学生フォーミュラ支援活動 Vol.1

学生フォーミュラ支援活動 Vol.1 ワーキンググループの立役者が語る学生フォーミュラの魅力

記事内の日付や部署名は、取材当時の情報に基づいた記述としています

仕事は違っても、「笑顔をつくる」という想いでつながる「SUBARUびと」。 様々な部署で働く「SUBARUびと」を、仕事内容や職場の雰囲気を交えてご紹介します。今回は、学生が自ら構想・設計・製作した車両により、モノづくりの総合力を競うモータースポーツである「学生フォーミュラ」の支援活動を行う、当社の学生フォーミュラ支援WG(ワーキンググループ)メンバーの清水さんに、その魅力や支援する目的を聞きました。

清水飛鳥さん

清水飛鳥(しみず あすか)さん材料研究部 材料研究第四課

2020年に入社。サスペンションの耐久信頼性の先行開発に携わった後、2023年より、量産車開発におけるドア・リヤゲートの耐久信頼性を担当。自身も大学時代に熱中した学生フォーミュラの大会運営サポートに積極的に取り組み、会社に働きかけて大学への支援を行うワーキンググループを立ち上げた。

目次

学生フォーミュラは
世界一想像力あふれる
モータースポーツ

清水:
学生フォーミュラ*1は、学生自らがチームを組み約1年間でフォーミュラスタイルの小型レーシングカーを開発・製作しモノづくりの総合力を競うモータースポーツです。現在、世界17カ国で同じルールのもと大会が行われており、「世界一想像力あふれるモータースポーツ」だと感じています。特徴的なのは、マシンの速さや走行性能だけではなく、車両コンセプトや設計、開発コストなども審査し、その上で総合点を争うところです。

SUBARUでは、2003年の第1回「学生フォーミュラ日本大会」から大会運営の支援を継続して行ってきました。さらに2023年からは、大学への技術支援も開始し、次世代のエンジニアの育成にも注力しています。活動は大きく分けると2つあり、1つは大会運営のサポートです。審査員や大会スタッフは、各自動車メーカーから派遣されるエンジニアが務めており、SUBARUのエンジニアもその一員として参加しています。2つ目の活動は、大学への技術支援です。学生が実践的な学びを深める機会として、SUBARU社員による講習会を開催しています。内容は運転体験を通じて車両の構造や挙動を物理的に捉え、「理論・実技・メカニズム」の3つを結びつけながら、運転そのものの本質を理解することを目指しています。
こうした講習会を通じて、学生が新たな気づきや視点を得られるよう支援しており、その中でSUBARUが大切にしている「人を中心としたクルマづくり」や、モノづくりへのこだわりなどの考え方にも自然と触れてもらえるよう工夫しています。

魅力はたくさんありすぎて
語りつくせない

清水:
私も大学時代、学生フォーミュラに参戦していました。子どもの頃からクルマが好きだったこともあり、高校生のときに近くで行われた大会を観に行ったんです。そこで目にした、当時世界1位だったオーストリアの強豪校と名古屋大学とのデッドヒートがカッコよくて、「絶対これに出たい!」と思ったことがきっかけでした。
学生フォーミュラの魅力は、自動車に関する知識を深められたり、授業で学んだ知識を実践の場で活かせたりすることです。また、開発するための技術はもちろんですが、開発に必要な資金を調達するため、スポンサーに自分たちの「強み」をアピールするといったプレゼン能力も含めて学べることも大きいと感じます。そして何より、仲間と一緒に一つの目標に向かって努力するという貴重な経験ができる場でもあります。本気で取り組んだ経験は、後の人生でも必ず活きると確信しています
さらに個人的には、「カッコいい」ものをつくるセンスを磨ける場だと思っています。「機能美」という言葉があるように、物理法則に基づいた形状の速いクルマほど自然とカッコよく見えるものです。デザインや電子制御もクルマの重要な要素ではありますが、物理現象を軽視しては、真に良いクルマは生まれません。そうした原理原則を学べたことは、非常に有意義な経験でした。ここでは語り尽くせないほど、学生フォーミュラには多くの魅力があります。

育ててくれた
学生フォーミュラに
恩返しをしたかった

清水:
SUBARUに入社して4年目のとき、学生フォーミュラに初めて大会スタッフとして参加しました。それまで当社は2003年から、学生フォーミュラ大会への協賛と審査員を派遣してきましたが、学生フォーミュラに育ててもらった身として、もっとSUBARUらしい支援という形で恩返しができないかと考えるようになりました。
社内の学生フォーミュラ経験者に声をかけると、同じ想いを持つ仲間がいて、支援活動の提案を会社に持ちかけることにしました。学生フォーミュラに詳しくない人にも伝わるように資料を工夫し、活動の意義を丁寧に発信した結果、社内の理解を得ることができ、ワーキンググループの立ち上げに至りました。

大会の企業ブースで学生と交流している様子

将来は高校生や中学生との
接点もつくりたい

清水:
この活動において、私たちが最も大切にしていることは、次世代のモノづくり人財の育成です。1台のクルマは数万点の部品で構成されており、クルマづくりには非常に多くの企業が関わっています。学生フォーミュラを通じてモノづくりの面白さを実感した人たちが、それぞれの分野でクルマづくりに関わることで、自動車業界全体の技術力が向上し、SUBARUにとっても良い刺激になることを期待しています
実際、学生フォーミュラを経験した人の中には、航空機の開発に進むケースも多く、ワーキンググループには航空宇宙カンパニー*2のメンバーも参加しています。自動車に限らず、日本のモノづくり全体を盛り上げていく一助になれればと考えています。
私は、学生に向けてできることはまだまだあると思っていて、もっとイベントや技術を提供する場を増やすと同時に、学生フォーミュラの裾野をもっと広げたいと思っています。
将来的には、大学生だけでなく、高校生や中学生にも対象を広げ、ものづくりの面白さに触れる機会を提供し、そうした学びの場を支えることで、技術への関心を育むきっかけにしたいと考えています。

学生フォーミュラの魅力を次世代に伝える「SUBARUびと」。ぜひ、次回のコラムもご期待ください。

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