考え方・方針

SUBARUグループでは、緊急事態対応の基本方針のもと緊急時の初動対応に重点を置きながら、重大インシデントの発生に合わせて対策本部を立ち上げ、迅速かつ的確な対応体制を構築し、速やかな事業復旧を実現し事業継続計画(BCP)につなげています。

緊急事態対応の基本方針

  1. 生命・身体の安全を最優先とする。
  2. ステークホルダー(利害関係者)の利益の喪失、および会社の価値の喪失を最小限とする。
  3. 緊急事態においても、常に誠実、公正、透明を基本とする。

緊急事態対応

緊急事態体制

緊急事態体制としては、リスクマネジメント・コンプライアンス室が中心となり関連規程類の整備を進め、CRMO(最高リスク管理責任者)がSUBARUグループ全体にわたる情報を一元的に掌握するとともに、SUBARUグループ全体の対応を統括管理する体制を整えています。そして、緊急事態発生時は、初動対応に重点を置き、事態の危機レベルに応じた体制をとることとしています。

緊急事態へ備えた取り組み

平時より各部門の役割や管理責任領域を明確にすることで、緊急事態発生時に可及的速やかにかつ抜け漏れのないリスク認識とその識別を強化しています。特に大規模な自然災害の脅威が高まるなか、人命最優先で適切な初動対応をとるための行動基準「初動ガイドライン」を策定し、平時からの準備、ならびに行動原則の共有・徹底を図っています。
SUBARUグループでは、日頃から事業継続に備えた規程類の定期的な整備とアップデートおよび訓練などを実施しています。さらに、各事業所単位では、重要業務の選定、緊急連絡体制の整備などBCPの強化を図り、全社コーポレート部門と密接に連携しながら事業継続や早期復旧を的確かつ迅速に行うための対応を進めています。また、全社的な緊急連絡体制の整備についても、災害発生時の情報共有に備えて「緊急事態対応基本マニュアル」に基づき「安否確認システム」を整備しています。

BCPにおけるリスクの考え方

BCPは計画の不完全性、リソース不足、外部環境の変化、技術的問題、訓練の不足など、有事においては不確実な面があります。これらのリスクを軽減するためには、BCPを定期的に見直し、従業員に対する教育と訓練を徹底し、計画の実効性を確保することが重要と捉えています。

各事業所とグループ会社における取り組み

群馬製作所

「令和元年東日本台風(台風19号)」以降、各工場(本、矢島、大泉)において、雨水の排水および工場内での貯水能力を増強する工事を実施しました。これにより、工場内の浸水被害を最小限に抑え、近隣地域への洪水対策にも寄与しています。
また、SUBARU大泉工場の敷地の一部を割譲し、3面のテニスコートを造成、大泉町に寄贈しました。その際、テニスコート下に3,800m2の雨水貯留槽を設け、豪雨時、隣接する国道354号バイパスの浸水対策に寄与しています。


雨水貯留槽設置工事
雨水貯留槽設置工事
寄贈したテニスコート
寄贈したテニスコート

宇都宮製作所

災害対策として、雨水の排水能力を増強する工事を行い、工場内の浸水被害がなくなるとともに、近隣地域への洪水対策にも寄与しています。
また、「宇都宮市防災協力事業所等登録制度」への登録を行い、災害時における地域との協力体制を構築しています。さらに、本工場に長期停電時も都市ガスを用いて発電可能なコジェネレーションシステムを導入しており、同工場内の食堂に600人、事務棟には1,200人以上を収容でき、災害時でも安全に一時待機できる環境を整え、従業員の安全確保とともに地域への協力を行っています。
加えて、大規模災害に備えて、航空宇宙カンパニーの「大規模災害発生時のBCP」を策定しました。策定にあたっては、サイトごと(宇都宮地区、半田地区、木更津地区)の地域特性を踏まえ、「従業員の安全確保」「サプライチェーンマネジメントを維持し事業継続」「地域社会復興への貢献」を基軸とし設定しています。
LTE回線を利用する防災無線(ハザードトーク)を導入し、強固な通信網を構築しています。
緊急事態時の現場状況をリアルに可視化することが可能となり、緊急措置など迅速に対応できるようにしています。

浸水対策(排水口)(宇都宮製作所)
浸水対策(排水口)(宇都宮製作所)

Subaru of America, Inc.

Subaru of America, Inc.(SOA)では、激甚災害への備えとして既存拠点の勾配を最大5フィート上げる、水はけの悪いエリアに湿地植物を植えるなどの雨水管理インフラの整備を行いました。SOAのレインガーデンは雨水の一部を敷地内に貯留することで、近くを流れるクーパー川の洪水原因の抑制に寄与しています。

被災されたお取引先様の復旧支援を実施

有事の際のお取引先様支援は、SUBARUグループのBCPの大きな柱の一つであり、お取引先様との共存共栄を目指しているSUBARUにとって欠かせない取り組みです。
2021年度は、工場火災によって被災されたお取引先様の復旧支援として、発生直後から4月末までの間、群馬製作所および協力企業から延べ500人以上を派遣しました。主に火災発生場所の清掃と、火災によってすすや水を被ってしまった設備などの復旧にあたりました。この活動を契機に、大規模災害時の工場復旧に関する組織体制を明確にし、工場復旧に必要な備品を各工場(本、矢島、大泉)に配備しました。また、半導体供給問題で生産体制に影響が発生していたお取引先様の生産支援として、2021年10月半ばから2カ月間、90人の従業員を派遣しました。
さらにSUBARUでは、こうした有事対応に加え、平時からサプライチェーン全体の事業継続性を高めるためのBCP体制整備にも取り組んできました。特に、2019年の台風19号を契機に、調達BCPの構築を本格化しました。国土交通省のハザードマップと取引先拠点情報を突き合わせることで、浸水や土砂災害などの自然災害リスクを可視化し、リスクの高い拠点については、お取引先様と共にリスク認識を深め、BCPの構えを確認する取り組みを実施しました。