考え方・方針

SUBARUグループでは、緊急事態発生時の対応だけでなく、日々の企業活動において重大な影響を及ぼす様々なリスクに対し、リスク発生時のダメージを最小化するためのリスクマネジメントの実践を経営の最重要課題の一つとして推進しています。
自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えており、グローバルに事業を展開するSUBARUグループは、世界情勢の変化に素早く対応し、経営の持続性の確保と経営基盤の強靱化を図りつつ、人的、社会的および経済的損失の最小化にこれまで以上に取り組んでいく必要があります。このような環境のなかで事業活動を行っていくうえで、グループ全体での戦略的なリスクマネジメントの推進が不可欠であり、SUBARUグループをリスクに強い体質にし、企業価値の向上を図ることが重要であると考えています。

体制・マネジメント

SUBARUは、グループのリスク顕在化と拡大を防止するため、取締役会が選任したCRMO(最高リスク管理責任者)がリスクマネジメント・コンプライアンス活動を統括し、活動状況などを取締役会に報告しています。
具体的な推進体制として、各部門に本部長クラスのリスク管理責任者を置き、CRMOを委員長、リスクマネジメント・コンプライアンス室および法務部からなるリスクマネジメントグループを業務執行責任範囲とする執行役員を副委員長とした「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」において、重要事項の審議・協議、決定および情報交換・連絡を行い、重要度に応じてリスクマネジメント・コンプライアンス委員会を監督する取締役会に上程しています。
CRMOは、リスクマネジメント・コンプライアンス室や法務部などのコーポレート部門の専門的見地からの支援を受けつつ、各事業に横断的な役割を担う経営企画部や各部門・カンパニーと密接に連携し、企業集団を通じたリスク管理の強化を推進しています。さらに、監査部が各部門および各子会社の業務遂行について計画的に監査を実施しています。

リスクマネジメント体制
リスクマネジメント体制 リスクマネジメント体制

事業活動にともなうリスク

SUBARUグループでは、緊急事態発生時の対応だけでなく、日々の企業活動において重大な影響を及ぼす様々なリスクに対し、リスク発生時のダメージを最小化するためのリスクマネジメントの実践を経営の最重要課題の一つとして推進しています。
主な事業等のリスクは以下の通りですが、SUBARUグループに関するすべてのリスクを列挙したものではありません。

経済・金融環境の変動に関連するリスク

  • ①主要市場の経済動向
  • ②為替の変動
  • ③金融市場の変動
  • ④原材料価格の変動

業界および事業活動に関連するリスク

  • ⑤特定の事業および市場への集中
  • ⑥市場における需要・競争環境の変化
  • ⑦商品ならびに販売・サービスに関する責任
  • ⑧サプライチェーンの分断
  • ⑨知的財産の侵害
  • ⑩サイバーセキュリティ
  • ⑪コンプライアンス
  • ⑫訴訟など法的手続き
  • ⑬ステークホルダーコミュニケーション
  • ⑭人権尊重
  • ⑮人財の確保と育成
  • ⑯気候変動

その他事業活動に影響を与える各国規制やイベント性のリスク

  • ⑰事業活動に影響を与える各国の政治・規制・法的手続き
  • ⑱地政学・地経学的災害(国際紛争・テロリスク)
  • ⑲自然災害と関連する損害
  • ⑳感染症等の発生

取り組み・実績

2024年度は、平時の取り組みとして、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会において、グループ全体の「リスクマネジメント方針」と各部門の「リスクマネジメント行動指針」のもと、各部門の重要リスクの洗い出しを実施、影響度の大きな課題を優先的に対応し、日常業務としてリスクの抑制を図る活動を推進しました。
2023年に公表した「新経営体制における方針」の実現をより確実に進めていくために、各部門の重要リスクに加え、外部変化や足元の環境を踏まえた経営レベルの議論を通じて策定したリスクマップを活用するなどリスクマネジメントの一層の強化を進めています。これに加えて、最適なリスク管理とその実効性向上のためのリスクマネジメント研修会を実施し、リスクリテラシー向上と委員会活動の活性化を図りました。
さらに、SUBARUグループの重点リスク低減に向け、それぞれのリスク分野を担当するリスクオーナー主導のもと「サイバーインシデント訓練」の実施、「関連企業の適正取引」の徹底推進、「自然災害におけるBCP体制」の充実などに取り組み、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会で定期的なフォローによる実効性の向上を図りました。
加えて、海外の重要な子会社との直接的なリスクマネジメント活動を推進しています。具体的には、定期的なリスク評価の実施、リスク軽減策の共有、そして現地の法規制や文化に対応したリスクマネジメントの強化を図っています。
また、定期的に「安否確認システム」の訓練などを実施することで、SUBARUに影響を及ぼすおそれのある災害発生時の情報共有に備えています。