。
評判 事業運営全般 脱炭素化への取り組みが不十分な場合、ブランド価値の毀損による人財採用や販売での悪影響および資金調達の困難による資本コスト上昇の可能性があります。
物理リスク 急性 事業運営全般 気候変動の顕在化に伴う各地での集中豪雨の多発による原材料供給の停滞や工場浸水による操業リスクが考えられます。
慢性 天然資源を使用しているタイヤ、電動化技術に使用する金属資源の調達が困難になる可能性があります。

気候変動に関して認識している主な機会
 気候変動に対する適切な取り組みにより、新たな市場の開拓や雇用の創出、資本やエネルギーの効率的な活用が期待されます。

市場機会 商品の環境対応が適切に進み、かつ、世界規模で気候変動の適応・緩和も進んだ場合、SUBARUの主力市場を維持しつつ、安心と愉しさに共感する市場の拡大が期待できる可能性があります。また、気候変動の緩和に貢献することで、SUBARUのブランド価値が上昇し、人財の採用や販売に好影響を与える可能性があります。また、投資家からの資金調達が容易となり、資本コストの低減につながる可能性があります。
エネルギー源に関する機会 生産段階で消費するエネルギーに関し、費用対効果にも配慮しつつ再生可能エネルギーへ移行することは、化石燃料由来のエネルギーに内在する価格変動リスクから解放され、将来のコスト上昇を未然に防げる可能性があります。
リスク・機会に関しては、過去の事実や現在入手可能な情報に基づいたものであり、将来の経済の動向、SUBARUを取り巻く事業環境などの要因により、大きく異なる可能性があります。また、気候変動に適応したSUBARUの商品が貢献できる機会を表したものであり、気候変動の悪化などを期待するものではありません。

<対応策>
 当社グループは、気候変動に関連する「政策・規制」、「技術」、「市場」などの移行リスクに関して、各専門部門が広く情報を収集し、将来予測から不確定な気候変動リスクの認識に努めています。また、気候変動の物理的なリスクに関わる浸水などの自然災害に伴う操業リスクに関しては、BCPの一環として、リスクマネジメント・コンプライアンス室が中心となり関連規程類の整備を進め、緊急時のSUBARUグループ全体にわたる情報を一元的に掌握するとともに、その対応を統括管理する体制を整えています。

その他事業活動に影響を与える各国規制やイベント性のリスク

(17)事業活動に影響を与える各国の政治・規制・法的手続き

<リスク>
 当社グループは北米を中心に世界各国において事業を展開していますが、海外市場での事業活動においては、政治的・経済的要因、法律または規制の変更、課税、関税、その他の税制変更等のリスクが内在しています。当該リスクが顕在化した場合や、事業展開をしている国・地域において政治的要因の変動や、通商政策の強化、通商紛争などが発生した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
 特に米国の関税政策について、前事業年度の政策変更の影響を受け、米国販売子会社が日本から輸入する完成車や、米国生産拠点において一部の国から輸入する部品に追加関税が課されるなど、当社グループの収益に一定の影響を及ぼしました。関税政策の長期化や、それに伴う為替や金融市場の大きな変動ならびに需要が減少した場合は、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
 また、環境などに関する主な法的規制は、自動車の燃費、排出ガス、省エネルギーの推進、騒音、リサイクル、製造工場からの汚染物質排出レベルに関するものであり、これらの規制は今後大きく変更される可能性があります。各種規制への対応が不十分な場合、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは、政治的・経済的要因、法律または規制の変更、課税、関税、その他の税制変更等のリスクについて、事業展開する国・地域の動向を注視しています。特に米国市場については引き続き動向を注視しており、関税政策の影響を最小化すべく、日米間で関係部門が密に連携し、情報の収集や対応策の検討を行っています。売上構成の改善・販売奨励金の抑制・原価低減・費用圧縮などにグループ一丸で取り組むとともに、商品力の強化を通じて収益の確保に努めていきます。

(18)地政学・地経学的災害(国際紛争・テロリスク)

<リスク>
 当社グループは世界各国で事業を展開していますが、当該国や地域でテロ、戦争、内戦、政治不安、治安不安などが発生した場合には、事業活動が妨げられる可能性があります。その結果、原材料・部品の購入、生産、製品の販売および物流、さらにはサービス提供が遅延または停止し、これらが長期化した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは、事業を展開する世界各国における情勢変化に対応するため、統括部門が日々情報収集やモニタリング活動を行い、関連部門間で情報を共有しています。これにより、各国や地域の状況を把握し、事業活動への影響を最小限に抑えるための対応を行っています。

(19)自然災害と関連する損害

<リスク>
 大規模な地震、台風、豪雨、関連する火災・洪水等の自然災害や火災などの事故の発生により、当社グループの事業活動が妨げられ、原材料・部品の購入、生産、製品の販売および物流、サービスの提供などの遅延や停止が長期化する場合や、企業機能停止が長期化する場合には、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループでは、日ごろから事業継続に備えた規程類の定期的な整備とアップデートおよび訓練などを実施しています。また、各事業所単位では、重要業務の選定や緊急連絡体制の整備等BCPの強化を図り、全社コーポレート部門と密接に連携しながら事業継続や早期復旧を的確かつ迅速に行うための対応を進めています。

(20)感染症等の発生

<リスク>
 感染症やその他未知な災害(パンデミック等)の発生により、当社グループの事業活動が妨げられ、生産、商品の販売やサービスの提供の遅延や停止が長期化した場合や企業機能停止が長期化した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>
 当社グループは、経営に重要な影響を及ぼすおそれのあるリスクであり、通常の意思決定ルートでは対処が困難で緊急性が高い場合に備え、必要に応じて部門・事業所を横断した組織を立ち上げ、有事に迅速に対応するための体制を整備しています。