気候変動
考え方
SUBARUは、気候変動を最も重要な課題の1つと認識し、21世紀後半の早い段階で脱炭素社会を目指す「パリ協定」の趣旨を支持し、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
認識した主なリスクと機会
SUBARUは、持続可能な事業活動を行うため、気候変動に関連するリスクと機会の認識を図っています。
気候変動に対する取り組みが適切に進まない場合、あるいは現時点での将来予測が極めて困難な移行リスク・物理的リスクの影響および発現度によっては、研究開発費用などの費用増加、顧客満足やブランドイメージの低下による販売機会の逸失、異常気象による調達・生産・物流活動の停滞などにより、SUBARUグループの経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性が、現時点で認識しているリスクとして挙げられます。
また、気候変動に対する適切な取り組みにより、新たな市場の開拓や雇用の創出、資本やエネルギーのコストの低減が期待されます。
認識した主なリスク
事業運営全般
- 低炭素化・脱炭素化への取り組みが不十分な場合、SUBARUブランド価値が毀損し、人材採用や販売に悪影響を及ぼす可能性があります。また、中期・長期的な視野の投資家などからの資金調達が困難となり、資本コストが上昇する可能性があります。
- 現在のパリ協定の各国目標は2℃未満の目標達成には不十分と言われており、各国がより厳格な目標へ見直した場合には、SUBARUのビジネスに重大な影響を与える可能性があります。
- 気候変動の顕在化に伴う各地での集中豪雨の多発による原材料供給の停滞や工場浸水による操業リスクが考えられます。
商品
- 日本、米国、欧州、中国の燃費規制に合致しない場合、法令違反に基づく罰金・過料やクレジット購入など、負のインセンティブが生じ、SUBARUは追加の費用や損失を被る可能性があります。また、一定の燃費水準を満たさない場合には、商品の販売機会が制限される可能性があります。
- 現時点では電動化に関する技術進歩・価格適正化の予測が難しく、将来、市場との乖離が生じることが予想されます。この市場ニーズとの乖離は過大な開発投資、顧客満足度の低下による不測の損失や販売機会の減退を招き、電動化の進行を遅らせる可能性があります。
- 電動化は、調達・使用・廃棄にいたるすべての過程で、収益性を確保しつつ進めることが重要であり、SUBARU商品の上流・下流を巻き込んだ取り組みが進まない場合には、商品のライフサイクル全体でその目的を達成できない可能性があります。
- 中長期的な視野では電動化は着実に進むものと考えており、ある段階で一気に市場への浸透が進む可能性があります。その時点で、適切な技術と商品を備えていない場合には、商品の販売機会に重要な影響を与える可能性があります。
- 天然資源を使用しているタイヤ、電動化技術に使用する金属資源の調達が困難になる可能性があります。
生産段階
- 化石燃料由来のエネルギーを使用し続けた場合、石油などの地政学的な要因によるものの他、政府の炭素税や排出枠規制などの対象となり、コストが上昇する可能性があります。
- 再生可能エネルギー利用が進まなかった場合、スコープ1、2排出量の削減対策が滞る可能性があります。
認識した主な機会
- 商品の環境対応が適切に進み、かつ、世界規模で気候変動の適応・緩和も進んだ場合、SUBARUの主力市場を維持し、一定規模で発生を避けられない世界各地の異常気象に対しても、SUBARUの強みである安全・安心な商品が、新たな市場の開拓や雇用の創出などに波及する可能性があります。
- 気候変動の緩和に貢献することで、SUBARUのブランド価値が上昇し、人材採用や販売に好影響を与える可能性があります。また、投資家からの資金調達が容易となり、資本コストの低減につながる可能性があります。
- 生産段階で消費するエネルギーに関し、費用対効果にも配慮しつつ再生可能エネルギーへ移行することは、化石燃料由来のエネルギーに内在する価格変動リスクから解放され、将来のコスト上昇を未然に防げる可能性があります。
※リスク・機会に関しては、過去の事実や現在入手可能な情報に基づいたものであり、将来の経済の動向、SUBARUを取り巻く事業環境などの要因により、大きく異なる可能性があります。また、気候変動に適応したSUBARUの商品が貢献できる機会をあらわしたものであり、気候変動の悪化などを期待するものではありません
体制
SUBARUは、社会とSUBARUの持続的成長、および地球環境の保全に貢献することを目的とした「環境委員会」を設け、将来の社会が要求する環境水準と合致する大局的かつ中長期的な方策(目標など)を議論すると共に、それらの進捗を評価しています。
環境委員長は、サステナビリティ推進部を担当する取締役が務めます。環境委員会で行われた議論などの内容は、CSR委員会へ報告されます。また、必要に応じて、経営会議および取締役会へ附議・報告される体制を整備・運用しています。気候変動に関する課題についても当環境管理体制に組み込み、気候関連課題を含む環境リスク・機会の評価、モニタリングおよびマネジメントレビューを実施し、重要な問題は取締役会に報告しています。生産環境小委員会、地球温暖化防止部会、国内関連企業環境小委員会、販売・サービス/物流環境小委員会を各々年二回実施し、モニタリングしています。
気候変動関連のガバナンス体制

中長期目標(長期ビジョンとマイルストーン)
SUBARUは脱炭素社会に貢献するため、商品および生産活動(スコープ1および2)に関する長期目標(長期ビジョン)を2050年とし、それを補完する中期目標(マイルストーン)を2030年頃に設定しています。
カテゴリー | 時期 | 目標 |
---|---|---|
商品 (スコープ3) |
2050年 | Well-to-Wheelで新車平均(走行時)のCO2排出量を、2010年比で90%以上削減 |
2030年代前半 | 生産・販売するすべてのSUBARU車に電動技術を搭載 | |
2030年まで | 全世界販売台数の40%以上を、電気自動車(EV)+ハイブリッド車にする | |
工場・オフィス (スコープ1、2) |
2050年度 | カーボン・ニュートラルを目指す |
2030年度 | 2016年比30%削減(総量ベース) |
工場・オフィスなどの2万t-CO2削減チャレンジ
SUBARUグループは2030年度に工場・オフィスなどから排出するCO2の30%削減(2016年度比、総量ベース)を目指す「環境アクションプラン2030」の一環として、2020年度までに2万t-CO2削減を、オールSUBARUでチャレンジしています。
2019年度は1.8万t-CO2の削減に成功し、2020年度はチャレンジ目標を上回る2.3万t-CO2の削減を計画しています。
2019年度の主な取り組みとCO2削減相当量
主な取り組み | 2019年度実績 | 2020年度見込 |
---|---|---|
群馬製作所大泉工場への自家消費型太陽光発電設備の導入※1 | ― | 3,700t-CO2 |
群馬製作所本工場におけるCO2排出ゼロ電力(アクアプレミアム)の導入 | 6,032t-CO2 | 6,000t-CO2 |
SUBARU ACCESSORY CENTER・関東納整センターへの自家消費型太陽光発電設備の導入※2 | ― | 330t-CO2 |
宇都宮製作所南工場および南第2工場におけるCO2排出ゼロ電力(とちぎふるさと電気)の導入 | 4,771t-CO2 | 4,700t-CO2 |
東京事業所におけるCO2排出ゼロ電力(アクアプレミアム)の導入およびグリーン電力証書の活用 | 3,891t-CO2 | 3,883t-CO2 |
SIAテクニカルトレーニングセンターにおける太陽光発電設備の導入※3 | 41t-CO2 | 120t-CO2 |
本社エビススバルビル・スバル総合研修センターにおけるグリーン電力証書・グリーン熱証書※4の活用 | 1,029t-CO2※4 | 1,000t-CO2 |
LED照明化(2018年度~2020年度累計)※5 | 1,868t-CO2 | 3,358t-CO2 |
合計 | 17,632t-CO2 | 23,091t-CO2 |
- ※1
- 2020年5月より稼働しています。
- ※2
- 2020年4月より稼働しています。
- ※3
- 2019年12月より稼働しています。
- ※4
- グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度。現在承認申請中につき、概算値としています。
- ※5
- 本取り組み期間の3カ年累計で表示しています。(2018年度:440t-CO2、2019年度:1,428t-CO2、2020年度計画:1,490t-CO2)
2万t-CO2削減に向けたSUBARUの主な取り組み

実績
SUBARUの2019年度のサプライチェーン温室効果ガスの排出量(スコープ1、2、3)は3,593万t-CO2でした。スコープ3排出量の割合が98%であり、販売した商品の使用による排出量の割合が大半を占めています。
SUBARUが直接排出するCO2(スコープ1および2)は、スコープ3も含めた全体から見ると僅かとも言えます。しかし、SUBARU自らが率先して直接排出のCO2削減に取り組むことは、オールSUBARUとしてバリューチェーン全体の活動をより充実させていくことにつながるものと考えます。2019年度は生産量増加に伴い、エネルギー使用量は2,242kL増加しましたが、再生可能エネルギーの活用によりスコープ1、2排出量は6,678t減少しました。今後、最新の省エネ設備や再生可能エネルギーの導入により、CO2排出量、エネルギー使用量の削減を目指します。
- スコープ1:企業の自社施設から直接排出される温室効果ガス。
- スコープ2:他社から供給された電気・熱・蒸気の使用にともない間接的に排出する温室効果ガス。
- スコープ3:スコープ1,2 以外の間接排出で、原料調達、輸送、商品使用、廃棄過程の他、従業員の通勤、出張などにより排出される温室効果ガス。

CO2排出量(スコープ1、スコープ2)

排出係数の変更: 本年度より、SUBARUのCO2排出量を、地球温暖化対策推進法の調整前温室効果ガス排出量から調整後温室効果ガス排出量に変更しています。この影響については、2015年度に遡って変更後の方法で修正再表示を行っています。
CO2排出量(スコープ3)
カテゴリ | 温室効果ガス排出量(t-CO2) | ||
---|---|---|---|
2018年度 | 2019年度 | ||
1 | 購入した製品・サービス | 1,703,682 | 1,992,046 |
2 | 資本財 | 372,211 | 413,287 |
3 | スコープ1、2に含まれない燃料 およびエネルギー関連活動 |
78,815 | 105,323 |
4 | 輸送、配送(上流) | 658,268 | 737,817 |
5 | 事業から出る廃棄物 | 31,984 | 32,095 |
6 | 出張 | 4,446 | 4,554 |
7 | 雇用者の通勤 | 13,506 | 13,835 |
8 | リース資産(上流) | 該当なし | 該当なし |
9 | 輸送、配送(下流) | 該当なし | 該当なし |
10 | 販売した製品の加工 | 該当なし | 該当なし |
11 | 販売した製品の使用 | 30,068,816 | 31,390,639 |
12 | 販売した製品の廃棄 | 556,139 | 575,107 |
13 | リース資産(下流) | 該当なし | 該当なし |
14 | フランチャイズ | 該当なし | 該当なし |
15 | 投資 | 該当なし | 該当なし |
※環境省 経産省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer2.3(2017年12月)」および環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.0)(2020年3月)」およびSUBARUのLCAの算定基準を参考にスコープ3排出量の算定方法を見直しました。
エネルギー使用量

(株)SUBARUは省エネ法の届出に基づいて算定しています。
CO2排出量(スコープ1、スコープ2、スコープ3)/エネルギー使用量
- 対象範囲:
(株)SUBARU
- 国内グループ会社:
- 輸送機工業(株)、富士機械(株)、イチタン(株)、桐生工業(株)、(株)スバルロジスティクス、SUBARU販売特約店
- 海外グループ会社:
- Subaru of Indiana Automotive, Inc.、Subaru of America,Inc.、Subaru of Canada, Inc.、Subaru Research & Development, Inc.
取り組み
生産
SUBARUは、第6次環境ボランタリープランを掲げ、照明機器をはじめとする設備・装置の交換や再生可能エネルギーの利用などを通じて、定量的なCO2削減に取り組んでいます。一部の工場の屋根に、断熱塗料を塗布する他、断熱シートを張り、太陽光による輻射熱を抑制することで、工場内の気温上昇を抑える対策を展開しています。
また、SUBARUグループは照明のLED化を積極的に展開し、約9,000台をLEDへ交換しました。
高効率空調機器の導入
自動車の塗装工程では「温める」「冷やす」を繰り返す必要があり、大量のエネルギーを必要とします。そこで群馬製作所矢島工場では2018年から従来技術(個別熱源システム)を変更し、ヒートポンプを中心とした高効率の熱源システムを導入しました。その結果、2019年度はCO2排出量を2017年度比で2,926t-CO2削減しました。
コジェネレーション設備の更新
群馬製作所にて最初に導入したコジェネレーション設備が稼働開始より15年を迎えたため、老朽設備の更新を実施し2019年に稼働を開始しました。更新にあたっては、直近の使用エネルギー構成を考慮し、より一層省エネルギーに寄与する仕様での機種を選定しました。
2019年度は旧型稼働時と比較してCO2排出量を5,892t-CO2削減しました。
照明器具のLED化
SUBARUグループは照明のLED化を積極的に実施しています。2019年度は照明器具約9,000台をLEDに交換することで、CO2排出量を約1,500t-CO2削減しました。
物流
SUBARUは、第6次環境ボランタリープランに基づき、グループ全体で物流会社、販売会社と協働することで、完成車や輸出部品などの輸送効率化を推進し、CO2排出量の削減に取り組んでいます。今後は、サプライチェーンマネジメントを強化し、さらに効率を高めた取り組みを進めていきます。

完成車の輸送
完成車の輸送における最適な標準ルートを設定し、輸送する車種構成の変化、大型化へ柔軟に対応すると共に、積載効率向上、省エネに寄与するデジタルタコグラフ※1導入、モーダルシフト※2の推進など、輸送の効率化を進めています。
輸送ルートの集約化および平準化をさらに高めたことにより、2019年度のSUBARU車1台あたりの輸送時CO2排出量は、2006年度比毎年1%減の目標に対し9.7%減となりました。今後もさらなる削減に向けて取り組んでいきます。
- ※1
- 自動車の走行時間や走行速度などの運行記録を自動的に記録し、メモリーカードなどに保存するシステム。業務として自動車を運行する業種における運行管理システムとして導入が進められつつある。急加速・急減速、アイドリングの無駄、危険運転などを明確に「見える化」することができるため、安全運転意識の向上、燃料使用量の削減を図ることができる。
- ※2
- 貨物輸送をトラック輸送から環境負荷の小さな鉄道輸送や船舶輸送に切り替えること。
輸出部品
SUBARU車の海外生産用の部品の梱包・輸送を行っている株式会社スバルロジスティクスでは、コンテナ充填率改善に継続的に取り組んでいます。2019年度の充填率は、背の高いハイキューブコンテナの空きスペース活用、梱包荷姿の見直し、梱包資材の軽量化などの改善を拡大し、前年度に対し14.7ポイント改善し、93.6%となりました。
また、輸送ルートの効率化にも取り組んでいます。2017年よりラウンドユース※1を導入し、2019年度のCO2排出量は、前年度に対し510t-CO2の削減となりました。インランドコンテナデポ※2も活用し、さらなるCO2排出量削減に向けて積極的に取り組んでいます。
2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | |
---|---|---|---|---|---|
充填率 | 84% | 89% | 88% | 79% | 94% |
- ※1
- 輸入に用いた後の空の海上コンテナを港に戻さず輸出に転用するもので、輸入者から輸出者に直接輸送し、港からの空コンテナ輸送を削減する。
- ※2
- 海上コンテナ物流の陸上部分の輸送体系を見直し、荷主の物流コストの低減や物流の効率化を図るため、内陸部(インランド)にあるコンテナ貨物の集貨拠点。
輸送車両
米国の生産拠点であるSubaru of Indiana Automotive, Inc.では、同社の部品輸送を担当するVenture Logistics(以下、Venture社)と連携し、天然ガス車両の導入を進めています。圧縮天然ガス(CNG)は、ディーゼル燃料に比べて環境負荷が低いうえ、コスト効率・信頼性の面でも優れていますが、供給するスタンドが近隣にないことが課題でした。SIAではVenture社に対して、2014年にCNGトラックの導入費用100万ドル超を融資すると共に、SIAの所有地に天然ガススタンドを設置しました。その結果、2019年度は72,620t-CO2のCO2排出量を削減しました。
販売
SUBARU販売特約店では、老朽設備更新のタイミングで、照明のLED化と空調機の高効率タイプへの切り替えを順次行っています。
再生可能エネルギー
CO2を排出しないエネルギー源として太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用は、ますます重要な選択肢となっています。また、エネルギー源多様化による安定供給の確保としても有効的であり、SUBARUでは順次各施設に導入しています。
なお、SUBARUグループは再生可能エネルギーの利用により、2019年度に約16,000t-CO2のCO2排出量を削減しました。
太陽光発電由来の電力
東京事業所
太陽光発電設備を事務本館屋上に10kW 2基を2009年度と2014年度に、5kWを2014年度に、守衛所に2kW 1基を2014年度に、特別高圧変電所に2.7kWを2016年度に導入しました。2019年度は38MWhを発電し、東京事業所の電力の一部として活用されています。
スバル研究実験センター建屋および富士機械株式会社 大泉工場
2017年度から太陽光発電設備を導入しました。2019年度はスバル研究実験センター建屋では64MWhおよび富士機械株式会社 大泉工場では36MWhを発電しました。


群馬製作所大泉工場
2020年5月より国内最大級(約5,000MWh/年)の太陽光発電設備を導入しました。年間約2,600t-CO2のCO2排出量削減を目指します。
SUBARU ACCESSORY CENTER
2020年3月に年間発電量1,145MWh/年の太陽光発電設備を導入しました。年間約330t-CO2のCO2排出量削減予定です。
売電事業
2014年度に群馬県桐生市に定格出力420kW(戸建住宅100軒分相当)の太陽光発電設備を導入し売電する事業を行っています。2019年度は627MWhを売電しました。
水力発電由来の電力
CO2排出ゼロの水力発電由来の電力のみを販売する料金プラン「アクアプレミアム」を、群馬製作所本工場および東京事業所で購入する電力の一部に導入します。これにより、当社は約1万t-CO2(年間発電量:21GWh相当)の削減を見込んでいます。アクアプレミアムによる2019年度のCO2削減効果は群馬製作所では6,032t-CO2、東京事業所では2,273t-CO2でした。
地産地消型の電気メニュー「とちぎふるさと電気」
SUBARU航空宇宙カンパニー宇都宮製作所の南工場および南第2工場において、栃木県が保有する水力発電所を電源とした、全国初の地産消費型の電気メニュー「とちぎふるさと電気※」を2018年度より導入しています。
本メニューの導入により、毎年4,700t-CO2以上のCO2排出量削減をしています。また、本メニューを通じてSUBARUが支出する電気料金の一部は、栃木県内の環境保全事業などに活用されています。
※栃木県企業局と東京電力エナジーパートナー株式会社が提供するメニューです。発電時にCO2を排出しない栃木県内8カ所の県営水力発電所で発電した電力を使用するため、電力使用にともなうCO2排出量をゼロにすることができます。
グリーン証書の活用
本社エビススバルビル・スバル総合研修センターでは、消費する電力および熱を対象にグリーン電力証書・グリーン熱証書の制度を活用してCO2排出ゼロのオフィスを目指しています。活用初年度である2019年度は、約1,000t-CO2削減しました。
東京事業所は、2019年11月より、3,556MWh、CO2削減効果1,681t-CO2相当の電力を購入しました。なお、この削減効果は東京都環境確保条例による総量削減義務に充当する予定です。
環境技術を利用した事業所
群馬製作所
2016年4月に竣工した群馬製作所にある西本館は、太陽光パネルで20kWを発電し、個別アドレス式制御、撮像式人感センサーを組み合わせた新世代照明システムを採用、高効率空冷ヒートポンプチラーを導入しました。また、Low-E複層ガラスやクールヒートトレンチの導入、日射遮蔽効果と憩いの空間を創出するバルコニーを設けるなど、機械のみに頼らず省エネルギーと快適な職場環境の両方に寄与するいくつもの工夫を施しています。2019年度、群馬製作所の本工場、矢島工場のエネルギー担当者は一般財団法人省エネルギーセンターから省エネ推進功労者として表彰されました。

Subaru of Indiana Automotive, Inc.
2019年12月に新設されたSIAテクニカルトレーニングセンターは、施設の稼働に必要な電力の約半分をまかなえる太陽光発電を屋上に設置し、屋内の照明にはすべてLED・モーションセンサーを導入しています。

Subaru of America, Inc.
LEED認証※は、コストや利用資源の削減と共に、人々の健康に配慮し、また再生可能なクリーンエネルギーの導入・利用を促進することで、地球環境の保全を目指すものです。2018年4月にニュージャージー州に竣工したSubaru of America,Inc.の新本社ビルとトレーニングセンターは、LEED認証の取得を目指してプロジェクトを立ち上げ、設計した建物です。2018年に新本社ビルが、さらに2019年7月にはトレーニングセンターが、LEED認証のなかでも標準認証よりレベルの高いシルバー認証を取得しています。このプロジェクトは2019年3月、米国グリーンビルディング協議会ニュージャージー州支部から、2019年の革新的なグリーンプロジェクトの一つとして表彰されました。
また、ニュージャージー州ペンソウケンにあるオフィスのリニューアルに伴い、LED・モーションセンサーが導入されました。ヒートアイランド現象の影響を低減するため、屋根は黒から白色に塗り替えられました。
※LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)は、米国グリーンビルディング協会(USGBC:US Green Building Council)が開発・運営する、環境に配慮した建物に与えられる認証制度。建築全体企画・設計から建築施工、運営、メンテナンスにおける省エネルギーや環境負荷を評価することにより、建物の環境性能を客観的に示すことができることから、米国を中心にLEED認証の取得が拡大している。
Subaru Canada, Inc.
2019年に移転したカナダの販売店Scott Subaruの建屋はエネルギー効率の高い設計となっており、冷暖房施設などを必要とせず、世界で唯一、販売店としてパッシブハウスの認定を受けました。
外部との協働
SUBARUは気候変動について、お取引先様やお客様、業界団体などと協働することにより、対応を図っています。
トヨタ自動車株式会社とのアライアンス
SUBARUとトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)はSUBARUのAWD技術とトヨタの電動化技術を活用したEV専用プラットフォームおよびEV車両開発に取り組むことで合意したことを公表しました。両社の持つ技術の強みを持ち寄ることで、EVならではの魅力ある商品づくりを目指します。
お取引先様
お取引先様の選定や管理メカニズムに、気候関連問題を盛り込んだ行動規範を定め、オリエンテーション時に共有および徹底を図っています。またお取引先様が自主的にISO14001を取得したことで、環境関連の事故・不具合などが減少しました。Tier2のお取引先様※が希望すれば、エコアクション21の認証取得を支援する独自の仕組みも構築し、運用しています。
※自動車メーカーに部品を供給する二次請けの企業。
業界団体
一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)の気候変動対策に関する委員会に、メンバーとして参加しています。また代表取締役社長および取締役専務執行役員は、JAMA役員として機関決定に参加し、JAMAの決定はSUBARUの中期経営ビジョン「STEP」に反映されています。
お客様
米国販売店のCarter Subaru Balladは、国道沿いの森林保護活動として、スバルの車を試乗すると1本、購入された場合は更に3本の木が植えられるキャンペーンを実施しており、2019年まで11年間で累計植樹本数20万本を達成しました。お客様や地域住民と共に植樹活動を実施することで、気候変動をはじめとした環境意識の啓発を図っています。