──ルールベースだけでは実現できない、AIを活用した新たな物体認識とは
目下、SUBARU Labで進められているのが、次世代アイサイトに搭載するためのAIモデルの開発です。多くのメーカーが車両周辺の物体の検出や距離の測定などにレーダーやLiDARとカメラを組み合わせて利用するなか、SUBARUはステレオカメラを採用しているのが特徴です。画像の情報に加えて左右のカメラの画像の違いから三角測量の原理を用いて画像内の各点の距離を同時に測ることができます。
現行のアイサイトでは画像と距離の情報などから物体を認識する特徴量を開発者が手動で設計していますが、次世代アイサイトへの搭載を目指して開発しているのは、車両なのか歩行者なのかといった物体認識の特徴量をディープラーニング技術で学習データから自動的に設計するAIモデルです。
これまでアイサイトが数十年にわたって積み上げてきたステレオカメラによるルールベースのアルゴリズムに加え、AIモデルを組み合わせて使うことで認識性能をさらに高められると考えています。

運転はマルチタスクです。人間は運転する時、同時に、しかも瞬時に人も見るし、道路も見るし、信号機も道路標識も見ている。ありとあらゆる種類のものを同時に認識して、「ここは避けなきゃいけない」「ここを進もう」と考えながら運転しています。
それをAIなどのシステムに実装しようとすると、前の車両を認識するタスク、歩行者を認識するタスク、道路標識を…とそれぞれに開発や動作の品質を保証するための多くの検証が必要になります。ステレオカメラ認識技術とAI技術による結果をひとつにまとめ、結果を束ねて使えるように仕立てるチームが必要になります。
SUBARU LabではCV(Computer Vision)チームがステレオカメラの認識結果とAIの認識結果を束ねるアルゴリズムを考え、車両の制御に使えるように仕立てる役割を担ってくれています。CVチームと我々MLチームは密に連携を取っていて、MLチームが開発しているAIモデルを活用したアプリケーションの開発をCVチームが行っています。
