2022年1月1日の群馬に、例年以上に強く吹いた風「赤城おろし」。
2022年のニューイヤー駅伝は、強風のなか開かれました。オリンピアンたちすらも風に苦しむなか、勝利への手応えをつかんでいたのがSUBARUの5区・照井明人選手、6区・小山司選手です。
2人は、なぜ強烈な向かい風に克てたのか。
本日は、照井選手に聞きました!
持ち前の前向き思考
雨の中、坂道走に出発する照井選手
照井選手は、2021年2月、山形県のチームからSUBARUに移籍しました。当時のSUBARUは、直前にあったニューイヤー駅伝に出場できなかったショックを引きずっていました。 SUBARUにやってきた照井選手は、「ニューイヤー駅伝になかなか出場できないチームもたくさんあるのに、1回出られなかっただけでここまで落ち込むなんて。恵まれたチームだ」と言い続けます。チームはだんだん立ち直っていきました。
【SUBARU陸上競技部公式サイト】照井明人選手「恵まれたチーム」と気付かせてくれた、新しい風
このように、前向きな性格の照井選手が、SUBARUに入社してもう1点、強く感じたのは、「ニューイヤー駅伝のコースをいつでも走れるなんて、なんて恵まれた環境なんだろう」ということでした。
いつも「ニューイヤー」を意識
ニューイヤーのコースを走れるメリットを意識していなければ、ロードの練習でも漫然と走っていたかもしれません。
しかし、持ち前の前向きな性格でそのメリットを強く感じていた照井選手にとって、群馬のロードを走る練習は、ニューイヤー対策の絶好の機会。曲がり角、上り坂、そして風。常に“ニューイヤー”を想定して走りました。
向かい風を、追い風に
そして迎えた2022年1月1日のニューイヤー駅伝。照井選手は5区を任されました。SUBARUの地元中の地元、太田を出発する区間です。11時54分、照井選手は太田市役所前にあるスタート地点に立ちました。
急な上り坂が続き、向かい風が襲い掛かってくるなかを、ひたすら北へ15.8キロ。 5区は、「最も過酷」とも言われるコースです。
よりにもよって、5区のランナーたちが走る時間帯には、その日のなかでもより強い、8mの北の風が吹き荒れました。
しかし、スタート地点に立った照井選手は、強い向かい風を浴びながら、「“追い風”が吹いた、と感じていました」と振り返ります。
風のために、ランナーにとって相当キツイ勝負になる。しかし、ここは数えきれないほど走った、地元・太田の道です。いま、5区を走る37人のランナーの中で、この道をいちばん知っているのは、自分だろう。そして、この赤城おろしのことも、誰よりも知っている。「勝てる」と、自信を持てたからです。
「マインド勝負」で勝つ!
手応えをつかんでいた照井選手の待つ場所に、4区・清水歓太選手が、なんと3位でたすきを運んできました。照井選手は笑顔で受け取ると、強い自信とともに、駆け出しました。
うっかりすると押し戻されてしまうような、猛烈な赤城おろし。走り出すとすぐ、冷たくて、カラカラの乾いた風が、真正面からまともに顔に吹き付けてきました。強風に苦しむ有力選手を振り切りながら、高低差60メートルという急な上り坂を、ひたすら北へ、北へと駆け上がります。
終盤、強風のなかを、東京五輪日本代表の青木涼真選手(Honda)ら3人で壮絶な2位争いを繰り広げました。そして、照井選手はこの悪条件にもかかわらず、残り約1.5キロの14キロ付近で、まさかのロングスパートをかけたのです!
青木選手らを引き離して単独2位に躍り出ます!最後までスピードをゆるめることなく、トップにわずか21秒差まで迫って、6区・小山司選手にたすきをつなぎました。
「あの日は最初から最後まで、本当に苦しかった。息もできないような風でしたから、どのランナーも苦しかったでしょう」と照井選手は言います。
「最後はマインドの勝負でした。僕はいつもニューイヤーを意識しながらコースを走っていましたから、苦しい時に『ここは何度も走ったところだ。この風も、何度も浴びている。よく知っているから大丈夫だ』と、自分に言い聞かせることができた。だから、赤城おろしに克てたのだと思います」
持ち前の前向きな性格で利点に目を向け、常にニューイヤーを想定して練習に取り組んできた照井選手。多くのランナーにとって試練となった赤城おろしを、照井選手は自分の力で恵みの風にしました。
今季、絶好調です!
そして照井選手は今季、初のマラソンにチャレンジして見事優勝。
【SUBARU陸上競技部公式サイト】第5回日本最北端わっかない平和マラソンで、照井選手が優勝!
9月に初マラソンに挑戦。1位でフィニッシュする照井選手
11月にあったニューイヤー駅伝予選「東日本実業団駅伝」でも、エース区間の3区を走り、区間賞に輝くなど、絶好調です。
【SUBARU陸上競技部公式サイト】東日本実業団駅伝結果 2区ベンソン選手、3区照井選手区間賞!
「応援してくださる皆さんが、元気になるような走りをします!」と2023年も活躍を誓います!