──SUBARU Lab のAIエンジニアになるまでの道のりは?
2006年から2017年まで、大手印刷会社でエンジニアとして半導体の仕事に関わり、ナノメートル単位の微細加工技術のシミュレーターを作っていました。化学反応や物理モデルをベースに開発していたのですが、物理モデルベースのシミュレーションに限界を感じ、AIを使い始めたのがAIエンジニアとしての始まりです。
その後、制御機器メーカーへ転職し、工場で使われる外観検査のAIモデルを作ったり、ロボットアームを制御するAIモデルの研究をしていました。本格的にAIを使って仕事をしたのはこの時代からです。
ルールベースのアルゴリズムに比べて、AIモデルは結果として精度が出やすいためエンジニアとしての手応えがあります。また、ルールベースの開発では、数多くのアルゴリズムの組み合わせを作らなければならないことがあり、エンジニアが一つひとつ書くとなるとなかなか大変です。
AIでは大量の学習データから傾向を学習できるので、エンジニアはそれ以外のことにリソースを割くことができます。アイデアを練る時間ができるので自由な発想が生まれ、新しいアイデアを再びAIモデルに結びつけていける。そんなAIエンジニアの醍醐味を、スピーディに、しかもクルマに実装してテストしながらアジャイルに開発できるのが、SUBARU Labです。

──現在はどんな開発をしていますか?
私がSUBARUに入社したのは2022年。SUBARU Labが設立された2年後です。現在はML(Machine Learning)チームに所属し、主に次世代「アイサイト」のAIモデルを開発しています。アイサイトとは、SUBARUが独自で開発した運転支援システムで、SUBARUを象徴する安全技術のひとつです。
入社して3年間はCV(Computer Vision)チームという、AIモデルを活用するチームに所属していました。じつはCVチームでもAIモデルを開発するものだと勘違いして入ったのですが、今となってはその経験が非常によかったと思っています。CVチームではAIモデルの出力を活用した画像認識アルゴリズムを新規で開発しています。そのためアイサイトのアーキテクチャやアイサイトにおけるAIの活用方法を知ることができ、現在のAIモデル開発にも活きています。
AIモデルを作るMLチームへ移籍したのは2025年で、リーダーとして複数あるチームのひとつを任されています。目下取り組んでいる次世代アイサイトの他、我々のチームは、将来的なアップデートをどうするかを考える役割も担っています。
将来的なアップデートについては、ちょっと面白いことをやろうと考えているところです。まさに構想を練り始めた段階ですが、これから我々が新たな、そして難しい問題を解こうとしていることは間違いありません。そういったことを考えるのが好きなAIエンジニアの方がいれば、ぜひSUBARU Labに来てほしいです。一緒に仕事ができたら嬉しいですね。
