考え方

自動車と航空宇宙事業を柱とするSUBARUの事業フィールドは、「大地と空と自然」です。SUBARUは、事業活動を通じて生物多様性保全に取り組み、自然との共生を目指します。
SUBARUは一般社団法人日本経済団体連合会の生物多様性宣言に賛同し、生物多様性に配慮した事業活動を継続していくため、生物多様性ガイドラインを制定し、「SUBARUの森」の保全活動、事業所内外の各イベントを通じた啓発活動を行っています。
また、生物多様性部会での活動を通じて、今後も積極的にSUBARUの生物多様性に関する取り組みを推進していきます。

生物多様性ガイドライン

SUBARUグループの生物多様性保全活動の基盤となる「SUBARU生物多様性ガイドライン」を2019年4月に制定しました。制定にあたっては、生物多様性に関する国際的な動向を考慮しつつ、「生物多様性民間参画ガイドライン」(環境省)や「経団連生物多様性宣言・行動指針〈行動指針の手引き〉」などを参考とし、CSR重点6領域やSUBARU環境方針と整合性を取り、実効性および継続性を担保できるものとしています。

SUBARU生物多様性ガイドライン

私たちの社会は、さまざまな自然の恵みの源である「生物多様性」に支えられています。
その一方で「生物多様性」は地球規模で急速に失われています。
私たちは、事業活動を通じて生物多様性保全に取り組み、「大地と空と自然」が広がる地球の環境保護に貢献し、自然との共生を目指します。

  1. 事業活動が生物多様性に与える影響を把握し、その影響を低減しさらに回復につながる取り組みを進めます。
  2. 生物多様性に関する意識向上に努めます。
  3. 生物多様性に関する社会の国際的な取り決めを尊重します。
  4. さまざまなステークホルダーと連携し、生物多様性保全に取り組みます。
  5. 生物多様性に関する取り組みを積極的に開示します。

2019年4月制定

体制

SUBARUでは、生物多様性の取り組みを推進するため、生産環境小委員会の下部組織として生物多様性部会を設立し、定期的にSUBARUとして生物多様性の活動目的や課題、計画策定に関する調査結果などを共有しています。この部会の下部組織として群馬製作所、東京事業所、宇都宮製作所、本社の4つの分科会を設け、各拠点の取り組みや調達委員会や社会貢献委員会などでの生物多様性関連事項の共有、生物多様性の取り組みに関するロードマップの策定を行っています。これらの生物多様性部会の取り組みは、他の部会と同様に、環境委員会に定期的に報告され、取り組みの進捗および方向性が総合的にマネジメントされます。
2022年度は、生物多様性部会にて、事業所の植栽に用いる植物の選定の考え方を示す「植栽ガイドライン」を発行しました。事業所周辺の固有種や在来種を優先して植栽に用いることで、地域の生物多様性に悪影響を及ぼさない植栽活動の実施を目指しています。

SUBARUの生物多様性の組織体制

取り組み

「SUBARUの森」

SUBARUは、2017年度から「SUBARU環境方針」の「自然との共生」を具体化した、生物多様性の保全に直結する「SUBARUの森」活動に取り組んでいます。

北海道「SUBARUの森 美深」

スバル研究実験センター美深試験場敷地内に所有している約100ヘクタールの森林において、植林・間伐・自然保護などの整備・保全活動を2017年度から着手し、美深町など地域社会と連動した森林整備・保全活動を目指し、50年後の森の育成という長期的な視点での人工造林の整備を進めています。また、気候変動対策を踏まえ、SUBARUは2021年度からJ-クレジットを購入しています。
「SUBARUの森 美深」では森林整備事業で発生する間伐材をバイオマス燃料などに利用しています。また、周辺地域に生息しているキタキツネやヒグマなどの野生動物が敷地内で目撃されることもあり、自治体と協力のうえ、野生動物との共生を目指した対策を検討しています。
なお、美深町では森林資源の有効利用等を目指すため、弊社の森林を含む町有林において、2019年度から、国際森林認証制度であるSGEC-FM認証を取得しています。

スバル研究実験センター美深試験場と周辺の森林
敷地内で見かけるキタキツネ

美深町 植樹祭への協賛

2018年に、美深町およびSUBARUは、「SUBARUの森」活動の一環として「スバル研究実験センター美深試験場」内に所有する115ヘクタールの森林において植林・間伐・自然保護などを行うとともに地域社会とも連動した活動を進めるため、同町と「森林保全活動等の具体化に関する協定書」を締結しました。本活動の一環としてSUBARUは、毎年開催される植樹祭に協賛しています。2023年5月に開催された樹霊祭ならびに植樹祭では、地域の森林組合や行政スタッフ総勢約70人が集まりました。健全で豊かな森林を次世代に継承するという願いを込め、美深町の生物多様性に適したミズナラを240本植樹しました。植樹したミズナラは約70年後に伐採の時期を迎えます。

約70人が植樹祭に参加

松山湿原 環境保全活動への寄付

2019年に、美深町、北海道上川総合振興局およびSUBARUは、「『美深町内の森林環境保全』に関する連携協定」に調印しました。SUBARUは「企業版ふるさと納税」の制度を活用して、2019年度からの3年間で300万円の寄付を行い、北海道が実施する「おいでよ!天空の園・松山湿原の森プロジェクト」を通じて同湿原の木道整備事業などをサポートしています。これまで4回の寄付が実施され、その寄付金をもとに入山者の適切なルートを確保し、貴重な植生や入山者の安全を確保すべく、老朽化した案内板や散策路の整備などが行われました。

美深町内に所在する日本最北の高層湿原(標高797m)。シダ植物やコケ植物など約200種の特徴ある植物が生息していることから、環境省が「日本の重要湿地500」の一つに選定。
松山湿原の景観
補修された松山湿原周辺の散策路

群馬県立森林公園「SUBARUふれあいの森 赤城」

2018年4月、SUBARUは自動車生産工場がある群馬県の県立森林公園のネーミングライツ(命名権)を取得しました。2023年までの5年間を「SUBARUふれあいの森 赤城」と称し、県有林の保全整備支援を行っています。2022年3月には森林公園へ間伐材を用いたバイクラック10台も寄贈しています。また、森林公園整備支援として、群馬県に5年間で総額980万円の寄付を行うこととし、2020年度に引き続き、2021年度、2022年度も寄付を行いました。

SUBARUのふれあいの森 赤城

栃木県宇都宮市森林公園「SUBARUの森 宇都宮」

SUBARUは、航空宇宙カンパニーがある栃木県宇都宮市の森林公園内にある市有林の一部を「SUBARUの森 宇都宮」と称し、宇都宮市と連携して2022年度まで森林の保全整備活動を支援し、間伐作業への支援に加え、ベンチやバイクラック製作など間伐材の活用に取り組みました。

間伐材を使用したベンチ
間伐材を使用したバイクラック

緑地への取り組み

SUBARUグループの各事業所は近隣の自然環境や生態系と密接に関係していることから、地域の生物多様性保全に貢献できる様々な取り組みを行っています。

群馬製作所 北本工場

埼玉県北本市の東光寺には、大正11年に国の天然記念物に指定された、日本五大桜の一つに数えられる推定樹齢800年の石戸蒲ザクラがあります。北本市にある北本工場では、2003年に北本市より譲り受けた後継樹を敷地内で大切に育てています。

北本工場の桜

東京事業所

事業所内に武蔵野周辺に自生するシラカシやムラサキシキブなどの植栽を順次行い、武蔵野の自然豊かで生物多様性に配慮した景観づくりにつなげています。また、地域の歴史的な自然造形を守る活動に参画し、東京事業所周辺の産官学民と意見交換を行っています。

シラカシ
ムラサキシキブ

地域交流を通じた生物多様性の取り組み

SUBARUは、各事業所で生物多様性の取り組みを行う目的として、身近なステークホルダーである地域住民の皆様や自治体とSUBARUの従業員とのコミュニケーションを挙げています。SUBARUは地域で開催されるイベントへの参画や企画を行い、地域住民の関係者と共に生物多様性に取り組むことで、皆様と共に地球の環境保護に貢献し、自然との共生を目指していきます。

群馬製作所

花配布活動

スバル地域交流会員企業を対象に、年3回、希望する企業に花の苗を配布しています。2015年より生物多様性に貢献する花の苗を用い、各社の緑化活動に利用してもらっています。

スバル地域交流会

小学校花壇コンクール

花壇づくり用に花の苗を無償配布し、地域の子どもたちに花の育成を通じて命の大切さを感じていただくことを目的として、太田市、大泉町の小学校を対象に、2015年度より花壇コンクールを実施しています。2020年度の本コンクールは中止となりましたが、2021年度より新型コロナウイルス感染症対策に配慮したうえで再開しました。

宇都宮製作所

新管理棟の植栽

新管理棟建設の際の植栽において、「植栽ガイドライン」に基づき日本の在来種を選定しています。

日光杉並木街道の保護

SUBARUは栃木県の国の特別史跡・特別天然記念物である日光杉並木の保護に賛同し、1996年より並木杉2本のオーナーとなっております。

日光杉並木

生物多様性に配慮した調達

SUBARUでは、牛皮革や天然ゴムなどの動植物由来原材料の使用状況を調査し、生物資源の調達において生態系や人権に悪影響を与えていないことを確認しています。
また、SUBARUはコピー用紙として新たな樹木を原料としない古紙パルプ100%配合の再生コピー用紙を使用しています。

ペーパーレス化の取り組み

お取引先様への支払案内書は2023年度中の完全Web化を目指し、ペーパーレス化を進めております。また、整備用部品や車両アクセサリーに関連する業務で使用するシステム帳票の紙出力をペーパーレス化し、2023年1月、紙出力ゼロを達成しました。

海外

事業活動と自然との共生(Subaru of Indiana Automotive, Inc.)

Subaru of Indiana Automotive, Inc.では、地域の野生生物が生息しやすいよう工場敷地内の遊水地や周辺緑地を整備し、生態系の保護に取り組みました。その結果、 2003年に、「National Wildlife Foundation」から野生動物が生息するエリアとして認定されました。これは、米国内の自動車工場としては初めての認定となります。野生のカナダガンやサギが餌場や休息地として利用し、野生のシカも多く生息するなど、工場は豊かな自然に囲まれています。

野生のカナダガン
工場周辺の豊かな自然

野生動物保護活動や自然保護活動への支援(Subaru of Indiana Automotive, Inc.)

2020年より、Subaru of Indiana Automotive, Inc.は「Wolf Park」というオオカミやキツネやバイソンの保護活動を行う団体の野生動物保護に関する教育、保護、研究といった活動を支援するとともに、「NICHES Land Trust」という自然保護団体を後援しており、地元の土地の保護のほか、保護を行う組織と連携しています。また、アースデイを祝うために、毎年非営利団体Tree Lafayetteと提携し、2022年にはMiller小学校に15本の植樹を行う事業を後援しました。

フィラデルフィア・フラワーショーへの参画(Subaru of America, Inc.)

ペンシルベニア園芸協会とのパートナーシップを通じて、2022年に開催されたフィラデルフィア・フラワーショーに参加しました。イベントでは参加者が自宅用に持ち帰る鉢への花の植え方を習う場が提供されました。

フィラデルフィア・フラワーショーの様子

Print Releafによる植林プログラム(Subaru of America, Inc.)

Allied Printingとのパートナーシップを通じて、紙の消費量を測定し、選択した植林地において自動的に再植林することにより、紙のフットプリントを相殺するPrint Releafによる植林プログラムを利用しています。2022年は、400本の植樹を行いました。