考え方・方針

SUBARUでは、コンプライアンスの実践を経営の最重要課題の一つと位置づけて、SUBARUグループのすべての役員および従業員がコンプライアンスマニュアルや法令をはじめとする社内規程および社会の倫理・規範に則して行動することを隅々にまで浸透・定着させています。万が一、そこで掲げた行動基準に違反するようなことがあれば、法令等の定めにより罰せられ、会社に損害が発生するばかりでなく、お客様、お取引先様をはじめとするステークホルダーの皆様からの信用・信頼を失うことになります。コンプライアンス体制・組織の構築および運営、ならびに各種研修などの活動を通して、SUBARU全体でのコンプライアンスの徹底がSUBARUの経営の基盤を成すことを従業員一人ひとりが強く認識して行動する取り組みを行っています。

コーポレートガバナンスガイドラインPDF/544kB(2023年12月25日)

コンプライアンスに係る諸規程

SUBARUは、コンプライアンスに関する体制・組織および運営方法を定めた「リスクマネジメント・コンプライアンス全社規則」などのコンプライアンス関連諸規程を定め、コンプライアンスに係る取り組みの充実を図っています。
また、ありたい姿である「笑顔をつくる会社」を目指して、役員および従業員が日常の事業活動の中で実践するための行動基準として「コンプライアンスガイドライン」を定めており、法令・コンプライアンス規程をはじめとする社内規定および社会の倫理・規範に則して行動するための体系的解説書として「コンプライアンスマニュアル」(日本語版、英語版、中国語版)を作成し、関係者へ展開しています。

コンプライアンスマニュアル
コンプライアンスマニュアル・エッセンシャル版

体制・マネジメント

SUBARUグループは、コンプライアンスを推進する組織として「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を設置しています。取締役会が選任したCRMO(最高リスク管理責任者)が、同委員会の委員長となり、リスクマネジメント・コンプライアンス室が同委員会事務局を務めています。同委員長の指揮のもと、コンプライアンスについて包括的に監督を行いながら、グローバルかつグループワイドでの取り組みを実行しています。加えて、各種方針などの策定、SUBARUグループ全体でのコンプライアンス活動状況、内部通報制度運用状況など、重要なコンプライアンス事項に関する審議・協議、決定および情報交換・連絡を行っており、その内容については取締役会へ付議・報告しています。

また、各部門はそれぞれコンプライアンス推進のための実践計画(コンプライアンス・プログラム)を毎年度策定し、法令遵守管理や従業員へのコンプライアンス啓発などに関する継続的・計画的な自主活動を進めるほか、コンプライアンス遵守状況の確認を通して、PDCAを回しています。

コンプライアンス体制

コンプライアンス・ホットライン制度

SUBARUと国内のグループ会社で働く従業員や派遣社員は、グループ内のコンプライアンスに関する問題を発見した場合、「コンプライアンス・ホットライン」を利用して「内部通報窓口」に相談することができます。
「内部通報窓口」は、電話・WEB・郵送などにより受け付けた通報を、公益通報者保護法に定める従事者に指定された従業員が、事実調査や対応にあたります。また、利害関係のない第三者の外部専門事業者による社外窓口を設け、受付時間の拡大と通報者の秘匿性および機密性を強化しています。さらに、外国籍従業員からの相談に向けて、英語・中国語・ポルトガル語・スペイン語の4言語に対応した相談窓口を開設しています。
これらの窓口で受けた相談は、社内規程に則り、リスクマネジメント・コンプライアンス室長を責任者として、案件を精査し迅速な解決に努めています。また、適宜、経営層やリスクマネジメント・コンプライアンス委員会に報告し、再発防止に向けた取り組みも行っています。さらに、内部通報制度における事案と対応に関して、弁護士による第三者評価を実施し、制度の信頼性と対応力を向上させる仕組みを構築しています。
同制度の周知を図る取り組みにより、コンプライアンス意識が向上するとともに、些細なことでも気軽に相談できる風土が醸成されたことで、直近5年間の相談件数は増加傾向にあります。また、相談の8割以上は人間関係や労務・労働関係であることから、職場問題の吸い上げと解決の窓口として、組織風土改革にも寄与しています。
2023年度は、317件の相談がありました。このうち、コンプライアンス違反懸念および違反に関するものは34件ありましたが、重大なコンプライアンス違反に該当するものはありませんでした。また、34件のうち8件はパワハラなどのハラスメントと認定される行為がありました。なお、労働基準法違反の事例はありませんでした。

「コンプライアンス・ホットライン」(相談・解決の流れ)

「コンプライアンス・ホットライン」の相談内容の内訳と推移

(年度)

  2019 2020 2021 2022 2023
違反懸念および違反 14 19 26 24 34
労務・労働関係の苦情要望 60 65 67 59 52
人間関係の苦情要望 136 143 111 178 219
その他) 6 9 10 9 12
合計 216 236 214 270 317

取り組み・実績

研修

コンプライアンスの徹底には、SUBARUグループ全体で歩調を合わせて取り組むことが必要であると考え、法務部、リスクマネジメント・コンプライアンス室や人事・教育部門の主催で、SUBARUおよび国内グループ会社の従業員を対象とするコンプライアンス研修・実務法務研修などを実施しています。
2023年度については、SUBARU全従業員に対してハラスメントに特化した動画視聴による研修を実施し、国内グループ会社の一部でも実施しました。
加えて、重要法令についての知識の浸透を図るべく、SUBARUおよび国内グループ会社を対象にした法務部主催の実務法務研修を実施しています。2023年度は、安全保障輸出管理、各国の個人情報保護法、下請法、海外競争法など、9つのプログラムで実務法務研修を行いました。また、各部門・関係会社においても、それぞれのコンプライアンス・プログラムに基づき、輸出管理、個人情報保護法、独占禁止法、政治資金規正法、ハラスメントの防止など、業務遂行上必要な重要な法令の勉強会を開催し、コンプライアンス啓発研修を補完しています。

コンプライアンス実践支援ツール

コンプライアンスの日々の実践を推進するため、関係会社に特化したものなど、「コンプライアンスマニュアル」以外にも様々な実践支援ツールを作成・提供しています。
コンプライアンス・ホットライン制度の周知については、制度の仕組みや相談窓口の連絡先を記載したカードを配付するほか、各職場にポスターを掲示しています。啓発カード・ポスターを「些細なことでもおかしいと感じたら積極的に同制度を活用してほしい」というメッセージを織り込んだデザインにしています。
加えて、緊急度の高い情報についてはタイムリーに配信し、国内のグループ全体の注意喚起に取り組んでいます。

コンプライアンス研修(群馬製作所)

賄賂防止

SUBARUは、事業に関係する贈賄行為の防止を重要な課題であると捉え、「贈賄防止全社規則」を定め、また、国内グループ会社にも展開している「コンプライアンスガイドライン」において下記の行動基準を定め、「コンプライアンスマニュアル」でその具体的な行動を周知・徹底しています。


  • 国内外を問わず、公務員またはこれに準ずる立場の者への不正な接待・贈答・便宜そのほかの経済的な利益の供与、申出または約束の禁止
  • 公務員などに該当しないお取引先様やお得意先様とのお付き合いにおける社会通念上妥当な範囲を超える供与又は接受の禁止
  • 公私のけじめをつけ、業務上知り得た情報などを利用した私的な利益の享受の禁止

また、「コンプライアンスガイドライン」および「リスクマネジメント・コンプライアンス全社規則」を補完するために、公務員と接する際の禁止行為および非禁止行為を明確化した「贈賄防止全社規則」を制定しています。加えて、SUBARUが行う政治活動に関する寄付につき、関係法令を遵守して適正な運用・執行を図ることを目的として「政治資金に関する全社規則」を制定し、統制を図っています。
海外のグループ会社でも、現地法令を勘案した贈賄防止に関するガイドラインを定め、役職員に求められる行動の明確化を図っています。特に、中国においては、特有の社会事情を考慮して、「中国版贈賄防止ガイドライン」(中文訳付)を制定し、中国子会社に展開するなど、当該各社で規程化しています。また、国内および海外関係会社に発行した「コンプライアンスマニュアル」(日本語・英語・中国語)においても、贈賄防止を重要な課題として掲載し、公務員に対する贈賄のみではなく、民間のお取引先様との公正な取引の徹底を図ることも求めています。
贈賄防止のためのモニタリングの仕組みとしては、SUBARU全部門での実態調査を通して、コンプライアンス違反のおそれのある事案がないか情報収集を行うとともに、内部監査部門による業務監査などを通じて事案の早期発見に努めています。さらに、リスクの大きい事案などについては、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会および取締役会へ報告する体制とし、監督の強化を図っています。
なお、2023年度、SUBARUグループでは、腐敗防止に関連する罰金、科料、和解金の支払いはなく、その違反による懲戒解雇の対象者はいませんでした。

安全保障輸出管理

SUBARUは、国際社会における平和と安全を維持するため、武器そのものを含め、軍事転用可能な民生用の製品、技術などが、大量破壊兵器の開発を行っている国家やテロリスト(非国家主体)の手に渡らないよう、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」に従い、自主的な輸出管理を行っています。当該管理を目的とした全社規程を有しており、会社の取り組みにつき審議する機関として、法務部担当の役員を委員長とし、全輸出関連部門の役員で構成される輸出管理委員会を年1回以上開催しています。
また、管理レベルの向上を目的とし、主に以下の取り組みに注力し、関連規程類の見直しを含めPDCAを推進しています。


  • 外部専門家および社内講師(法務部員)による定期的な管理者(輸出管理委員会メンバーを含む)および実務者向け研修の実施
  • ITシステムを活用した輸出管理(管理の改善に着目した定期的なシステム改修/全社規程とシステムの関係性周知を目的とする研修の実施)
  • 関連規程類に則した独自チェックリストの活用と実地確認による自主点検(点検精度を継続的に向上)
  • 外為法のみならず米国輸出規制(Export Administration Regulations)の遵守状況確認および適正管理に向けた取り組みの実施

税務方針の制定

SUBARUグループは、適正な納税を行うにあたって遵守すべき税に対する姿勢や考え方を定めた基本方針として、2020年6月に「税務方針」を制定しました。
税務戦略・リスクマネジメントの推進にあたっては、SUBARU財務管理部がCFO(最高財務責任者)に報告、了承を得たうえで、SUBARUの経営会議・取締役会に適宜上程しています。また、当該事項については、会計監査人による監査もしくは監査役会のメンバーである監査役の求めに応じて適宜報告しています。
SUBARUは、国税庁が推進する「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組」に関し、令和5事務年度において「良好」の判定を得ました。

税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組について(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/hojin/sanko/cg.htm

税務方針

SUBARUグループは、社会の恩恵を受けることで事業活動が成り立っていることから、その利益を社会に還元することの意義を強く認識し、納税はその重要な要素と考えます。
健全な事業活動による持続的な発展を目指しながら、国・地域ごとの税務関連法令、国際機関などが公表している基準に従い、税務コンプライアンスの維持向上に努め、適正な納税を行い、企業の社会的責任を果たします。


1. 税法及び税に関連する諸法令の遵守

SUBARUグループは、各国の税法及び税に関連する諸法令、租税条約等を遵守し申告・納税手続きを行います。


2. 税務コーポレートガバナンス

SUBARUグループは、税務リスクを適切に認識し、管理報告するための体制を整備します。事業の変化や複雑な税務に対応する為に、税務の専門知識を有する社員を配置するなど体制の充実を図ります。更には外部専門家も活用しながらグループ内企業も含め啓蒙、指導、相談を行い、適正な納税を行います。


3. 適正価格による企業間取引(移転価格)

SUBARUグループは、そのグループ内企業間取引においても、経済合理性のある取引関係に基づく適正な価格により取引を行い、恣意的な操作による不適切な取引価格を設定することは行いません。


4. タックスヘイブンへの取り組み

SUBARUグループは、租税回避目的のために事業上必然性の無い企業の設立はせず、その事業実態に即した納税を行います。


5. 税務当局との関係

SUBARUグループは、法令や税務当局の求めに応じて、事実に基づいた情報を適時適切に開示するなど誠実に対応し、信頼関係の維持に努めます。

2020年6月制定

政治寄付

政党および政治資金団体以外の者に対して、政治活動に関する寄付はしません。また政治資金団体の活動にかかわる支援を行う場合、政治資金規正法、公職選挙法の関係法令などに則り、適切に対応します。