考え方・方針

SUBARUは、気候変動への取り組みを重要な課題の一つとして認識しており、SUBARUグループのCO2排出量(スコープ1、2、3)の約8割が販売した商品の使用によるものであることから、電動化やカーボンニュートラル燃料の活用を通じた排出削減に取り組んでいます。
また、SUBARUグループが率先して事業活動に起因するCO2排出量(スコープ1、2)を削減することは、オールSUBARUとしてバリューチェーン全体の活動をより充実させていくことにつながるものと考えます。
これらの考えのもと、SUBARUは2050年のカーボンニュートラルを目指し、「長期目標」およびそのマイルストーンとして「中期目標」を策定し、商品および工場・オフィスでのCO2の排出削減を通じて脱炭素社会の実現に貢献すべく、気候変動の抑制に取り組んでいます。

体制

SUBARUは、環境委員会を通じて、気候変動の抑制に向けた中長期目標を議論し、取り組み状況を評価しています。SUBARUグループの気候変動関連の組織体制に関する詳細は、リンク先をご参照ください。

戦略

SUBARUグループは、脱炭素社会の実現に貢献するため、商品(スコープ3)および工場・オフィス(スコープ1、2)を対象とした長期目標の達成時期を2050年と定め、事業環境の変化に応じて中期目標(マイルストーン)を柔軟に見直しています。
商品(スコープ3)については、HEV需要の高まりや内燃機関(ICE)の再評価などに加え、電動化の進展速度や各国規制の動向の不確実性を踏まえ、全世界販売台数に占めるBEV比率50%の達成時期は2030年以降と見込んでいます。こうした不確実性の高い環境に対応するため、BEVの開発を通じてモノづくり革新を進め、開発・生産における柔軟性と効率性を高めることにより、多様なパワートレーンやセグメントへの展開を可能とし、将来的にBEV・HEV・内燃機関を組み合わせながら、多様な市場や顧客ニーズに応える商品ラインアップの大幅な拡充を図ります。
また、これらの戦略の実現に向けては、成長投資の総額1.2兆円を維持しつつ投資領域を柔軟に組み換え、BEVおよび次世代内燃機関双方の研究開発を継続するとともに、モノづくり革新で培った技術や知見を活用することで開発効率を高め、投資負担の抑制と持続的な成長の両立を図ります。
工場・オフィス(スコープ1、2)においては、モノづくりの効率化とエネルギー転換の両面から脱炭素化を推進します。具体的には、BEVと内燃機関車の特性を踏まえ、開発・生産一体での効率化や混流生産の推進に取り組むとともに、省エネルギー施策や再生可能エネルギーの活用、水素活用の検討などを通じて、2035年度までにスコープ1、2排出量を2016年度比60%削減(総量ベース)する目標の達成に向けた取り組みを計画的に推進します。

成長投資の見直し
成長投資の見直し

識別した気候関連のリスクと機会

SUBARUは、持続可能な事業活動を行うため、気候変動に関連するリスクと機会の認識を図っています。
現時点で認識している気候変動リスクとして、気候変動に対する取り組みが適切に進まないことや、異常気象による調達・生産・物流活動の停滞などが挙げられます。さらに、将来予測が極めて困難な移行リスク・物理的リスクの影響および発現度により、研究開発費用などの増加、顧客満足度やブランドイメージの低下による販売機会の逸失などが生じ、SUBARUグループの経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性が考えられます。
また、気候変動に対する適切な取り組みにより、新たな市場の開拓や雇用の創出、資本やエネルギーの効率的な活用が期待されます。

識別した気候関連のリスクと機会
カテゴリー 想定される事業への影響
移行リスク 規制 事業運営全般 各国の気候変動に関する目標の見直しにより、ビジネス全般に重大な影響を与える可能性があります。
商品 各国の燃費規制に合致しない場合、法令違反に基づく追加の費用や損失を被る、あるいは商品の販売機会が制限される可能性があります。
生産段階 石油などの地政学的な要因によるもののほか、政府のカーボンプライシング制度の対象となり、化石燃料使用にともなうコストが上昇する可能性があります。
技術 商品 電動化は、ライフサイクル全体で収益性を確保しつつ進めることが重要であり、商品の上流・下流を巻き込んだ取り組みが進まない場合、商品のライフサイクル全体でその目的を達成できない可能性があります。
生産段階 再生可能エネルギー利用が進まなかった場合、スコープ1、2排出量の削減対策が滞る可能性があります。
市場 商品 現時点では電動化に関する予測が難しく、将来、市場との乖離が生じることが予想されます。この乖離は過大な開発投資による損失や顧客満足の低下による販売機会の減退を招き、電動化の進行を遅らせる可能性があります。
また、電動化は中長期的に着実に進むものと考えており、ある段階で一気に市場への浸透が進んだ際、適切な技術と商品を備えていない場合、商品の販売機会に重要な影響を与える可能性があります。
評判 事業運営全般 脱炭素化への取り組みが不十分な場合、ブランド価値の毀損による人財採用や販売での悪影響および資金調達の困難による資本コスト上昇の可能性があります。
物理リスク 急性 事業運営全般 気候変動の顕在化にともなう各地での集中豪雨の多発による原材料供給の停滞や工場浸水による操業リスクが考えられます。
慢性 天然資源を使用しているタイヤ、電動化技術に使用する金属資源の調達が困難になる可能性があります。
機会 市場機会 商品の環境対応が適切に進み、かつ、世界規模で気候変動の適応・緩和も進んだ場合、SUBARUの主力市場を維持しつつ、安心と愉しさに共感する市場の拡大が期待できる可能性があります。また、気候変動の緩和に貢献することで、SUBARUのブランド価値が上昇し、人財の採用や販売に好影響を与える可能性があります。また、投資家からの資金調達が容易となり、資本コストの低減につながる可能性があります。
エネルギー源に関する機会 生産段階で消費するエネルギーに関し、費用対効果にも配慮しつつ再生可能エネルギーへ移行することは、化石燃料由来のエネルギーに内在する価格変動リスクから解放され、将来のコスト上昇を未然に防げる可能性があります。
(注)
リスク・機会に関しては、過去の事実や現在入手可能な情報に基づいたものであり、将来の経済の動向、SUBARUを取り巻く事業環境などの要因により、大きく異なる可能性があります。また、気候変動に適応したSUBARUの商品が貢献できる機会を表したものであり、気候変動の悪化などを期待するものではありません

シナリオ別に識別したリスクと対応策の具体例

SUBARUは、各国の燃費規制などSUBARUに関連する政策との適合に向けて検討を行っています。これらの政策動向や国際エネルギー機関などが公表している各シナリオの情報をもとに独自のシナリオを作成し、中長期の目標および達成に向けた計画の策定を行っています。
SUBARUグループは、各国の燃費規制などの政策動向や国際エネルギー機関などが公表している各シナリオの情報をもとに、2050年カーボンニュートラル(=1.5℃シナリオ)を想定した独自のシナリオを含む様々なシナリオと、持続可能な事業活動に向けて認識されたリスクと機会を考慮し対応策を検討しています。
例えば、市場において電動車の販売比率が大きく高まるシナリオや、電動車の浸透が比較的緩やかに進むシナリオなどを想定し、電動化への移行が商品戦略に与える影響を中心に対応策の検討を進めています。また、気候変動への対応が十分に進まない場合を含め、生産活動への影響といった物理的な側面にも留意し、水資源を含む影響については必要なモニタリング※1やリスク※2把握を行っています。

※1
SUBARUグループの水使用量は、生産環境小委員会にて管理を行っており、総量・原単位ともに一定の水準を維持しています
※2
SUBARUグループは、持続可能な水資源の利用のため、外部の専門家による水リスクに関する調査を行っています。2023年度にWRI Aqueduct water risk atlas、WWF-DEG Water Risk Filterを用いて自社で水リスク評価を行った結果、過去の調査と同様に水リスクは総じて中程度以下であることを確認しています
シナリオ例 シナリオ下で特に重視しているリスクの例 リスクと機会を考慮した対応策
電動化の浸透 商品
  • 一定の燃費基準を満たさないことへの商品の販売機会の制限リスク
  • 市場ニーズと電動化技術の乖離による市場リスク
環境規制や市場の動向を注視したBEV、ハイブリッド車、ガソリン車の生産比率を柔軟に変更できる生産体制の構築
自然災害の激甚化 事業運営 各地での集中豪雨の多発による原材料供給の停滞や工場浸水による操業リスク
  • 雨水貯留槽の設置や排水能力の強化による豪雨時の浸水対策
  • お取引先様での有事発生時の復旧支援活動の体制の整理や水災害リスクの評価

リスクマネジメント

SUBARUは、気候変動に関連する「政策・規制」「技術」「市場」などの移行リスクに関して、各専門部門が広く情報を収集し、将来予測から不確定な気候変動リスクの識別に努めています。これらの移行リスクは、執行会議にて提案・議論され、特に重要な案件については取締役会の審議を経て意思決定しています。
また、気候変動の物理的なリスクに関わる浸水などの自然災害にともなう操業リスクに関しては、BCPの一環として、ガバナンス・リスクマネジメント部※1が中心となり関連規程類の整備を進め、緊急時のSUBARUグループ全体にわたる情報を一元的に掌握するとともに、その対応を統括管理する体制を整えています。

※1
リスクマネジメント、コンプライアンス、内部統制およびグループガバナンスの重要性が高まるなか、これらを横断的かつ一体的に管理するとともに、経営との連動性をさらに高めるべく、リスクマネジメント・コンプライアンス室と秘書室ガバナンス推進グループを統合し、2026年6月に新たにガバナンス・リスクマネジメント部を発足しました

目標・実績

SUBARUは、脱炭素社会に貢献するため、商品(スコープ3)および工場・オフィスなど(スコープ1、2)に関する長期目標(長期ビジョン)を2050年とし、それを補完する中期目標(マイルストーン)を事業環境に応じて随時見直しながら設定しています。

カテゴリー 時期 目標
商品
(スコープ3)
2050年 Well-to-Wheelで新車平均(走行時)のCO2排出量を、2010年比で90%以上削減
2030年代前半 生産・販売するすべてのSUBARU車に電動技術を搭載
2030年以降 全世界販売台数の50%をBEVにすることを目指す
工場・オフィスなど
(スコープ1、2)
2050年度 カーボンニュートラルを目指す
2035年度 2016年度比60%削減(総量ベース)

主な実績

SUBARUグループの2025年度におけるCO2排出量(スコープ1、2、3の合計)は35,900千t-CO2でした。このうちスコープ3が98.5%を占めており、販売した商品の使用段階における排出量が大半を占めています。
商品に関する実績として、2025年度の全世界販売台数に占める電動車の割合は16.6%でした。また、電気自動車(BEV)は1.7%でした。
一方、2025年度のスコープ1、2排出量は550千t-CO2(マーケット基準)と、2016年度比20%削減を達成しています。近年では、再生可能エネルギーの導入を加速しており、その割合はSUBARUグループ全体のエネルギー使用量の12.3%、電力使用量の25.7%を占めています。

2025年度のCO2排出内訳
2025年度のCO2排出内訳
(注)
スコープ1:企業の自社施設から直接排出される温室効果ガス
スコープ2:他社から供給された電気・熱・蒸気の使用にともない間接的に排出する温室効果ガス
スコープ3:スコープ1、2以外の間接排出で、原料調達、輸送、商品使用、廃棄過程のほか、従業員の通勤、出張などにより排出される温室効果ガス

取り組み

商品の取り組み

SUBARUは、変化の激しい市場環境において、BEV・HEV・内燃機関(ICE)のいずれについても、電動化の進展や規制動向の不確実性を踏まえ、柔軟かつ迅速に対応することが重要と認識しています。こうした認識のもと、モノづくり革新に向けた取り組みを進め、開発・生産における柔軟性と効率性の向上を図っています。
モノづくり革新の取り組みとして、制御統合ECUを中心としたE/Eアーキテクチャの進化や車両プラットフォームの共通化・拡張を進め、開発の効率化と商品展開の柔軟性向上を図っています。これにより、異なるパワートレーンを組み合わせた商品開発を効率的に進めるとともに、多様なニーズに応える商品展開を可能としています。
また、SUBARUはカーボンニュートラルの実現に向けては多様な技術の活用が重要であるとの認識のもと、ライフサイクル全体でのCO2排出量の低減に取り組むとともに、お客様や社会に対してSUBARUらしい選択肢を提供し、低炭素燃料の活用も進めています。

ライフサイクル全体でのCO2排出量削減

SUBARUは、走行時の商品からのCO2排出だけではなく、素材製造段階から廃棄にいたるライフサイクル全体のCO2排出量削減を通じて脱炭素社会の実現を目指します。
この考えに基づき、SUBARUは自動車のライフサイクル全体のCO2排出量を評価するLCA※1を実施しています。自動車の環境への影響を定量化し、脱炭素化に向けた自動車の開発を設計段階から積極的に行います。例えば、ストロングハイブリッド搭載モデルの「レヴォーグ レイバック」は、同型のガソリンエンジン車と比較して、ライフサイクル全体におけるCO2排出量の約20%削減を達成しています。

※1
LCA(Life Cycle Assessment:ライフサイクルアセスメント):商品やサービスの原材料調達から製造、輸送、商品使用、廃棄にいたる一連のライフサイクルにおける環境負荷を総合的に評価する環境影響評価手法のこと
ライフサイクル全体におけるCO2排出構成の比較
ライフサイクル全体におけるCO2排出構成の比較 ライフサイクル全体におけるCO2排出構成の比較
※2
ストロングハイブリッド搭載モデル

電動車の普及推進

SUBARUは、電動化の進展や市場環境の変化を踏まえ、BEVおよびHEVの開発・投入を通じて商品ラインアップの拡充を進めています。
BEVについては、SUBARU初のグローバルBEVである「ソルテラ」を2022年5月に発売しました。トヨタと共同開発したEV専用プラットフォーム「e-スバルグローバルプラットフォーム」を採用し、SUBARUのAWD技術とトヨタの電動化技術を融合することで、開発投資の効率化と商品性の向上を図っています。その後もトヨタ自動車との協業によりBEVの開発を推進し、「トレイルシーカー」や「ゲッタウェイ」などの展開を進めています。これらの取り組みにより、開発投資を抑制しながらBEVを市場に投入するとともに、お客様の選択肢の拡大につなげています。さらに、商品面での評価に加え、今後の商品開発に活かす技術やノウハウの蓄積を進めています。
HEVについては、トヨタハイブリッドシステム(THS)※3の技術を取り入れた「次世代e-BOXER」を軸に開発・展開を進めています。本システムは、従来のパラレル式からシリーズ・パラレル式へ進化するとともに、パワーコントロールユニットの配置最適化により燃料タンク容量を確保し、競争力のある燃費・航続性能を実現しています。2024年より「クロストレック」「フォレスター」に本システムを搭載し、日本および北米市場で展開しています。

※3
THS:TOYOTA Hybrid System
新型「トレイルシーカー」(米国仕様車)
新型「トレイルシーカー」(米国仕様車)
新型「ゲッタウェイ」(米国仕様車)
新型「ゲッタウェイ」(米国仕様車)

エンジンの進化

従来のガソリンエンジン車へのお客様ニーズに応えることはもちろん、車種拡充が図られるHEVもガソリンエンジンと電動技術の組み合わせであり、エンジンの進化は燃費性能向上に必須です。「レヴォーグ」および「フォレスター」「レイバック」に搭載した「1.8L BOXER直噴ターボ“DIT”※4」は、新世代BOXERエンジンとして低回転域から高いトルクを発生させるターボシステム、少ない燃料でより多くのエネルギーを生み出すリーン燃焼技術を採用し、リニアトロニックの変速範囲の拡大と相まって、発進時の力強い加速や高速巡航時の燃費性能を高め、SUBARUらしい走りと優れた環境性能を両立しています。
また、SUBARUは、トヨタ自動車、マツダと共に、電動化時代に適合する新たなエンジン開発を「三社三様」で宣言しました。新エンジンでは、SUBARUらしい水平対向エンジンとシンメトリカルAWDの価値を継承しつつ、電動化との融合を図った次世代ハイブリッドシステムを中心に、環境性能と走行性能の両立に加え、多様なカーボンニュートラル燃料※5への対応を目指しています。

※4
DIT:Direct Injection Turbo
※5
製造から使用にいたる全体で、大気中へのCO2排出が実質ゼロになる燃料。H2とCO2からなる「e-fuel」や、植物などのバイオマス(生物資源)を原料とする燃料などがあります

低炭素燃料※6の普及に向けた取り組み

SUBARUは、再生可能エネルギー由来の燃料として注目されるバイオエタノールなどの低炭素燃料の活用に取り組んでいます。自動車用燃料の多様化とカーボンニュートラル社会の実現に向け、SUBARUが全世界で販売しているすべてのガソリン車について、E10燃料(日本ではE3燃料)への機能性、信頼性の対応が完了しています。また、経済産業省と連携し、高濃度バイオエタノール(最大でE20燃料)や合成燃料の早期導入に向けた協議を進めるとともに、SUBARUでは低炭素燃料への技術対応を進めています。
さらに、実走行環境における検証として、モータースポーツを活用した実証活動にも取り組んでいます。2022年よりスーパー耐久シリーズに参戦し、合成燃料を使用した車両による技術検証を実施してきました。2025年の富士24時間レースでは、ENEOSが提供する低炭素ガソリン(E20)を使用し、過酷な条件下での燃料性能や車両適合性に関する知見を蓄積しました。
燃料の「つくるプロセス」において、SUBARUは他社と共に「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合(raBit)」に参画し、バイオエタノール燃料の製造技術に関する研究を推進しています。
これらの取り組みは、低炭素燃料の実用性検証にとどまらず、エンジニアが主体となった開発や実践を通じて、開発力の高度化や人財育成にもつながっています。SUBARUは今後も、低炭素燃料への対応を進めることで、内燃機関におけるCO2排出量削減と持続可能なモビリティの実現に貢献していきます。

※6
低炭素燃料:バイオエタノール燃料や合成燃料(e-fuel)を指します。例えば、E10燃料は通常のガソリンにバイオエタノールを10%混ぜたものを指します
バイオエタノール デモ走行車
バイオエタノール デモ走行車
低炭素燃料実証車両
低炭素燃料実証車両

事業所の取り組み

SUBARUグループは2035年度の中期目標の達成に向け、省エネルギー施策の推進、再生可能エネルギーの導入、燃料転換などを中心とした、多様な施策を組み合わせながら、スコープ1、2排出量の削減施策を推進します。
また、SUBARUは経済産業省が公表した「GXリーグ基本構想」に賛同し、2024年度からGXリーグ、2026年度からはGXフューチャー・リーグに参加しています。

GXフューチャー・リーグロゴ
2035年までのスコープ1、2排出量の削減施策と削減実績のイメージ
2035年までのスコープ1、2排出量の削減施策と削減実績のイメージ 2035年までのスコープ1、2排出量の削減施策と削減実績のイメージ
※1
日本の電力排出係数は0.25t-CO2/千kWhまで低下すると想定

省エネルギー施策の推進

SUBARUグループでは、各事業所や国内外連結子会社において、温室効果ガス排出量の削減とエネルギー効率の向上を目的に、省エネルギー施策を推進しています。コジェネレーション設備や高効率機器の導入などの設備更新を進めているほか、将来の水素利用を見据えて、外部設備を利用した実証試験を行い、具体的な課題抽出も行っています。
生産プロセスにおける省エネルギー施策として、2025年度にはエネルギー使用量が多い塗装工程に着目し、塗装ブースの給排気エネルギーの低減を実現しました。塗装ブースでは、ブース外からの異物や熱の侵入および塗装中の塗料ミスト飛散を防ぐために、メンテナンス時間でもブース空調を稼働しています。こうしたなか、風の流れ方、風速を繰り返し調査することで、一部のメンテナンス時間においては給排気周波数の低減(省エネ運転モードの導入)を実現しました。また、3Dガンの導入などにより塗料ミストの発生が抑制されたブースでも、同様の調査を繰り返すことで、給排気周波数の低減を実現しました。これにより、合計で約450tのCO2削減を達成しています。
さらに、こうした省エネルギー・CO2削減の取り組みを投資判断に確実に反映させる仕組みとして、SUBARUは2022年度よりインターナルカーボンプライシングを導入しました。各拠点での設備投資の稟議書のなかで、該当設備の導入にともなうCO2削減量を6,000円/t-CO2にて金額換算を行い、CO2削減効果を費用削減効果として計上することで、設備投資の判断に盛り込むこととしています。
また、オフィスにおいてもLED照明化や遮熱・断熱建材の採用などの施策を進めており、Subaru of America, Inc.(SOA)では、本社ビルおよびNational Service Training Centerで、LEED認証※2のうち、標準認証よりも高いシルバー認証を取得しています。これらの施設では、オートメーションシステムや包括的な空調システムの導入により、エネルギー使用の効率化を図っています。

※2
LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)は、米国グリーンビルディング協会が開発・運営する、環境に配慮した建物に与えられる認証制度。建築全体の企画・設計から建築施工、運営、メンテナンスにおける省エネルギーや環境負荷を評価することにより、建物の環境性能を客観的に示すことができることから、米国を中心にLEED認証の取得が拡大している
塗装ブース内の空気の流れを確認している様子
塗装ブース内の空気の流れを確認している様子

再生可能エネルギーの利用

SUBARUグループは、太陽光発電設備の設置を積極的に推進しています。群馬製作所、東京事業所、宇都宮製作所をはじめとする各事業所では、新設建屋への設計段階からの設置計画組み入れや、既存建屋の屋根への設置を通じて、CO2排出量の大幅な削減を実現しています。
大泉新工場の建設にともない、新設建屋への太陽光発電設備の設置を推進しています。2025年12月には、SUBARU敷地内への設置では最大となる6.4MWの設備が稼働開始しました。新プレス・ボディ棟屋根に設置された同設備からは、年間約8,000MWhの発電が見込まれています。2025年度には、そのほかにも大泉工場の新食堂建屋、宇都宮製作所南工場でも新たに設備が稼働しており、再生可能エネルギー由来の電力を着実に拡大しています。
また、2025年2月からはオフサイトコーポレートPPA※3による太陽光発電由来の電力調達を開始し、2026年2月には5.2MWを増設しました。オフサイトコーポレートPPAによって調達する電力は合計で約10.2GWh(設備容量:9.3MW)、年間のCO2削減量は約3,800tに達しています。
2025年度においてSUBARUグループでは約27.6MWの太陽光発電設備(オフサイトコーポレートPPAを含む)を設置しており、そこから発電される電力のうち約12,000MWhを自家消費しています。

※3
オフサイトコーポレートPPA(Power Purchase Agreement)は、発電事業者が所有する発電施設で発電された再エネ電力を、小売電気業者を通じて需要者に供給する長期契約
大泉工場(富士機械株式会社)
富士機械株式会社
(大泉工場)
太陽光発電設備導入後の様子(株式会社イチタン)
株式会社イチタン
太陽光発電設備(SUBARU 大泉新工場)
太陽光発電設備(SUBARU 大泉新工場)

購入電力のカーボンニュートラル

SUBARUグループでは、購入電力のカーボンニュートラル化を積極的に推進しており、SUBARUでは群馬製作所本工場、宇都宮製作所南工場・南第2工場、半田西工場(輸送機工業株式会社を含む)、伊勢崎工場、エビススバルビルの6拠点、国内連結子会社ではスバルファイナンス株式会社、桐生工業株式会社の2社で購入する電力はすべてカーボンニュートラルな電力となっています。
また、宇都宮製作所では、栃木県の水力発電を活用した「とちぎふるさと電気※4」を導入、群馬製作所でも群馬県企業局が提供する地産地消型PPA(群馬モデル)による水力発電由来の電力を導入するなど、環境負荷の低減と地域社会への貢献の両立を図る取り組みも行っています。

※4
栃木県企業局と東京電力エナジーパートナー株式会社が提供するメニュー。発電時にCO2を排出しない栃木県内8カ所の県営水力発電所で発電した電力を使用するため、電力使用にともなうCO2排出量をゼロにすることができる

排出量取引制度への参画

東京都、埼玉県で事業活動を行っている東京事業所、北本工場、ステラタウン大宮は、東京都環境確保条例「大規模事業所に対する温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」あるいは埼玉県の「目標設定型排出量取引制度」の対象事業者として、排出量取引制度の対応を行っています。

販売店の取り組み

店舗設計によるエネルギー消費の削減

SUBARUの販売店では、店舗づくりにおいても省エネルギー施策や環境への配慮が重要と考えています。
店舗設計の段階から、遮熱・断熱性能やエネルギー効率に配慮した計画を取り入れ、空調負荷の低減を通じてエネルギー消費の抑制を図っています。空調や照明についても、空間の用途に応じた設備計画を行い、快適性と省エネルギーの両立を心がけています。また、建物規模の見直しや仕様・素材の選定、建設後の点検・整備を通じて、店舗を長く効率的に活用できるよう配慮しています。
海外でも、Subaru Canada, Inc.(SCI)の販売店である「Scott Subaru」では、高い断熱性能を備え、冷暖房設備を極力必要としない建屋設計により、パッシブハウス(省エネルギー建屋)の認定を受けています。国内外の事例を通じて、環境と快適性の両立を目指した店舗づくりを進めています。

ショールーム(神奈川スバル)
ショールーム(神奈川スバル)
Scott Subaru
Scott Subaru

購入電力のカーボンニュートラル

国内販売特約店では、カーボンニュートラルの実現に向けてCO2フリー電気(カーボンニュートラルな電力プラン)への切り替えを進めており、2025年度までに、連結販売特約店における電力使用量の100%をCO2フリー電気へ切り替えを完了し、2016年度比60%削減する目標を前倒しで達成しました。

(注)
テナント利用や利用可能な電力プランの制約など、切り替えが物理的に困難な一部施設を除く
供給証明書(神奈川スバル)
供給証明書(神奈川スバル)

急速充電器の設置拡大

電気自動車のさらなる普及に向けて、急速充電器の設置拡大に取り組んでいます。2026年3月時点で16基設置しており、2027年度までに全国で50基の導入を目指しています。あわせて、電気自動車の特性や価値を分かりやすくお伝えできるBEVライフデザイナーの育成にも注力し、お客様一人ひとりに寄り添った電気自動車の提案につなげています。

店舗に設置された電気自動車向け急速充電器(スバル東北)
店舗に設置された電気自動車向け急速充電器(スバル東北)

物流の取り組み

SUBARUでは、物流会社や販売会社などのグループ全体、ならびに他の自動車会社と協働し、完成車の輸送に加え、海外工場での生産に使用する部品(海外生産用部品)や、販売店・整備現場で使用される部品用品など、物流の対象ごとに輸送効率化を推進するとともに、物流過程におけるCO2排出量の毎年1%削減に取り組んでいます。
SUBARUのサプライチェーン強化は、2050年カーボンニュートラルの実現につながるとし、CO2排出量の削減活動と合わせて、算出精度の向上と把握範囲の拡大に引き続き取り組んでいきます。
日本国内に加え、北米をはじめとする海外拠点を含むSUBARUグループ全体で進められており、輸送手段の最適化や燃料転換などを通じて、グローバルでの環境負荷低減を図っています。

SUBARUが管理・把握するCO2排出量の範囲
SUBARUが管理・把握するCO2排出量の範囲 SUBARUが管理・把握するCO2排出量の範囲

完成車の輸送

SUBARUグループでは、最適な標準ルートで完成車の輸送を設定し、輸送する車種構成の変化・大型化に対して柔軟に対応するとともに、アライアンス車の共同輸送や積載効率の向上に取り組んでいます。また、環境負荷低減の観点から、モーダルシフト※1についても検討を進めています。物流協力会社にはエコドライブの推進、デジタルタコグラフ※2やドライブレコーダーの導入による運行管理、導風板などの装着による燃費向上への寄与など、環境負荷の少ない完成車輸送への協力をお願いしています。
また、モーダルシフトの取り組みとして、九州から北海道への完成車輸送において、従来の内航船やトラックを中心とした輸送に対し、鉄道を組み込んだ輸送を試験的に実施しました。試験の結果、輸送品質の高さが確認された一方で、コスト面での課題を認識しました。その上で、実現に向けたルート選択等の課題整理を進めていきます。
SOAでは、鉄道輸送の活用を進めるとともに、アラスカの販売特約店向け海上輸送においてLNG燃料船を採用しています。これにより、CO2排出量を約25%削減したほか、NOxを95%、SOxを100%削減しました。

※1
貨物輸送をトラック輸送から環境負荷の小さな鉄道輸送や船舶輸送に切り替えること
※2
自動車の走行時間や走行速度などの運行記録を自動的に記録しメモリーカードなどに保存する、業務として自動車を運行する業種における運行管理システム。急加速・急減速、アイドリングの無駄、危険運転などを明確に「見える化」することができるため、安全運転意識の向上、燃料使用量の削減を図ることができる
従来ルートと鉄道を活用したトライアルルート
従来ルートと鉄道を活用したトライアルルート

部品の輸出

海外生産用部品の輸送では、梱包荷姿の改善、梱包容器の新規導入、積み付け計画の最適化などを通じて、コンテナ充填率の改善に取り組んでいます。2025年度は出荷台数の増加やフォレスターの米国生産開始にともない出荷量が増加しましたが、コンテナ充填率は98%の高水準を維持しました。加えて、輸送効率のさらなる向上に向けて、自社輸入コンテナのラウンドユース※3の推進や、インランドコンテナデポ※4の活用、他社使用済み輸入コンテナの再利用なども進めています。これらの取り組みを通じて、輸送効率の向上とCO2排出量の削減を両立し、環境負荷の低減に引き続き貢献していきます。また、将来的なCO2削減を見据えて、低炭素燃料を使用する船舶への転換を活用した削減の取組を試験的に開始しています。

※3
輸入コンテナを空で港に戻さず輸出に転用する。これにより港からの空コンテナ輸送を削減
※4
内陸部(インランド)にあるコンテナ貨物の集貨拠点

部品用品の輸送・管理

SUBARUでは、複雑かつ一部の非効率な輸送体系の解消に向け、トヨタモビリティパーツ株式会社と整備用部品の共同配送を2020年度より開始しています。2025年度末時点で販売特約店9社(27店舗および一部地域の外販お取引先様)にて共同配送を実現しており、今後も他地域での共同配送化の取り組みを推進します。なお、共同配送に切り替えたことにより、一部特約店において、リードタイムの1日短縮や、運送費の約25%低減を実現できました。
また、協力輸送会社と連携し、輸送ルートの最適化を進めております。2025年度は東海地区および北陸地区においてルート見直しを実施し、日当りの輸送距離の14%(約360km)の低減および増便の抑制を実現しました。今後も他地域への展開を推進します。
さらに、群馬の部品物流センターでは、フォークリフトの稼働データ(アワメーター)を活用し、低稼働機の削減により稼働率向上を図っています。その結果、LPG車12台、バッテリー車28台の計40台を削減しました。引き続きオペレーションの効率化を推進します。

お取引先様との協働

SUBARUは、お取引先様の選定や管理メカニズムに、気候関連問題を盛り込んだ行動規範を定め、オリエンテーション時に共有および徹底を図っています。さらに、お取引先様にISO14001の認証取得を推奨することにより、サプライチェーンでの環境関連の事故・不具合の未然防止や、環境法令への抵触リスクの削減に努めています。
また、サプライチェーンでの脱炭素化に向け、お取引先様と連携した取り組みを推進しています。調達方針説明会において脱炭素への協力を要請するとともに、削減目標の共有を継続し、毎年300社近くのお取引先様からCO2排出量の実績報告を受領するとともに、カーボンニュートラル達成に向けたロードマップの提出を依頼しています。その結果、2035年度時点で2016年度比49%のCO2削減が見込まれています。
一部のお取引先様に対してはヒアリングを実施し、具体的な取り組み内容や課題の把握、SUBARUへの要望を含めた対話を通じて、連携を強化しています。さらに、2025年度は大手取引先について進捗状況を確認し、取引依存度の高い近隣のお取引先様20社に対しては、訪問による意見交換や助言などの支援を行っています。
加えて、群馬製作所近隣のお取引先様への対応として、Tier2を含む1,200以上の拠点における水災害リスク評価を実施しました。評価結果はお取引先様と共有するとともに、「BCP取組み状況確認シート」を用いて、有事対応の確認や模擬訓練、その後の是正対応のフォローを行っています。