考え方・方針

SUBARUグループが、お客様に提供する価値「安心と愉しさ」の根幹は「品質」です。品質最優先を合言葉とし、高品質な商品とサービスの提供を推進しています。


品質方針

私たちは何より品質を大切にしてお客様の信頼に応えます

  1. お客様に安心して長くお使いいただける商品をお届けします
  2. お客様の声に常に耳を傾け、商品とサービスに活かします
  3. 法令・社会規範・社内規則を遵守し、お客様に信頼される仕事をします

体制・マネジメント

SUBARUグループでは、社長を最終的な責任者とし、CQO(最高品質責任者)が国内・海外の関係会社も含めた品質保証活動を統括しています。また、品質保証を統括・管理する部署として品質保証統括室を設置しています。CQOのもと、自動車事業においてはカスタマーファースト推進本部長、航空宇宙事業においては航空宇宙カンパニープレジデントがそれぞれの品質保証活動を統括管理しています。会社として全社の品質課題に迅速かつ一貫して関与できる体制となっており、グローバルでの品質改善のスピードと実効性を高めています。



【自動車事業】
お客様がSUBARUに求める「品質」に対する期待と信頼に応えるため、商品の企画段階から、お取引先様の部品調達、工場における生産・出荷・アフターサービスにいたるすべてのプロセスでお客様に感動いただける高品質な商品とサービスの提供を推進しています。

品質マネジメントシステム

ISO9001規格に基づいた「オートモーティブビジネス品質マニュアル」を策定して品質マネジメントシステム(QMS)を構築・運用しており、2006年以降外部監査機関による監査を受けISO9001認証を継続取得しています。お客様の要求事項、適用される法令・規制要求事項に適合することを保証するとともに、業務改善を図り、品質向上・顧客満足の向上を目指しています。

品質マネジメントサイクル

品質マネジメントサイクル 品質マネジメントサイクル

品質改善委員会

品質改善委員会は、企画・開発・調達・生産・営業・カスタマーサービス・品質保証などの各部門責任者が出席して行う、自動車事業における品質改善推進の最高機関です。カスタマーファースト推進本部長を委員長とし、自動車事業一連の業務に関わるあらゆる品質を議題の対象として原則毎月行われます。また、北米市場に関する課題については、上記部署のほか、米国・カナダの販売会社、SUBARU北米工場の責任者を出席者に含めて、別途「北米品質改善委員会」として半年ごとに開催しています。

開発品質保証体制

品質の良い商品をお客様に届けるためには、開発時点での品質向上が何より大切です。そのため、SUBARUでは2018年より開始した「品質改革」において「生まれの品質の改革」活動を強化し、初期の企画構想段階から開発・生産・物流過程にいたる車両開発のあらゆるプロセスにおいて、一貫した品質確保に取り組んでいます。過去に市場で発生してしまった不具合をデータベース化し、その再発防止策が開発車両に織り込まれているかの総点検や、新規に採用する部品や過去生産車両との変化点を把握する等の不具合発生の未然防止対策を行っています。また、新車開発責任者の品質責任明確化と権限強化を行い、品質目標のゲート管理を第一とする開発プロセスにし、「生まれの品質」強化を図っています。

製造品質保証体制

SUBARUでは、「お客様第一」を工場運営の全ての判断基準とし「世界一の高品質・高効率とクリーンで快適な工場」をスローガンに生産を行っています。その柱となる思想が「自工程保証」です。後工程を「お客様」として捉え、自分の担当する工程の品質を保証し次工程に不良品を流さないことで最終的にお客様に品質の良い商品を届けることを目指します。この「自工程保証」と「変種変量短生産」「技術・技能の伝承」を3本柱とした工場運営の思想を「スバル・マニュファクチャリング・ウェイ(SMW:Subaru Manufacturing Way)」として掲げ、「TPM:Total Productive Maintenance(Management)」活動に全員参加で取り組んでいます。

市場品質改善体制

SUBARUグループでは、商品販売後の品質不具合やお客様のご要望をいち早く分析し、迅速な対策投入や、より高品質な商品開発・生産に結びつける品質改善体制を目指しています。グローバルに収集したお客様の声をもとに、社内の関連部門やお取引先様とともに、品質に関する課題の抽出、原因の調査、対策の立案を行っています。
リコール対応の詳細は別頁「リコールへの対応」をご覧ください。
2021年1月より、米国現地関係会社の品質保証部門・開発部門および米国・カナダ販売会社のサービス部門が一体となって活動する北米品質改善チームとして、「FAST」を設置し、部署間の連携を強化することにより現地でよりスピーディに市場要望に対応しています。
SUBARUでは、2025年4月より「カスタマーサービス本部」「部品用品本部」「品質保証本部」の3本部を統合し、「カスタマーファースト推進本部」が発足しました。アフターサービス部門が一体となることで品質改善のスピードをさらに加速し、「お客様第一」を実現していきます。

FAST:Fast Action & Solution Team
品質改善体制
品質改善体制 品質改善体制
北米品質改善チーム「FAST」の体制
北米品質改善チーム「FAST」の体制 北米品質改善チーム「FAST」の体制

お取引先様との協力体制

SUBARU車の品質維持・向上のためには、外製購入部品の品質確保も重要です。SUBARUでは、お取引先様と一体となった様々な取り組みを行うことにより、外製購入部品の品質を確保しています。
まずは、品質のつくり込みや安定化のための基準・ルールをマニュアルとしてまとめ、すべてのお取引先様に展開し考え方の理解・浸透を図り、双方が共通認識に立った取り組みができる土台づくりを行っています。また毎年、年度初めにはお取引先様向けの品質方針に関する説明会を開催し、品質に関する状況を共有しています。さらには、品質目標や重要な品質指標を設定し、品質向上の施策や品質強化ポイントなどについて可能な限り具体的に示しています。また、APQP(Advanced Product Quality Planning:先行製品品質計画)プロセスにのっとり活動することで、お取引先様自身での改善を促し、全体としての品質向上にも寄与しています。
そのほか、大規模な自然災害や世界情勢の変動など外部環境が不透明さを増している近年においては、部品供給問題が生じる可能性が高まっていることから、万が一に備え、部品供給の迅速な復旧など、お取引先様への支援体制も確立しています。
なお、お取引先様に対しては、品質の確認とあわせて、環境・人権などに関する確認も実施しており、CSR調達にてその取り組みを紹介しています。

品質保証におけるリスクと機会の考え方

「品質」は企業の存続に直結する重要な要素です。高品質な商品の提供はSUBARUブランドの信頼性を高める一方で、市場での不具合は顧客からの信頼喪失というリスクに直面し、企業の財務や評価に甚大な損害を与えかねないリスクがあります。そのため、継続的な品質の維持・向上が不可欠であり、従業員一人ひとりの業務の質の向上がSUBARUの品質向上につながると考えています。
SUBARUでは、品質に関する社内教育を実施するとともに、毎年「品質キャラバン」を開催しています。「品質キャラバン」は、SUBARUの品質の現状を正確に把握して品質意識を醸成する目的で実施しています。また、有資格の従業員による内部監査を実施し、適正に業務が行われているかチェックをしています。そのうえで外部審査機関による審査を受審し、ISO9001の認可を継続取得しています。
また、お取引先様については、品質保証体制や品質マネジメントシステムに関する定期的な自主監査を支援し、第三者視点でのアドバイスを行っています。加えて定期的な監査とは別に、SUBARUがお取引先様の製造工程や生産現場に直接お伺いし、非定期の実地監査や工程診断、さらには生産性改善の提案を実施するなど、さらなる品質向上に向けた協働の取り組みも行っています。
このような品質維持・向上活動の結果として、SUBARUは米国コンシューマーレポートの2024年信頼性の評価(新車~3MYの車両対象)において、自動車メーカー22社の内1位を獲得し、性能評価などを含めたブランド総合評価においても32社中1位となりました。

取り組み・実績

品質保証教育

高品質な商品をお客様にお届けするには、従業員一人ひとりが品質を意識して業務を行うことが重要と考えています。SUBARUでは、品質に関する社内教育を全従業員に対して実施しています。入社年次や職位など、知識や経験のレベルに応じた品質教育を継続的・定期的に実施することでお客様視点での品質意識を醸成し、一人ひとりが品質最優先で行動できるように教育を行っています。
また、自動車製造部門では、高い品質意識が不具合の未然防止につながった事例を品質功労賞として表彰しています。表彰者と表彰事例は、社内のイントラネットなどを通じてSUBARU内で展開しています。

品質グローバルミーティング

SUBARUグループでは、品質最優先の考えを着実に実行するために、日頃から直接お客様と接している世界各地の販売特約店との対話を重視しています。日本市場では年2回の技術連絡会議、海外市場では年1~2回の主要販売特約店サービス会議ならびに6つの地域で開催されるブロック会議などを通し、お客様にご迷惑をおかけする品質問題の最適な対応方法などについて販売特約店の意見を取り入れながら決定しています。2025年度は、現地開催とWEB開催を併用して実施する予定です。
また、市場の声を聴き、品質改善のスピードアップのため、カスタマーファースト推進本部長が委員長となり、全部門の役員レベルで品質に関して議論する品質改善委員会を原則毎月開催するとともに、北米CQOや北米販売子会社トップを含めて、北米市場の品質にフォーカスした北米品質改善委員会も年に数回開催しています。

6つの地域とは、CIS・中欧・北欧・南欧・オセアニア・中南米のこと。地域内の各国で持ち回り開催している。会議の参加者は、販売特約店サービス部門の代表者ならびに当該地域駐在員
品質グローバルミーティング
品質グローバルミーティング

品質キャラバン

2018年度より毎年、SUBARUの商品に関する品質状況やお客様の声を従業員に伝える「品質キャラバン」を、SUBARUの全従業員を対象に実施しています。2024年度は、延べ42日にわたり開催し、以下を実施しました。

  • 直近の品質課題についてのお客様視点での説明
  • 日本国内のお客様コールセンタースタッフへのインタビュー動画の上映
  • 北米の販売特約店の社長による北米における自動車の使われ方の解説動画の上映
この取り組みにより、品質課題の自分ごと化とお客様視点での品質最優先意識の醸成を図っています。また、共有された情報は多くのお取引先様へも提供しています。さらには米国SUBARU車生産子会社であるSubaru of Indiana Automotive, Inc.でも品質キャラバンを開催し、SUBARUグループ全体でグローバルに品質意識啓発を推進しています。

品質キャラバン
品質キャラバン

出荷前検査

SUBARUでは、不具合流出を防止するために出荷前に厳格な検査を行っています。お客様目線での厳しい検査を実施すべく、2018年に、完成車の検査部門を従来の製造部門から分離して、品質保証本部(現:カスタマーファースト推進本部)に完成検査部を設立しました。また、明確なプロセスによる正確な検査を行う環境を整えるために、完成検査工場を2つ新設しました。1つ目の完成検査工場は2022年8月、2つ目の工場は2023年8月よりそれぞれ稼働を開始しました。異常を検出しやすい照明の標準化や床面を下げた足回り検査工程などの整った環境下で、デジタルを活用した厳格な検査を行い、お客様に安心してお使いいただける高品質な商品の提供を目指しています。

出荷前検査
出荷前検査

不具合部品調査

発生した不具合を早期に解決するため、SUBARUは自社で不具合部品を調査する「品証ラボ」を設置しています。不具合が発生した場合には、開発・製造部門が中心となり原因究明と対策を講じますが、特に原因特定が難しい不具合に対しては品質保証部門が自ら「品証ラボ」で不具合部品を分析・調査することにより、不具合解決のスピードアップを図っています。

品証ラボ
品証ラボ

リコールへの対応

SUBARUグループは、お客様の安全を最優先に考え、事故を未然に防止すべく、リコールへの処置対応を行っています。
世界各国のお客様からのご指摘や不具合情報などから、商品の安全性や法規に抵触する可能性のある不具合が生じた場合には、社内規程に基づきCQOを委員長とするリコール委員会を設けて、具体的な対応内容を決定し、関係官庁へ速やかにリコールの届け出を行います。安全・安心を最優先に、対象となるお客様には販売特約店からダイレクトメールなどで修理(無償)をご案内しています。迅速に改善が図れるよう市場措置の進捗状況の確認を行っています。
なお、2025年4月現在において、品質や安全に関する情報提供に関して、法律や自主規定に違反している事例はありません。

SUBARUでは、車両の個体番号と搭載している部品の個体番号とを紐づける「部品トレーサビリティ」を進めています。万が一リコールが発生した場合でも、不具合が発生した部品を搭載している車両を早く確実に特定することで不具合範囲の縮小と対応のスピードアップを図り、お客様への影響範囲を最小限にするとともに対応期間の短縮に努めています。

SUBARU車のリコール推移

(台数:千台)

  2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
  件数 台数 件数 台数 件数 台数 件数 台数 件数 台数
日本 8 177 9 311 13 391 13 359 5 47
北米 5 217 7 1,380 11 378 11 304 1 22
その他 2 6 6 376 9 266 12 40 3 8
合計 15 400 22 2,067 33 1,035 36 703 9 77

※1
社内データのため、当局公表データと異なる場合があります
※2
同一案件を複数の地域で実施している場合、重複してカウントしています
※3
件数はOEM車両分も含む

タカタ製エアバッグ リコールの進捗状況

SUBARUのタカタ製エアバッグのリコール対応について、米国では業界平均88.2%を上回る進捗率で推移しています。

米国におけるタカタ製エアバッグ リコール進捗状況
No. 自動車メーカー 進捗率
1 米国A社 99.4%
2 欧州B社 98.1%
3 日本C社 95.7%
4 日本D社 95.3%
5 日本E社 95.0%
6 米国F社 94.8%
7 日本G社 94.8%
8 欧州H社 93.9%
9 SUBARU 93.4%
10 欧州J社 93.4%
  ・・・ ・・・
  業界平均 88.2%
2024年4月 NHTSA公表データより