考え方

SUBARUグループにとって、循環型社会(モノの循環および循環をベースとして成立する事業活動からの資源効率化)の構築は、製造業を営む企業として深く関わりのある重要なテーマと捉えています。
商品のライフサイクルにおける効率的な資源循環、国内外の生産拠点での埋め立てゼロの継続、一次元高い統合的な3R(Reduce、Reuse、Recycle)の実践を目標に、SUBARUグループとして循環型社会の構築を図っていきます。
また、SUBARUでは、限りある資源を有効に活用していくために、リサイクルを考慮したクルマづくりを推進しており、自動車の原材料調達から廃棄までのライフサイクル全体で資源の有効活用に取り組んでいます。

実績および取り組み

原材料

SUBARUは、クルマの材料として多く使用される鉄、アルミ、プラスチックなどの原料としてSUBARUのクルマの生産時に発生した端材やスクラップ、回収した使用済み商品などを再利用することで、クローズド・ループ・リサイクル※1に取り組み、天然資源の消費および廃棄物の発生の抑制に努めています。

※1
生産時に発生した廃棄物、スクラップ、回収した自社の使用済み商品を同じ品質の部品の材料として再生し、再び同種商品に採用する手法のこと。

2022年度にクルマに使用した材料 リサイクル方法
564,051t 鉄スクラップとして専門業者へ引き渡し、業者にて再利用
アルミニウム 26,822t 工場内で再度溶解し、ほぼすべて再利用
プラスチック 23,195t 一部再利用の為、工場内で再度粉砕
アルミ切削屑の再利用

廃プラスチックの循環利用に関する実績と取り組み

2022年度のSUBARUグループでの廃棄物排出量に占める廃プラスチックの割合は2.4%でした。排出される廃プラスチックの量は廃棄物排出量全体では少ない割合ではありますが、今後もSUBARUは廃プラスチックの再資源化率の向上に取り組むとともに、サーマルリサイクルからマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルへの再資源化処理方法の切り替えを検討し、廃プラスチックの循環利用に積極的に取り組んでいきます。

2022年度 SUBARUでの廃プラスチックの再資源化率および再資源化処理の内訳

集計範囲

SUBARU:
群馬製作所、東京事業所、宇都宮製作所、半田工場、半田西工場、エビススバルビル、部品センター、スバル総合研修センター
・航空宇宙カンパニーでの取り組み

SUBARUでは、製品製造過程で排出される廃棄物の再利用について様々な角度から検討を進めています。スーパー耐久シリーズに参戦する「Team SDA※1 Engineering」と共同の取り組みにより航空機部品の製造過程で排出される炭素繊維複合材料廃棄物より再生した炭素繊維を用いたカーボンボンネットをスーパー耐久「SUBARU BRZ」に適用し、軽量化と環境負荷低減の両立を実現しました。
さらに、本来の炭素繊維が有する材料特性に可能な限り近づくようなリサイクル炭素繊維を用いた材料の開発とリサイクル炭素繊維複合材料を用いた最適な設計手法の構築を行うことにより、より厳しい環境下で使用される航空機部品への再利用に向けて、他機関と共同提案した「リサイクル炭素繊維の連続化技術及び航空機適用技術の研究」が国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究プログラムに採択されました。
SUBARUは今後も、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に向けた活動を推進していきます。

※1
スバル ドライビング アカデミー:SUBARUエンジニアの運転スキルと評価能力を高める人財育成の取り組み。
再生カーボンを用いた軽量ボンネットフード

生産段階でのゼロエミッション

2022年度の廃棄物排出量は、生産活動が通常に戻ったため、生産量が増加し、前年度から22,323t増加しました。廃棄物は貴重な資源として捉え、回収し極力再利用化や適切な廃棄物処理を行い、2014年度よりゼロエミッション※2を継続しています。また、SUBARUは、廃プラスチックの対応の一環として、生産仕損じの廃バンパーの自動車部品への再利用など、廃プラスチックのマテリアルリサイクルの検討を始めています。

※2
産業から排出される廃棄物や副産物を他の産業の資源として活用し、結果的に廃棄物を生み出さないシステム。国連大学が1994年に提唱した概念。
主な廃棄物と再資源化方法
主な廃棄物 主な再資源化方法
排水処理場汚泥 セメント原料
塗装カス 製鉄用還元剤
廃プラ RPF(固形燃料など)
紙くず 再生紙・RPFなど
廃棄物排出量

対象範囲

SUBARU:
群馬製作所、東京事業所、宇都宮製作所、半田工場、半田西工場、エビススバルビル、部品センター、スバル総合研修センター
国内グループ会社:
輸送機工業(株)、富士機械(株)、(株)イチタン、桐生工業(株)、(株)スバルロジスティクス
海外グループ会社:
Subaru of Indiana Automotive, Inc.、Subaru of America, Inc.、Subaru Canada, Inc.、Subaru Research & Development, Inc.

エビススバルビル、部品センター、スバル総合研修センターを対象範囲に追加し、過年度に遡って修正しました。

廃棄物発生量と処理の内訳

集計範囲:
群馬製作所、東京事業所、宇都宮製作所
外部中間処理後の埋め立ては発生していない。

物流

梱包資材の再利用

SUBARU車の海外生産用部品の梱包・輸送を行っている株式会社スバルロジスティクスでは、梱包資材の再利用化(リユース)を柱に、積極的な環境負荷低減活動に取り組んでいます。
2022年度のリユース梱包資材の取扱量は、リユース資材適用率の高い「レガシィ」の出荷台数が前年度比で約1.4%増えたことが大きく影響し前年度比8%増の852t、原単位は2.8kg/台となりました。


(年度)

  2018 2019 2020 2021 2022
リユース量(t) 776 1,020 661 786 852
原単位(kg/台) 2.1 2.8 2.4 2.7 2.8

米国向けバンパーの包装資材削減

Subaru of America, Inc.では、日本から輸入したノンカラーバンパーを米国内で輸送する際に耐用できるように再包装していますが、日本からの輸出時に高強度で形状安定性の高い包装材を使用することで、米国での再包装を廃止する取り組みを2020年度から開始しています。

環境に配慮した包装資材への対応

部品物流センターでは、段ボール包装から紙包装への切り替えによる輸送効率の向上、バイオマスプラスチック原料が10%配合された包装資材の採用、樹脂製パレットから段ボールパレットへの切り替えに向けた検討を2021年度より開始し、包装資材においても環境に配慮した取り組みを進めています。
部品物流センターでは、紙緩衝包装資材の採用による脱プラスチックや作業性の向上を実現させました。バンパー、エンジン、トランスミッションなどの大型部品の出荷梱包資材を木材からダンボール化の切り替えに向け検討を開始し、2023年度中に採用開始予定です。また、2023年度より、脱プラスチックに向けプラスチック素材の包装資材について過剰品質廃止(廃止、サイズ縮小、厚さ見直しなど)に取り組み、包装資材においても環境に配慮した取り組みを進めています。

販売

国内販売特約店のゼロエミッション

販売特約店では、事業活動において排出される廃棄物の適正処理活動と国内での再資源化を目指してゼロエミッション活動に取り組んでいます。これらの結果、2022年度は、使用済みバンパー27,303本、鉛バッテリー145,852個(鉛資源1,974t)、オイル5,171kL、タイヤ207,932本を回収しました。
お客様に一番近い販売特約店のゼロエミッション活動は、より身近な環境保全活動であるとともに、SUBARUの目指す「安心と愉しさ」でお客様に選ばれ続けるブランドの実現につながるものと考えています。

使用済みバンパーの再資源化

廃油の再資源化

SUBARU販売特約店でオイル交換時に発生する廃油は、SUBARUが構築したゼロエミッションスキームにより、再生重油として再資源化しています。山形県の園芸農家では、この再生重油をハウス暖房用燃料として利用し、毎年きれいなポインセチアやシクラメンを育てています。

自動車リサイクル法に基づく使用済み自動車の適正処理

自動車リサイクル法

日本の自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)に基づき、自動車メーカーは自ら製造した自動車が使用済み自動車となった際に、自動車破砕残さ(ASR)、エアバッグ類、フロン類を引き取り、これを適正にリサイクルすることが義務づけられています。
SUBARUは、自動車メーカーなど13社で設立したART※3を通じて、ASRの適正なリサイクルを円滑かつ効率的に推進しています。また、エアバッグ類・フロン類に関しては、国内自動車メーカーおよび輸入業者と共同で設立した一般社団法人自動車再資源化協力機構を通じ、適正処理を行っています。

※3
自動車破砕残さリサイクル促進チーム:自動車メーカー13社が2003年に結成。リサイクルが義務づけられている特定再資源化物品のうち、ASRについて、そのリサイクルを適正、円滑かつ効率的に実施するための企画を行うチーム。

使用済み自動車の適正処理

SUBARUは、自動車リサイクルシステムの構築に積極的に参加、協力し、使用済自動車の環境負荷低減に取り組んでいます。また、よりリサイクルしやすいクルマの開発も積極的に推進しており、全国の販売特約店との自動車リサイクルシステムによる連携のもと、シュレッダーダスト(ASR)、エアバッグ類、フロン類の適正な処理を推進し、再資源化率の向上に努めています。
2022年度はASRの再資源化率が96.9%となり、2015年度以降の法定基準である70%以上を達成しています。また、エアバッグ類についても法定基準の85%を上回る95.4%を達成、フロン類についても引き取った全量を適正に処理しました。
これらのSUBARUの自動車リサイクル法に基づく再資源化等の実施状況の詳細は、別途「自動車リサイクル法について」にて、情報開示を行っています。


自動車リサイクルの流れ

海外

リビルト品の活用

循環型社会を実現するために、米国のSUBARUグループでは、エンジン、トランスミッションなど大型の修理部品については、環境負荷の低減や、お客様の費用負担軽減などを考慮して、利用可能な部分を取り出して再利用するリビルト品※4の活用に取り組んでいます。この活動により10年間で約50,000t-CO2の削減効果が得られました。

※4
エンジンなどの修理部品について、消耗部品の交換並びに利用可能な部分を検査基準に則って再利用したもの。

地域配送センター(Subaru of America, Inc.)

Subaru of America, Inc.の地域配送センターでは返却可能な容器を使用することで、部品輸送時の段ボールや木材などの使用量を削減しています。

Terra Cycle®との協働事業(Subaru of America, Inc.)

Subaru of America, Inc.は、2018年よりリサイクル率向上のためのプロジェクト「Subaru Loves the Earth」の一環として、米国のリサイクル会社Terra Cycle®と協働して、公園のベンチや花瓶などリサイクルが困難なものの再資源化を実現してきました。
様々な廃棄物のリサイクルを促す「Zero Waste Box™プログラム」では、米国内の販売店にTerra Cycle®のリサイクル回収ボックス「Zero Waste Box™」を配付し、お客様や従業員、各地域のパートナー団体の皆様からお菓子の包装材や使用後の紙コップ、プラスチック容器などを回収しています。
2022年4月にはNew Jersey Pine Barrens CleanupにてTerra Cycle®を利用し、2日間で812ポンドのごみをリサイクルしました。

廃棄物回収BOX

米国国立公園での埋め立てゼロに向けた共同事業(Subaru of America, Inc.)

Subaru of America, Inc.は、米国SUBARU生産拠点であるSubaru of Indiana Automotive, Inc.での埋め立てゼロの知見を活かし、ヨセミテ国立公園(カリフォルニア州)、デナリ国立公園・自然保護区(アラスカ州)、グランドティトン国立公園(ワイオミング州)から排出され埋め立てられるごみの削減を目指して、2015年からお取引先様、保全協会、国立公園局などと共同事業を進めています。この国立公園での埋め立てゼロに向けた活動が評価され、2020年にSubaru of America, Inc.は「Silver Halo Award」および「Corporate Stewardship Award」を受賞しました。この活動を通じて、2015年以来、デナリ国立公園、グランドティトン国立公園、ヨセミテ国立公園で2,240万ポンド以上のごみが埋め立て処分からリサイクルやコンポストに転換されました。

e-waste(Subaru of America, Inc.)

Subaru of America, Inc.は従業員の家庭から出たe-waste(電気電子機器廃棄物)を適切にリサイクルする取り組みをしています。2022年のEarth Dayのイベントでは1,988ポンドのe-wasteを回収し、埋め立て処分から回避されました。

Sustainable Subaru Gear(Subaru of America, Inc.)

Subaru of America, Inc.はStaples Corporateと協働して、環境にやさしいSUBARUブランドの服や製品を人々やペットに提供し、100%リサイクルのポリ袋やリサイクル可能な発送用の箱を活用するなどして、環境負荷の低減に貢献しています。

Subaru of Mississaugaでのzero landfillの取り組み

地元ベンダーであるU-PAK DISPOSALSと協力し、埋め立て地ゼロに向けた取り組みを進めています。2022年4月1日~2023年3月31日までの期間で36千tの埋め立て処分量のごみが埋め立て処分から回避され、Energy from Wasteプログラムを通じてリユース、リサイクル、たい肥化、またはエネルギー生産に利用されました。