社員紹介
空を飛ぶものに「たぶん大丈夫」はない。
まだ世にない飛行機の基準を、自分の解析でつくっていく。
Y・S
2020年入社 航空宇宙技術開発部
将来航空機の強度解析を担当するエンジニア。入社後は生産技術部門でヘリコプターの部品製造に携わり、空飛ぶクルマの飛行試験では治具の設計も担当。現在は先行機体技術課で、電動小型飛行機の強度評価を手がける。安全の重みを身体で知った経験が、機体の強度を根拠をもって評価する今の仕事に活きています。
Y・Sさんのキャリアパス
POINT
入社後はヘリコプターの部品製造や機体生産を支援し、航空機の製造に関する知識や感覚を身につけました。航空宇宙技術開発部へ異動した現在も、現場で培ったものづくりの感覚を、将来航空機の強度解析に活かしています。
まだ誰も経験していない飛行機に向き合う。
根拠を積み上げた評価が、将来の機体づくりにつながっていく。
私が所属しているのは、将来の飛行機をゼロから考える部署です。小型機から試作を重ねながら、空力的に効率のいい形はどれか、軽くて丈夫な構造はどれか、そもそも実現可能なのか。そうした問いに向き合い、新しい飛行機の可能性を探って提案していきます。その中で私が担当しているのが、バッテリーとモーターで飛ぶ電動小型飛行機の強度解析です。
エンジンがモーターに、液体燃料がバッテリーに置き換わると、機体の重さも部品の形も変わります。この重さに機体は耐えられるか。モーターを取り付ける部品の強度は持つのか。飛行機が安全に飛ぶためには、一つひとつの問いに数値で答えを出さなければなりません。
先行機体では、量産機のように確立された手法や基準が十分にそろっているわけではありません。だからこそ、新しい解析ソフトを導入したり、別の評価方法を試したりしながら、一つひとつの評価に根拠を積み上げていきます。自分たちが出した解析結果や判断が、将来の機体づくりの考え方につながっていく。そのスケールの大きさが、この仕事の面白さであり、夢のあるところだと思っています。
格納庫で見上げた飛行機が仕事になった。
自分の手がけた部品が空を飛んだ日。
小さいころ、飛行機格納庫の見学に連れて行ってもらったことがあります。あのときから飛行機への興味はずっと続いていて、大学は航空学を専攻し、就職活動でも迷わず航空業界に絞って探していました。SUBARUに決めた理由は、意外にも人でした。何社か受けた中で、面接でいちばん緊張しなかった会社だったんです。なぜだろうと考えて、たぶんこの会社の人たちと人柄が合うんだと思いました。その直感は、入社してから間違っていなかったと実感しています。
最初に配属されたのは、生産技術部門でした。ヘリコプターの板金部品の担当で、設計部門から図面が来たら、どの機械で曲げるか、どんな治具で形をつくるかを考えて、材料を手配し、手順を作業指示書にまとめる。部品が流れ始めたら現場へ行って、うまくいかない箇所があれば一緒に原因を探る。設計から現場対応まで、一気通貫で携わる仕事です。ヘリコプターは、想像していた以上に多くの部品と人の手で成り立っています。板金部品だけでも数千点あり、その一つひとつを積み上げて初めて、一機が完成します。
配属されて最初に先輩から言われたのは、仕事のやり方ではなく「現場の人に信頼してもらうことが一番だ」という言葉でした。生産技術は現場とのやり取りが多い部署です。技術面はもちろん、現場の人と連携しながら物事を進める調整力が求められる。技術と同じくらい、現場との信頼関係がものをいう仕事なのだと、この言葉が教えてくれました。想定通りにモノづくりが進まない日もありましたが、現場の人と粘り強く向き合いながら、一つひとつ乗り越えていきました。
そうして携わった部品でつくられたヘリコプターがお客様のもとへ納品されたと聞いたときは、うれしかったですね。この機体はお客様のもとで救難・災害対応などの現場で活躍しており、自分のつくった部品が今この瞬間も誰かのために空を飛んでいる。格納庫で飛行機を見上げていた子どものころには、想像もしなかった景色でした。
やりたいと手を挙げた空飛ぶクルマ、
SUBARU AIR MOBILITY Conceptの飛行実証。
そこで安全の重みを身体で知った。
転機になったのは部署を異動して間もなく手を挙げた空飛ぶクルマ(SUBARU AIR MOBILITY Concept)のプロジェクトです。生産技術にいたころからこのプロジェクトを見ていて、SUBARUがゼロから設計した航空機を空へ飛ばす機会はなかなかないので、面白そうだと思っていました。ちょうど飛行試験をもう一度やるタイミングで人員を募集していたので、立候補したんです。
任されたのは、飛行試験で機体を地上に固縛しておくための治具の設計と手配でした。正直、頼まれたときは「私一人で?」という気持ちでしたね。周りに聞けばいいからと言われたので、わかりましたと受けたのですが、進めていくうちに、これは試験の安全性を確保する重要な部分だと気づいていきました。しかも与えられた期間は、何をつくるか考え始めてから手配完了まで一カ月弱。経験のない私は、既製品をどう組み合わせるかを必死に考えて、周りの経験者に聞いて回りながら、部品の発注間際は焦りっぱなしでした。
現地でその部品を組み立てた際、設計や解析だけでは気付きにくいポイントが見つかりました。試験は問題なく完了しましたが、本当に十分な検討ができていたかを改めて振り返る経験となり、安全を支える仕事の重みを実感しました。
このとき上司に言われた言葉が、今も背筋を正してくれています。「周りの人にちゃんと見てもらって、見たという履歴を残しなさい。責任の所在をはっきりさせなさい」。安全がかかる部分は、一人の判断で進めてはいけない。自分は一作業者にとどまらない責任を任されていたのだと、そこで初めて自覚しました。空を飛ぶモノづくりにおける安全の重みを、身体で知った経験でした。
- ※ 撮影のため周囲の安全を確保した上で保護メガネなしで撮影しています。
「本当に大丈夫か」と立ち返る。
安全がかかっているからこそ、理論立てて向き合う。
あの経験があるから、今いちばん大切にしているのは、「本当に大丈夫か」と立ち返ることです。強度が少しギリギリだけど、まあ大丈夫でしょう。そう思った瞬間こそ、一度止まって考える。空を飛ぶものに、「たぶん大丈夫」はありませんから。
先行機体の強度解析は、簡単ではありません。まず、機体や部品の形をコンピューター上で細かい計算点に分割してつないでいくのですが、これがうまくいかないとそもそも計算ができない。自動で処理してくれるツールもあるものの、うまくいかないことのほうが多くて、手作業で一つひとつつないでいくしかない。根気がいる作業ですが、この積み重ねがあってこそ正確な解析ができるんです。
解析が終わっても、結果をそのまま信じるわけにはいきません。たとえば、ある部品の強度確保において、制限荷重を超えてしまった部分が何か所か出てきたとき、それが本当に危険なのか、解析上の特性で高く出ているだけなのかをまず考えて、自分なりに仮説を立てて整理して、周りと確認しながら進めていく。間違っていたらやり直しですし、解析上の特性だと判断したなら、その理由をきちんと理論立てて説明できる状態にしてから初めて提出できる結果になります。「できませんでした」で終わらせるのではなく、なぜそうなったのかを突き詰めていく。難しいミッションをクリアしていくような達成感があります。ただ、間違えれば空の安全に直結します。面白さと緊張感が、いつも隣り合わせにある仕事です。
もう一つ、解析に活きているのが生産技術での経験です。設計部門から解析の依頼が来たとき、強度面では問題なくても、「この形で本当につくれるのか」「つくれたとしても、すごく時間がかかりそうだ」という感覚が頭に浮かびます。強度だけを見ていたら気づけない、設計と製造の両方を経験したからこそ持てる視点です。解析の結果を出すだけでなく、つくりやすさまで一緒に考えられるエンジニアになれているとしたら、生産技術の五年間があってこそだと思います。
いつか自分の描いた機体を空へ。
会社は「一緒に働きたい人」で選んでいい。
次の目標は、機体の形を自分で考えることです。今いる部署は強度と空力の解析チームが同じグループ内にあるので、空力のことも学びながら、いつか機体の全体を描けるようになりたい。あのヘリコプターが飛んだと聞いた日と同じ景色を、今度は自分の描いた機体で見たいと思っています。
その挑戦を後押ししてくれるのが、SUBARUの社風です。誰かが新しいアイデアを出したとき、否定から入らずに「そういうのもあるね」「いいね」と受け止めてくれる。生産技術のころ、シミュレーションを使った現場の改善を提案したときも、長年やってきた現場の方々が「どんどんやってよ」と言ってくれました。新しい取り組みには慎重な反応があっても不思議ではない中で、前向きに受け止めてもらえたことが印象に残っています。おおらかな人が多いというのもありますが、根っこにあるのは、設計も現場も、みんなが「いいものをつくりたい」と同じ方向を向いているからだと思います。
最後に、就職活動中の皆さんへ。私が会社選びで重視していたのは、やりたいことと同じくらい、「どんな人たちと一緒に働きたいか」という視点でした。面接で自然体で話せたことから、人の雰囲気が自分に合っていると感じた会社で、今、信頼できる人たちに囲まれて働けています。やりたいことがまだはっきりしていない人は、一緒に働きたいと思える人がどの会社にいるか。その視点で探してみるのも、いいのではないでしょうか。
とある1日の流れ
出勤
まずはメールチェックからスタートします。
解析モデル作成
強度評価したいモノの材料物性の入力や拘束条件の設定、荷重条件の設定をしていきます。
昼休み
友達と一緒に持参したお弁当を食べます。
製造調整・打ち合わせ
社内の製造現場や外部加工メーカーとの調整会を実施し、試作品や試験用の部品の製造方法について打ち合わせを行います。
解析結果分析
計算結果を見ながら、強度的に問題がないかを確認していきます。必要に応じて、形状を修正して再計算します。
退社
休日の過ごし方
休日は会社のトライアスロン部で練習しています。時には県内・県外の大会に皆で参加したり、合宿を開催するなど、遠征も楽しんでいます。
また、大学時代の知人とマラソンや登山、スキーをすることも。社外のコミュニティはいい刺激になりますし、体を動かしながらのおしゃべりで心身ともにリフレッシュできています。