ニューイヤー駅伝出場を賭けた、東日本実業団駅伝(11月3日)まであと1カ月! SUBARU陸上競技部の挑戦を、お届けします。 本日は、駆け引き上手な川田裕也選手を紹介します。
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「川田の位置取り、前に出るタイミングの見計らい方は、まさに非凡。感心しますね」。
10月2日にあった日体大記録会で、川田裕也選手の走りを見ていた奥谷亘監督が目を細めました。
川田選手は5000mに出場しました。
日体大記録会試合結果
レース前に、スパイクのピンを締め直す
実は川田選手、5月に足の不調があり、そこからこれまで、大事を取って試合への出場を控えていました。
復帰戦となったこの試合。川田選手は少し遅れ気味にスタートを切ります。
慎重にスタート(右から3人目が川田選手)
「久しぶりの試合だったので、レース勘を取り戻すことを目的にしました。ケガしたり、痛めたりしないよう、タイムにこだわりすぎず、安全に行くつもりでした」と川田選手。最初から前に出すぎて万が一にでも転倒したりしないよう、慎重にスタートしたのです。
集団の内側、真ん中より下がった位置でしばらく様子を見た後、1000m付近で川田選手はすかさず外側に出ます。
「外側に出られず、集団ごとズルズルと後退してしまい、そのうちに体力を奪われて前を追えなくなるのは、よくあるダメなパターン。川田の場合、スキを見つけて素早く外に出るのがうまいので、そういうことにはならない」と奥谷監督。
川田選手は外に出ると同時にギアを入れ、徐々に先頭に迫っていきました。
途中で外側に出て、前に攻めていく川田選手(ナンバーカード6が川田選手)
「前にすき間ができたと思ったら、その外側が空いているのが見えた。今だ、と思って勝負をかけたら、うまくいきました」と、レースを振り返ります。
駆け引きがうまくいって体力を消耗しない分、後半、集団がペースアップするなかでも、川田選手はピッチを上げ、徐々に順位を上げていくことができました。最後は余裕を残してフィニッシュ!タイムも13分台で、きっちりまとめました。
川田選手は昨年、他チームから移籍してきました。「移籍する前、試走で群馬に来て、たまたまSUBARU群馬製作所前を通ったんです。ニューイヤー駅伝のコースの、あんな近くに会社があることにびっくりしました。そして、たくさんの人に応援してもらえるなんて、いいなあ、と思って見ていました」。
そんな川田選手は、その後、移籍によってSUBARUのメンバーになりました。ただ、移籍1年目だった2022年のニューイヤーは出場できませんでした。 「真面目も真面目、本当によく練習する」(阿久津圭司コーチ)と、指導陣も舌を巻く練習をこなす川田選手は、「ニューイヤー駅伝に出たい、という気持ちが今、強烈なモチベーションになっています」と話し、「ニューイヤー駅伝で、群馬製作所前を走る5区で出られたら最高です」と笑顔を見せます。
まずは東日本予選の駅伝メンバーに選ばれたい、と闘志を燃やす
駅伝は、スピードをどこで出していくかや、近くを走る他チーム選手とのせめぎ合いの中で前にいつ出るかなどの駆け引きも、大きく勝敗を左右します。 非凡な駆け引きセンスを武器に、駅伝メンバー入りを狙う川田選手。「今年こそ」の執念で、日体大記録会では自分らしい走りを強烈にアピールしました!
「まずは11月3日の東日本予選のメンバーに選ばれたい。きょう走った感じだとまだまだいけるので、当日までアピールし続けます」と静かに闘志を燃やしています。