考え方・方針

SUBARUグループは、サステナビリティ重点6領域の一つとして「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)」を掲げ、ありたい姿を「個と組織が有機的につながるイノベーションや価値を創造し続ける」としています。
全グループ従業員の様々な個性や価値観、経験、経歴などに基づき育まれてきた能力が十分に発揮されるとともに、その多様な個が一丸となることでイノベーションが創出され、SUBARU独自の持続的な価値創造が実現すると考えています。性別、国籍、文化、ライフスタイルなどの多様性を尊重し、誰しもが持ち合わせる多様な個性を最大限発揮できる組織づくりや働きやすい職場環境の整備、そして公平な機会提供を進めることで、世界最先端の「モノづくり」「価値づくり」の実現を目指します。


  • D(多様性):一人ひとりのあらゆる違いを尊重し、認め合う
  • E(公平性):スタート地点の不公平を是正し、発揮した能力に応じて処遇する
  • I(包摂性):全員がつながり、自分らしく活躍する

体制・マネジメント

推進体制

SUBARUでは、人事部DE&I推進室がダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を統括しています。「女性活躍」「障がい者雇用」「シニア層の活躍」「外国籍従業員雇用」「LGBTQ+」をテーマに掲げ、なかでも女性活躍推進を最重要課題と認識しています。トップダウンで女性活躍を推進するため、2023年度に社長を含む全執行役員が参加する女性活躍推進会議を発足させました。全社における女性の育成課題や対応策などの議論を進め、各部門の具体的な取り組みへとつなげています。

目標と指標

<従業員意識調査>

SUBARUは、DE&Iを人的資本戦略と関連づけて取り組みを進めています。人的資本戦略と同様に、DE&Iにおいても、従業員エンゲージメントを指標のひとつに位置づけ、目標を2028年度にエンゲージメント指数70%としています。2024年度の結果はエンゲージメント指数51%となりました。
詳細は以下のリンク先をご覧ください。

<女性活躍>

多様なキャリア観に基づき女性一人ひとりが自分らしく活躍することを前提に、意思決定層の多様化と、女性活躍を促進するうえでの一つの指標として女性管理職数を掲げています。
これまでは「2025年度までに女性管理職数を2021年度時点の2倍以上」とすることを目標に、取り組みを進めてきました。結果として、2025年4月時点で、管理職への新規登用などにより、全体1,168名のうち女性は52名(4.5%)で、2021年度の2.2倍となり目標を達成しました。また、引き続き女性活躍推進を重要テーマと位置づけるとともに、今後の目標として、新たに「女性管理職数を2030年度までに100名以上」とすることを定めました。

<障がい者雇用>

SUBARUグループは、2023年に「障がい者雇用における人事部方針」を制定しました。また、目標として「2030年度 障がい者雇用率3.0%」を掲げています。2025年6月時点での、障がいのある従業員数は368人(障がい者雇用率2.60%)であり、製造や開発業務の分野を中心に活躍しています。

障がい者雇用における人事部方針

  1. 多様性の積極的な受容
    障がい者雇用を推進することにより、多様な人財が能力を発揮できる柔軟性と想像力の高い企業を目指す。
  2. 当事者意識をより一層高めて取り組む
    従業員本人や共に働く仲間が安心して働き続けられる社会の実現に向け、当事者意識をより一層高めて障がい者雇用に取り組む。
  3. 社会的責任を果たす
    障がい者雇用における社会課題の解決と持続可能な社会の実現に向け、社会的責任を果たしていく。

2023年4月制定

取り組み・実績

女性活躍推進

女性が様々なライフイベントを通じて働き続け、活躍するための環境整備を行っています。取り組みについては、「採用」「制度」「キャリア形成支援」「風土醸成」の4つの柱を軸に進めています。

<採用>

2024年度、事務系総合職では女性採用比率が42%となりました。理系女性の採用拡大に向けては、女性リクルーターによる採用強化や、理系女子大生向けのオフィスツアー、女性社員による座談会などを実施しています。その他、女子中高生向けにもオフィスツアーを開催し、将来の応募者の増加に向けても取り組んでいます。

<制度>

「仕事と育児の両立支援」を重要な取り組みとして位置づけ、育児休業や短時間勤務などの各種制度を、法律を上回る基準で運用しています。
詳細は以下のリンク先をご覧ください。

また、評価制度においては働いた時間の長さではなく取り組み・成果に応じて評価し、処遇する制度を導入し、様々なライフイベントを迎えても活躍しやすい環境を整えています。

<キャリア形成支援>

管理職手前の女性従業員を対象としてWomen's Leadership Programを実施し、一人ひとりに向き合い個々人に合った育成を推進しています。対象の女性従業員、その上司、人事部門が連携し、対象者それぞれの育成ポイントを明確化したうえで、研修プログラムへの参加などの具体的な取り組みへとつなげ、女性従業員の意欲を後押ししています。その他、ライフイベントがキャリアに与える影響や女性自身の思い込みに気づくことを目的とした「ライフキャリア研修」や「女性交流会」などを通して、自分らしい生き方、キャリアを描くことができるよう支援しています。

<風土醸成>

管理職向けの多様な人財を活かすためのスキルや、アンコンシャスバイアスに関する研修、社内報での各職場のダイバーシティ推進の活動紹介を通じて、多様な個の活躍を推進する風土醸成を図っています。また、群馬製作所では、2022年から製造現場の女性メンバーを中心とした女性活躍ワーキングである「4's Project」を行っており、女性ロールモデルによる座談会や、女性の健康課題に関するセミナーなどを通じて、女性が活躍しやすい風土づくりを行っています。

女性活躍推進の状況(SUBARU単独)

  2021年4月 2022年4月 2023年4月 2024年4月 2025年4月 2025年度までの目標 2030年度までの目標
女性管理職数合計(人) 24
(2.2%)
27
(2.4%)
31
(2.8%)
43
(3.8%)
52
(4.5%)
女性管理職数2021年度の2倍以上 女性管理職数100人以上
  2025年度までの
目標結果
- 1.1倍 1.3倍 1.8倍 2.2倍
女性部長職(人) 3
(1.2%)
4
(1.7%)
5
(2.0%)
5
(1.9%)
6
(2.3%)
女性課長職(人) 21
(2.4%)
23
(2.7%)
26
(3.1%)
38
(4.4%)
46
(5.1%)
()内は女性が占める割合

ユニバーサル化による働きやすい職場づくり

SUBARUは、快適職場指針の実現に向け、作業環境、作業方法、環境設備などの各項目について、組織的・計画的な改善を推進しています。休憩所、トイレ、食堂などの共用エリアについてもユニバーサル化を進めることで、誰もが働きやすい職場づくりを目指しています。

労働安全衛生法における「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」

障がい者雇用推進

SUBARUグループは、障がいのある従業員が働くことを通じて輝ける環境づくりを目指しています。障がいのある従業員が働きやすい環境整備を進め、誰もが働きやすい職場にすることで企業価値の向上につなげていきます。全従業員が障がいのある方を正しく理解するために、定期的なセミナーの実施や社内イントラネットにて年間を通じて情報を発信しています。また、グループ会社の障がい者採用担当者向けには、SUBARUグループの障がい者雇用の状況や今後の法定雇用率に向けた取り組みについて情報共有をするとともに、セミナーへの参加を促進することで理解を深めています。

職場内にある作業台は、車いすの従業員に合わせた高さに設定

特例子会社 スバルブルーム株式会社

SUBARUでは、障がい者雇⽤の中核会社として特例⼦会社スバルブルームを設⽴し、2024年に10周年を迎えました。
設立当初8人だった雇用人数は、2025年度には92人にまで拡大しました。群馬地区のSUBARUの寮および工場での清掃業務に加え、2025年度からは部品梱包業務も開始し、職域を広げることで雇用のさらなる創出を図っています。2022年度にはこれまでの取り組みと実績が評価され、障がい者採用優良企業として群馬県知事賞を受賞。また、障がい者雇用促進への積極的な取り組みが認められ、群馬県「障害者就労サポーター企業」として登録されています。
雇用の拡大にあたっては、従業員のみならず、そのご家族や地域の支援機関との連携が不可欠です。私たちは地域との共生を軸としたDE&I経営を推進しながら、障がいのある方々が働きやすい職場づくりを今後も進めていきます。

・ビジョンとミッション

個々の花を咲かせ、大きな花となり、笑顔のあるダイバーシティ社会を目指します
【社員】それぞれの個性という花を咲かせ、社会で活躍する一員になります
【会社】たくさんの笑顔の花でブルームをスバルの仲間に愛される会社に育てます
【社会】ブルームの活動が花のわ(輪・環・和)を広げ、ダイバーシティ社会の実現に貢献します

障がい者雇用の状況(SUBARU、スバルリビングサービス株式会社、スバルブルーム株式会社)

  2021年6月 2022年6月 2023年6月 2024年6月 2025年6月
障がいのある従業員数(人) 306 321 328 354 368
障がい者雇用率(%) 2.37 2.43 2.47 2.59 2.60
表内に記載の雇用率は毎年6月1日に厚生労働省へ報告する障がい者雇用状況に基づく実雇用率である

シニア層の活躍推進

SUBARUは、貴重なスキルを持ったシニア層の活躍を後押しするため、2021年度に定年後の再雇用制度を改定し「SUBARUビジネススタッフ制度・SUBARUパートナー制度」を導入しました。再雇用希望者全員が原則、SUBARUおよびグループ会社で就労できる制度として運用しています。
また、今後定年を迎える40代、50代の従業員向けにマネープラン研修、およびキャリアプランニング研修を開催しており、将来のライフプランを考えるための機会提供を行っています。

再雇用率(SUBARU単独)

2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
定年退職者(人) 97 130 225 264 338
再雇用希望者(人) 72 111 179 219 280
再雇用者(人) 72(19) 87(24) 179(23) 219(44) 280(48)
再雇用率(%) 100 100 100 100 100
()内はグループ会社の再雇用人数

外国籍従業員の雇用推進

SUBARUグループでは、国籍を問わず各拠点の方針や事業に適した人財を採用しています。2025年3月末時点において当社には外国籍従業員が129名在籍しています。このうち管理職は4名おり、製造部門および技術部門で活躍しています。
外国籍従業員の仕事への理解を促進するために、安全や品質方針、作業手順マニュアルなどを多言語化しており、特に外国籍従業員の多い群馬製作所では、各工場に英語・ポルトガル語・スペイン語・中国語などの通訳が常駐し、外国籍従業員とのコミュニケーションを円滑にしています。
さらに、日本人の従業員を対象にした語学研修や海外派遣研修も実施しています。異文化コミュニケーション力や異文化への理解力を高め、社内活性化や人財の安定確保にもつながっています。
外国人技能実習生については、外国人技能実習制度に基づき、安全や品質に関する教育を基本に、帰国後の活躍につなげる取り組みを行っています。なお、関係会社においては、それぞれ独自に人財を採用しており、各拠点の方針や事業に適した人財の確保に努めています。

中途採用の強化

SUBARUでは、新たな知見や価値観を取り入れ持続的な成長を図るために、中途採用を積極的に進めています。2025年3月末時点の正規従業員における中途採用従業員数は4,747名、うち管理職者数は240名です。
また、SUBARUではIT分野における経験者採用を積極的に推進しています。IT企業の集積地である渋谷に開設したソフトウェア開発拠点「SUBARU Lab(スバルラボ)」は、SUBARUのソフトウェア開発の最先端を担っており、高度な専門知識と豊富な実務経験を兼ね備えたITエンジニアの採用においても重要な役割を果たしています。

LGBTQ+

SUBARUグループでは、人権方針において性別・性自認および表現・性的指向に関する差別を禁止しています。全従業員が性の多様性を正しく理解するために、通年で従業員への啓発活動やアライ(LGBTQの支援者)を増やす取り組みを実施しています。2022年度は、SUBARU全従業員、グループ会社を対象にオンラインセミナーを配信し、これを機に287人がアライとして登録しており、当事者をサポートする人々の輪が広がってきています。また、福利厚生の面では外部相談窓口を設置し、社内呼称や更衣室の配慮などの個別相談に対応しています。さらに、2022年度からは、同性パートナーに福利厚生(社宅利用・手当・休暇など)を適用する制度改定を行いました。こうした取り組みが評価され、一般社団法人「work with Pride」がLGBTQ+従業員に対する企業の取り組みを評価する「PRIDE指標」において、昨年度に引き続き2024年度もゴールド認定を取得しました。

「PRIDE指標」においてゴールド認定を取得

従業員に配付している外部相談窓口カード

柔軟かつ多様な制度

期間従業員の正規登用制度

SUBARUでは、期間従業員を対象とした正規従業員登用制度があります。本人の希望、職場推薦などを総合的に判断して受験機会を提供し、期間従業員の意欲や活力の向上につなげています。

期間従業員正規登用者数(SUBARU単独)
2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
採用人数(人) 267 181 184 150 76

再就労支援制度

SUBARUでは、配偶者の転居などやむを得ない理由によって退職した従業員に対する再就労支援制度を整備しています。

海外赴任帯同休職制度

SUBARUでは2023年度より、配偶者の海外赴任に帯同する従業員に対して、休職を選択できる新たな制度を導入しました。従来の制度下では退職を選択せざるを得なかった従業員についても、SUBARUでのキャリアを継続する選択が可能となりました。


Subaru of America, Inc.における取り組み

Subaru of America, Inc.(SOA)は、多様性が重要であることを強く認識しています。DEIBを中核として、従業員や現地の販売特約店だけでなく、働く地域社会も含めたすべての人が、帰属意識と機会を感じられる環境づくりに努めています。
また、SOAは「Love Promise」というビジョンを掲げて様々な取り組みを行うなかで、すべての人が公正かつ理解と思いやりを持って扱われると感じられるようにコミュニティと関わることを約束しています。今後もダイバーシティの取り組みを進めることで、様々なステークホルダーの可能性を最大限に発揮できる機会を創出していきます。

Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)、Belonging(帰属性)のこと。多様な人財を受け入れ、その能力を最大限に活用することが、企業の持続的成長には不可欠であるが、そのためには、あらゆる人々を尊重するだけでなく、不公平な競争環境の是正や心理的安全性などの帰属意識がパフォーマンスに大きく影響するという考え方