CSRレポート2019 トップメッセージ

「モノをつくる会社から笑顔をつくる会社へ」の実現に向けて、
社会課題の解決と持続的成長の両立を目指す

代表取締役社長 CEO
中村 知美

「組織風土改革」と「品質改革」に注力し、CSRを加速させる

SUBARUでは2018年7月、2025年に向けた中期経営ビジョン「STEP」を策定しました。「STEP」には、一刻も早く真の実力を養成し信頼を取り戻すこと、「お客様に『安心と愉しさ』を提供する」というブランドの方向軸は動かさないこと、単なるメーカーの枠を超えてお客様に共感され、信頼していただける存在を目指すこと、この3つの想いを込めています。そして、「モノをつくる会社から笑顔をつくる会社へ」の実現に向け、多様化する社会ニーズに貢献し、企業としての社会的責任を果たすことを明言しました。
そして、CSRについても、SUBARUが特に力を入れて取り組んでいく「CSR重点6領域」――「人を中心とした自動車文化」「共感・共生」「安心」「ダイバーシティ」「環境」「コンプライアンス」――を定めました。

現在、国内外には様々な社会課題が山積しており、その解決に向けて企業が果たす役割への期待はますます高まっています。私たちの事業領域においても、交通事故の防止や環境負荷の低減といった本業に直結するもののみならず、多様な社会課題への取り組みが求められるようになってきました。
SUBARUの「CSR重点6領域」も、社会課題に対して、SUBARUとして事業の強みを生かして、お客様や社会へ価値を提供し、その解決と同時に、持続可能な社会を構築すると共に、SUBARUグループとしても持続的な成長を図っていくというSUBARU独自のCSRの考え方を盛り込んでいます。
そして、「CSR重点6領域」での取り組みを加速させていくために、2018年度は「組織風土改革」と「品質改革」に徹底して取り組みました。

「組織風土改革」は、経営層をはじめ従業員一人ひとりが、CSRを自分ごととして捉え、考え、意見を言い、行動に移していくうえで、基盤になるものだと思っています。
また、CSRで重要なことは、社会の声に真摯に向き合い、経営に生かしていくことだと、私自身は考えています。社会の声に向き合うには、まず自分たちが何でも言える、より「風通しの良い会社」になることが必要だと考え、「上から順に風土を変える」と宣言し、社長として自らが先頭に立ち、現場とのコミュニケーションを充実させてきました。
「組織風土改革」は、一朝一夕に成し遂げられることではありませんが、CSRに関しては、重要性への理解促進や、各本部や自分の業務とCSRの取り組みがどう紐づいているかなど、着実に進捗が見え始めています。
「品質改革」は、CSR重点6領域の「安心」につながるもので、CSRを本業のなかで取り組んでいくことに他ならないと考えています。そのため、2018年度は「品質最優先」の考えに立ち戻り、品質に関わる全プロセスを不断に見直し、生産ラインの停止や、操業条件の見直しにも踏み込みました。経営層や現場に繰り返し伝えてきたことは「二度と繰り返さない」「絶対に忘れない」の2つです。
「品質最優先」の意識を高め、全従業員に浸透させるために、2019年4月には「品質方針」を改定しました。今後も「品質最優先」の考えを、役員・従業員全員が常に意識し、何よりも品質を大切にしてお客様の信頼に応えていきます。

2018年度「CSR重点6領域」の進捗について

「CSR重点6領域」のそれぞれの取り組みも、着実に進捗しています。
「人を中心とした自動車文化」の考え方は、「STEP」に込めた想いの一つに掲げている、「お客様に『安心と愉しさ』を提供する」というブランドの軸にもなっているものです。
SUBARUは、「クルマは単なる移動手段ではない」「人の心や人生を豊かにするパートナーである」と考えています。
また、お客様から期待されている価値は、「安心と愉しさ」、つまり安全・安心なクルマであることはもちろんのこと、運転の愉しさを感じられることだと考えています。
そのため、2018年度には新たに水平対向エンジンと電動技術を組み合わせた「e-BOXER」を「フォレスター」と「SUBARU XV」に採用し、モーターが力強くパワーアシストをすることで、ガソリン車を上回る力強い加速性能を発揮する設定とし、日常シーンでも走りが愉しめるようにしています。
2019年度に発表した新型「アウトバック」(米国仕様)では、歴代モデルで培ってきた価値に最新の技術を組み合わせることで、「安心と愉しさ」を一層感じていただけるようにしています。
「共感・共生」についてですが、私たちの事業は、お客様から信頼・共感され、クルマをご購入いただくことで成り立っています。また、事業活動を行うためには、地域の方々との共生が欠かせません。
私がかつて働いていた米国の販売会社Subaru of America, Inc.では、2008年から、お客様の愛車への思い入れである「LOVE」を取り入れた「LOVEキャンペーン」を開始し、その後「The SUBARU LOVE PROMISE」という社会貢献につながるキャンペーンへと発展しました。
これは、お客様をはじめ、販売店や社会から多大な支持を得ており、まさに「共感・共生」を体現しているものだと言えます。
一方、国内で失った信頼を取り戻すには、ステークホルダーの皆様からの声を真摯に受け止め、誠実に対応することに尽きると考えています。商品の品質はもとより、対応する部門や人・仕組みなど、業務に関わるすべてにおける品質をあげていくことを、SUBARUグループの役員・従業員全員が重く受け止め、今後は、全員が心を一つにして、ステークホルダーの皆様の信頼を取り戻すために行動していきます。
そして「安心」は、SUBARUブランドの核であり、私たちの企業としてのDNAともなっている、絶対に譲れない部分です。「人の命を守る」ことに徹底的にこだわり、2030年に「死亡交通事故ゼロ」を目指すという目標を設定しました。自動運転化レベルの「レベル2」(部分運転自動化)においても、トップクラスのクルマを生み出すことを目指しています。
今後は、「0次安全」「走行安全」「予防安全」「衝突安全」に加え、「つながる安全」にも取り組んでいきます。
さらに、「安心」へのこだわりは商品だけではありません。SUBARUグループで働くすべての人々が、安心して働ける安全な職場環境、そして地域の人たちに「SUBARUなら安心」と思ってもらえるような関係性を構築していくことなど、あらゆる面での「安心」を実現していく必要があります。特に、従業員のモチベーションの向上はそのまま品質改革にもつながるという認識のもと、職場環境の改善にも積極的に取り組んでいます。
「ダイバーシティ」においては、多様な人材がそれぞれ最大限に能力を発揮できる環境を整え、多様な働き方を可能にしていくことが、企業の重要な責務となってきています。SUBARUは「女性活躍」「障がい者雇用」「高年齢者再雇用」「外国籍従業員の雇用」の推進を重点テーマに掲げ、なかでも「女性活躍推進」を最重要課題として取り組んできました。「発揮能力による実力値での登用を前提として、2020年までに女性管理職数を、登用目標を定めた2014年時点の5倍以上とする」ことを数値目標に掲げて進めており、この目標は達成できる見込みです。2025年に向けて「2014年時点の12倍以上」とする新たな目標を設定し、女性管理職育成に向けた取り組みをさらに強化していきます。
同時に、様々な市場価値を尊重し、お客様の選択肢を増やせる多様な商品を提供していくことも、私たちにとっての重要な「ダイバーシティ」です。2018年度に「フォレスター」と「SUBARU XV」には水平対向エンジンと電動技術を組み合わせた「e-BOXER」を搭載し順次市場導入、米国ではSUBARU初となるプラグインハイブリッド車「クロストレック ハイブリッド」を発売し、SUBARUがこれまで培ってきた高い動的質感と時代に求められる優れた環境性能を両立する、いわば「商品のダイバーシティ」に取り組んできました。
それを実現するためには、従業員の視点にも多様性が求められることは言うまでもありません。「従業員のダイバーシティ」と「商品のダイバーシティ」、この両方に取り組んでいくことが、企業の持続的成長にもつながるSUBARU独自のダイバーシティだと考えています。
「環境」については、自動車と航空宇宙事業を柱とするSUBARUの環境方針として「大地と空と自然」を事業フィールドと定め、自然との共生を目指す取り組みへの注力を掲げていきます。
なかでも、世界的な課題である気候変動への取り組みは、最も重要なものの一つと認識し、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃未満に抑える」というパリ協定の趣旨に、引き続き貢献していきます。
現在、SUBARUグループでは、直接排出するCO2(スコープ1及び2)について、2030年度に2016年度比30%削減するという目標を掲げ、2021年度からの取り組み計画である「環境アクションプラン」の策定を進めています。また、取り組みを一部前倒しする形で2020年度までに年間排出量のおよそ3%に相当する約2万t- CO2の削減に着手しました。
他方、自動車のライフサイクル全体を俯瞰した場合、とりわけ自動車の使用にともなうCO2排出量の削減は極めて重要であり、中長期的な視野で自動車の電動化は一層進むものと考えられます。SUBARUは、社会の期待の変化、お客様のニーズ、環境規制への対応、適正な利益の確保などを実現するための技術戦略・商品戦略を引き続き検討し、社会とSUBARUグループの持続可能な成長を実現していきます。その一環として、2019年6月に、トヨタ自動車株式会社と、EV専用プラットフォームおよびSUVモデルのEVを共同で開発することに合意したことを公表しました。今後は両社の持つ強みを持ち寄ることで、EVならではの魅力ある商品づくりにチャレンジしていきます。
また「コンプライアンス」については、社会で事業活動をする前提条件となる最重要課題の一つであり、それを怠るとお客様や株主様、お取引先様などのステークホルダーの皆様に多大なご迷惑をおかけし、事業存続も危ぶまれる事態となることを、一連の完成検査における不適切事案によって、SUBARUグループの全員が痛感しています。
今後はすべてのステークホルダーから信頼される存在となることを目指し、グループ一丸となって取り組みを進めていきます。そして、「二度と繰り返さない」「絶対に忘れない」ことを全員が肝に銘じ、気を緩めることなく、引き続きコンプライアンスの実践について、不断の努力を継続していきます。

※SUBARU乗車中の死亡事故およびSUBARUとの衝突による歩行者・自転車などの死亡事故をゼロに

「モノをつくる会社から笑顔をつくる会社へ」を目指して

CSRとは、本業を通じて経営や業務の品質を高めていくことであり、いわば「経営そのもの」である──。それが、これまでの取り組みを通じての私の実感です。
CSRの実践を通じて目指したいのは、従業員一人ひとりが誇りを持って働ける会社です。そして、「STEP」でも掲げた2025年のありたい姿である「モノをつくる会社から笑顔をつくる会社へ」の実現を目指し、取り組みを加速していきます。
もちろん一朝一夕に成果が現れるものではなく、社会の声に真摯に向き合い、それを経営に生かしていく、その地道な積み重ねが、「ありたい姿」に近づいていくのだと思っています。
CSRの取り組みにおいても、日本と米国のSUBARU、それぞれに個性があり、良さがあります。両国での勤務を経験した私は、「それぞれの良さ」を融合させ、グループ全体の強みに変えていきたいと考えています。
今後も、SUBARUならではの価値を社会に提供し、社会課題の解決への貢献や持続可能な社会をつくると共に、自動車・航空宇宙の両事業ともに、スピード感を持って、着実に、力強く歩を進め、ステークホルダーの皆様から信頼されるSUBARUグループを目指し、持続的な成長への足場をしっかりと固めてまいります。

代表取締役社長 CEO
中村 知美