──SUBAROADが販売店の現場で果たす役割とは
ここでちょっと全国のSUBARU車が販売されている現場についてお伝えしますと、販売店では目の前の地域、目の前のお客様を見ています。お客様の中にはSUBARUの情緒的な価値を感じていただけている方も十分いると思います。でも、燃費が同じくらいなら、少しでも安い方がいい、という声が上がるのも事実です。その軸だけで比べられてしまうと、正直SUBARUは選択肢から外れやすい。
それでも、ブランドの背景や、「この機能があるからこそこのスペックであって、それにはこういう狙いがある」ということまで説明して体感してもらうと、多くの人が「それには狙いや意図がきちんとある」ということについて実は物凄く興味を持ってくれます。そういった情報を知れることで、「自分はこのクルマをあえて選んだんだ」という、選択への納得感が深まるのでしょうね。営業の現場でも、「きちんと説明し、きちんと体感してもらうことが大切だ」ということは、誰もが理解しています。ただ、それを実現するには相当なエネルギーが必要です。セールスの方に、言葉だけですべてを伝えてもらうのは、再現性の観点でもなかなか難しい。SUBARUのセールスは2,500人を超える規模ですから、全員に理解してもらうためにも、象徴的な”何か”が必要になります。

そういう時に、たとえば「SUBAROADというものがあって、近くにこういうコースがあるので、一回試乗しながら体験してみませんか」と案内できるといいなと思っています。言葉で説明するよりも、体験してもらえればクルマの魅力もSUBAROADの魅力も伝わるはずです。SUBAROADには、試乗を促すポテンシャルが十分にあると思います。
そう思います。SUBAROAD から少し話は逸れますが、そうしたCX(カスタマーエクスペリエンス)と並行して、販売店で働くスタッフ向けのDXも重要だと感じています。クルマの販売において、お客様の来店する回数は減っているという話が冒頭でありましたが、一方で契約時の書面手続きや整備・点検など、必ず人が介在しないといけない業務もあります。そうした部分を担保しつつ、社会的な人材不足に立ち向かうには、最大限DXで効率化をしていく必要があります。むしろ、その領域で収益改善できるポイントが、クルマ業界にはまだまだ多く残されているのです。
確かに、それも非常に重要ですね。北米ではまさに今、ターゲットを絞ってコネクティッドデータを活用し、そうした取り組みを進めています。コネクティッドで得られたデータからお客様の車両の状態を理解あるいは予測し、来店時に準備しておきよりよい対応を行うとか。コネクティッドドカーの登場は、販売店の助けにもなっていくかもしれません。
