CSR重点6領域 人を中心とした自動車文化
2025年のありたい姿
人の心や人生を豊かにする
パートナーとなる

基本的な考え方/KPI/貢献するSDGs

基本的な考え方 KPI 貢献するSDGs
「クルマは単なる移動手段ではない。」と考えます。
SUBARUは、「安心と愉しさ」といった人の「感性」を大切にし、人の心や人生を豊かにするパートナーとなる商品やサービスを付加価値としてお客様に届け、持続可能なモビリティ文化を醸成します。
  • お客様満足度調査の継続実施(お客様評価結果の改善)

重要と考える理由

SUBARUグループは、人々の多様な価値観を尊重し、多様な市場価値に対応した個性的な商品を提供していくことで、お客様の選択肢を増やすことに貢献してきました。
私たちは、クルマを単なる移動手段ではなく、人の思いを受け止め、それに応える「人生を豊かにするパートナー」であると考えます。

「笑顔をつくる会社」へ
SUBARUグループはこれからもお客様一人ひとりの「安心と愉しさ」といった人の「感性」を大切にし、人生におけるライフスタイルやライフステージの変化とクルマを結び、人が主役の自動車文化の発展と普及を担っていきます。

CSR重点6領域の取り組み

TOPICS
安心と愉しさを提供し続けるために
さらに磨きをかける「SUBARUらしさ」
“走りの気持ち良さ”――「動的質感」へのこだわり

使う人にとって何が大切かを考え続けるSUBARUの普遍的な思想

SUBARUがクルマづくりで追求している大切な要素のひとつが、「動的質感」です。動的質感とは、ステアリングやペダル、クルマの動きなどから人が感じる“走りの気持ち良さ”のことです。従来、動的質感は感性の領域であり、数値では表すのが困難な性能でしたが、それを可能にしたのが「スバルグローバルプラットフォーム」です。
2016年にインプレッサから投入されたSUBARUの車台の設計思想である「スバルグローバルプラットフォーム」では、人の感性に着目し、「走行質感」「静粛性」「剛性と揺さぶられの少なさ」などの指標としています。先進的なテクノロジーや計測機器を導入し、動的質感に大きな影響を与える車体のねじり剛性や曲げ剛性、車外からの騒音などを定量的に把握し、精度の高い解析を行っていました。とりわけ大きな成果は、「人間の操作」から「クルマの動き出し」までの応答の速さと正確性が、動的質感を左右する要因のひとつだと突き止めたことです。これらの解析結果をもとに、クルマの基本骨格を「スバルグローバルプラットフォーム」へと刷新。ボディ各部や足回りの剛性を高め、ドライバーの操作に対する応答の遅れを改善しています。また、フレーム構造の最適化や各部パーツの結合強化によって、不快な振動騒音を抑制しました。このほか、車体とサスペンション取付け部の精度を向上し、路面の凸凹を感じさせない快適な乗り心地を実現しました。
人の心や人生を豊かにするパートナーとなるクルマづくりと、SUBARUならではの価値の追求に、終わりはありません。人は何に心地良さを感じ、何を不快と感じるのか。私たちはそのメカニズムを解明するべく、大学医学部との共同研究によって、人体の構造・骨格にまで踏み込んだ車両開発を行いました。

スバルグローバルプラットフォーム

医学的アプローチによって生まれた技術
フロントシート/静かな室内空間/電動パワーステアリング

この共同研究で私たちが取り組んだテーマの一つは、運転による疲れや、クルマ酔いの発生要因です。走行中の加減速や、路面状態によって生じるクルマの振動はまずシートに伝わり、人の身体を揺らします。人の耳の奧には、身体の平衡感覚や加速度を感じ取る三半規管があり、これが揺さぶられることで不快感が生じます。そこで、頭部の揺れ方をより詳しく解析した結果、うねり路などを走る際に発生する左右方向への揺れ(=ロール運動)が、とりわけ人体に悪影響を及ぼしていることが分かりました。クルマのロール運動によって、人の頭部と胸部は逆方向に動いてしまいます。この不自然な動きを元に戻そうとして、私たちは無意識のうちに腰や背中、首の筋肉に力を入れてしまい、結果として運転時の疲れや不快感を招いていたのです。この課題に対して、共同研究による人体構造に基づいたアプローチを行った結果、車体の揺れが頭部へ伝わる主な原因は、骨盤と背骨を繋いでいる「仙骨」だと判明。SUBARUではこの事実を踏まえて、仙骨を押さえて骨盤をしっかり支えられるシートを新規開発しました。その結果、従来型のシートと比較して、頭部の揺れを約4割強も低減することに成功しました。
二つめの研究テーマは、走行時に人が車内で無意識に感じ取っている特定の周波数帯の「音」でした。実験の結果、通常の騒音や振動音とは異なるこの「音」が、乗り心地を低下させていることが分かりました。では、この周波数帯の音は、どこで発生しているのか?調査を進めていくと、それはルーフ(屋根)にありました。ルーフの共振が、乗り心地の良さを阻害する要因のひとつだったのです。SUBARUではルーフの共振を抑えるために、「高減衰マスチック」という弾性接着剤を採用。車内音の収束を早くして不快感を抑え、より快適な乗り心地を実現しました。

仙骨を押さえて、骨盤を安定させる構造を採用

ルーフの共振を抑える高減衰マスチック

「安心と愉しさ」を追求するSUBARUの動的質感を磨く取り組みはご紹介したものに限りません。SUBARUではクルマに対して人が感じる「愉しさ」を、医学・人体科学にかかわるアプローチからひも解き、車両制御技術への応用や装備・室内空間の改良、および次世代技術の確立に繋げていこうとしています。そして、クルマの感性領域に焦点を当てた独自の産学連携プラットフォームを、今後さらに発展させていく考えです。
なお、動的質感を大幅に進化させるもうひとつのアプローチとして、操舵質感の改善にも取り組みました。具体的には、ドライバーのステアリング操作軸をモーターアシスト軸から分離した、電動パワーステアリング(EPS)を開発しています。既存の2モデルに採用している2ピニオンEPSと異なり、新たな制御ロジックを織り込むことで、応答遅れが少ないスポーティで上質な操舵感を実現しました。
大学医学部との共同研究によって誕生した「新型シート」。ルーフの制振性に優れた「高減衰マスチック」。そして、操舵質感が向上した「2ピニオンEPS」。SUBARUでは、これらの先進技術と装備を、2022年12月に発売したコンパクトクロスオーバーSUV「クロストレック」と、2023年4月に正式発売を開始した新型「インプレッサ」に採用しました。
クルマの走行時に発生する不快感を発生源から断つ。そしてドライバーのみならず、乗る人全員が快適に感じられるクルマづくりへ。SUBARUは、「動的質感」の観点からも、Differentなクルマならではの付加価値を、お客様に提供し続けていきます。