技術特集インタビュー

CONNECTED VEHICLE
CONNECTED VEHICLE
関口守
関口守

次代の常識となる「コネクト」。
ここにも“人を中心に据えたものづくり”が息づく。

私たちSUBARUが、前進である中島飛行機から脈々と受け継いでいるもの。それは“人を中心に据えたものづくり”です。いかに愉しく、安心・安全に移動できるか。そこに徹底的にこだわり続けています。たとえば人の命を守るために、衝突試験は法的な基準整備前から独自に研究・実験を繰り返してきました。1958年に発売が開始された「スバル360」では、大人4人がきちんと座れるという居住空間を先に決めてからクルマをデザインするなど、あくまでも“人ありき”の開発を行ってきました。

そんな歴史の中で、SUBARUには4つの安全思想が生まれます。それは、直接視界を確保する「ゼロ時安全」。水平対向エンジンやシンメトリカルなAWDなどによってもたらされる「アクティブセーフティ」。アイサイトなどによる衝突回避支援「プリクラッシュセーフティ」。そして万が一の時に乗員の安全を守るエアバッグ、衝撃を吸収する車体構造などによる「パッシブセーフティ」です。

今後もこれらをより追求し、進化させていきますが、これからはここにもうひとつの安全をプラスしていきます。それは「コネクト(つながる安全)」。このコネクト技術への取り組みは業界全体の潮流であり、私たちも現在、SUBARUならではのつながる価値提供に向けた研究・開発に力を注いでいます。

外とつながることで、より安心・快適を。
その一方で大きな課題がセキュリティ。

これまで我々はクルマの中だけで仕事をしてきましたが、これからはクルマが外の世界とつながってお客様に新たな価値をお届けしていかなければなりません。つまりクルマづくりにおいて“サービスやユーザー体感”という概念が新たにプラスされるというわけです。たとえば、行く先の道路状況や交通環境を先読みして提供することによって安全運転を支援し、交通事故や何らかのトラブルに遭遇した時は、スピーディに最適なサービスを受けることができる。さらにはクルマのデータをビッグデータ化し、外部で処理することによって迅速な故障診断を行うなどです。

この「コネクト」に対し、私たちは2つの捉え方をしています。ひとつはいわゆるインフォテイメントやテレマティクスと言われる前述したようなサービス。もうひとつは「つながる基盤」。外とつながってデータのやり取りをする、そのインターフェイス、さらには無線でのソフトウェア更新、いわゆるOTA(オンジエア)技術です。これらの開発・提供を加速させていくわけですが、そのうえで最も重要となるのがセキュリティといえるでしょう。つながる部分があれば、そこを覗こうとする人が出てくるもの。

覗くことができれば、悪意を持っていたずらができるということです。事実、コネクトサービスは自動車業界において1990年代から提供され始めましたが、それ以降新しい技術の確立、サービスの提供とは裏腹にハッキングとの戦いでもありました。今後はさらに高度なセキュリティ技術が求められるでしょう。

全世界、全方位的にアンテナを張り巡らせ、
最先端技術を積極的に採り入れていく。

ソフトウェアやデータを高度に暗号化する技術や、高度なセキュリティ機能を内蔵したデバイスも開発されています。またAIを活用した技術も注目すべきでしょう。私たちSUBARUも、お客様の安全を守るために、どのような技術の組み合わせが最適なのかを模索しています。全世界に目を向け、高度な技術を持つ企業との協業を検討。世界中から最新技術が集結するシリコンバレーに事務所を持つ、米国の拠点(Subaru Research & Development, Inc.)とも連携して情報収集にあたるなど、最先端の技術研究に余念がありません。

しかしながら、それら高度な技術を何でも採用できるかといえば、コストバランスの問題が生じます。お客様の安心・安全、そしてプライバシーを守るためのセキュリティは大事ですが、製品としてお客様が購入できる価格帯に収めることも、また追求すべき価値のひとつです。そこが悩みどころであり、また逆に開発・設計者としての醍醐味でもあると思っています。「コネクト」は、まさに次世代のクルマづくり。

自分たち次第で、とてつもなくユニークで価値あるサービスやユーザー体感を生み出すことができる可能性が秘められています。SUBARUならではの“安心と愉しさ”をさらに昇華させるサービスやユーザー体感をこの手でつくりたい。そして、そんな気概あふれる人材に出会いたいです。

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