一連の完成検査問題に関わる事実と経緯

一連の完成検査問題について、当社は2017年10月からの約1年間、徹底した調査と国土交通省への報告を実施してきました。結果として約53万台に及ぶリコール(無償で完成検査に相当する点検を実施)を実施することとなり、現在もお客様をはじめ、関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をお掛けしています。あらためて、お詫び申し上げます。
2018年10月26日までに各種の再発防止策を導入し、完成検査が適切に行われていることを確認した上で、同日を不適切な完成検査の終期としました。そして、同年11月5日に国土交通省へ報告を行い、その内容を公表しました。

今回の問題は、大きく分けて

  • 01
    「完成検査員登用」に関する不適切行為
  • 02
    「燃費・排出ガス抜き取り検査」における不適切行為
  • 03
    「完成検査工程」における不適切行為

の3点があげられ、また、その行為が調査のプロセスにおいて判明したことによるものです。

時系列にまとめた事実と経緯について
時系列にまとめた事実と経緯について
01
『「完成検査員登用」に関する不適切行為』の概要
完成検査員の資格がない者が完成検査を行っていました。
①登用前検査員による検査行為
社内規程に反して、正式に完成検査員に登用される前の段階である「登用前検査員」が、指導員のマンツーマン指導に服さない形で、単独で完成検査を行っていました。
②登用前検査員による他人の印鑑の使用
登用前検査員が単独で完成検査を行う場合、正規の完成検査員から貸与された印鑑を「完成車品質保証票」(完成検査の結果を記入し、検査済みであることを証明する書面)に押印していました。
③登用プロセスの不適切な運用
一部の完成検査員は、社内規程に定められた必要な補助業務従事期間を経過していない時点で完成検査員に登用されていました。また、社内規程上求められる教育時間に見合う教育が実施できていない場合や、最終的な登用試験の実施方法等が不適切だった場合がありました。

※これらの不適切行為に対しては、2017年12月末までに再発防止策を講じ、それ以降も追加・強化しています。

02
『「燃費・排出ガス抜き取り検査」における不適切行為』の概要
検査において測定したデータを書き換える行為が行われていました。
①燃費・排出ガス測定データの書き換え
完成検査のうち燃費・排出ガスの抜き取り検査において、測定結果と異なる数値を報告書に記載するという不正行為が行われていました。
②規程と異なる環境で測定されたデータを有効化
燃費・排出ガス測定試験を行う際、規程で定められた許容範囲から外れた速度での運転(トレースエラー)となったにもかかわらず、有効な測定として処理した場合がありました。
また、試験室内の温度や湿度が規定の範囲外(温度・湿度エラー)であったにもかかわらず、有効な測定として処理した場合がありました。

※これらの不適切行為に対しては、2017年12月に再発防止策を講じ、それ以降も追加・強化しています。

03
『「完成検査工程」における不適切行為』の概要
ライン完成検査の一部で、社内規程とは異なる方式で検査が行われていました。
①ブレーキ検査における不適切行為
フットブレーキの制動力検査中に駐車ブレーキを併用する、駐車ブレーキ制動力の検査中にブレーキペダルを踏む、といった行為が行われていました。
②舵角検査*における不適切行為
*ハンドルをロックするまで回して、その状態でタイヤの転舵角が検査規格の範囲に収まっているか否かを判定する検査
舵角検査時に、ハンドルをロックするまで回してもタイヤが検査規格まで曲がらない場合、検査規格に達するように手で車体やタイヤを押していました。
③スピードメータ指針誤差の検査における不適切行為
スピードメータ指針誤差の検査時に、車両のスピードメータを確認せず、検査装置に表示される速度のみを確認して、測定していました。
④サイドスリップ検査*における不適切行為
*サイドスリップ量(タイヤが直進方向に対して平行に取り付けられているか)の検査
サイドスリップ検査時に、ブレーキペダルを踏む行為や規定より速い速度で試験装置を通過する行為、ステアリングを操作する行為など、社内規程に反する行為がありました。
⑤その他(ずさんな計測値の記録・管理等の不適切行為)
実測値とは異なる数値を完成車品質保証票に記載する、バンパーフェイスが未装着の状態で完成検査を実施する、といった行為が行われていました。

※これらの不適切行為に対しては、2018年10月26日までに再発防止策を講じ、それ以降も追加・強化しています。

Q.
一連の完成検査問題は何が原因で起こったのか
A1完成検査業務に対する経営陣を含めた全社的な認識・関与が不十分であった
・完成検査制度の公益性・重要性に対する自覚が乏しかった・完成検査業務に内在するリスクの認識が不足していた・検査部門の設備投資を抑制する一方、現場の完成検査員の努力や工夫に依拠して増産に対応していた・現場とのコミュニケーションが不足していた
A2スムーズな生産・出荷を最優先する組織風土の存在
・良い品質のクルマをつくることよりも、一台でも多くクルマを作ることを優先し、評価する風土があった
A3生産量の変動に対し、人員配置や業務量の設定が必ずしも十分に追随していなかった
・適切な検査を行う上で、十分な余力のある「人員×作業時間=作業量」の設計になっていなかった・完成検査員に対し、本来の完成検査業務以外にも様々な事務作業など業務負荷がかかっていた・適切な検査を実施する上で、設備の経年化により業務負荷がかかっていた
A4規範意識が不足していた
・完成検査員において、完成検査制度の重要性に関する基本的な理解が不足していた・社内規程や関連法規の知識よりも、作業習熟に力点を置いた教育となっていた・関係部門への影響を考えた配慮や忖度があった
A5不適切行為の察知・抑止や検査結果の不良を是正するための組織としての機能が弱かった
・不適切行為を防止する試験装置やシステム上の機能が不足していた・業務上の課題や不適切事象等を、現場から上位者に通報・報告する機能が弱かった・リスクを念頭に置いた監査等のモニタリング機能が弱かった