SUBARU × スーパー耐久 ~エンジニアたちの挑戦~

記事内の日付や部署名は、取材当時の情報に基づいた記述としています

スーパー耐久マシンの電気/電装品全般を手掛ける、新進気鋭の若手エンジニア
E&Cシステム開発部|樋口 光

スーパー耐久に挑むSUBARUの技術者たち。今回はスーパー耐久マシンの電気/電装品全般を担当している、E&Cシステム開発部の樋口 光(ひぐち ひかる)さんにインタビューしました。

通常業務では「電子プラットフォーム開発」を担当しているということですが、そもそも、「電子プラットフォーム」とは何なのでしょうか?

電子プラットフォームは「電気/電子の領域で、クルマの進化を支える屋台骨」で、自動運転やコネクティッドサービスのような最新技術の実現を、電源/通信/セキュリティの面から支える基盤技術です。例えば、皆さんが何気なく使用しているエアコンやアイサイトをはじめとするクルマの各種機能は、実はたくさんのECU*1が相互に通信して連携・協調することで実現しています。その協調制御を可能にさせるのも電子プラットフォームの役割です。その中で私は、いわば「通信の交通整備役」として、通信が途切れたり負荷が集中して遅延が発生したりしないよう、各ECUで必要とする通信量・通信内容を基に最適な通信経路(Ethernet/CANなど)を構築し、管理することに取り組んでいます。

*1:Electronic Control Unit(クルマに搭載される各種機能を制御する装置)
電子プラットフォームの進化があるからこそ、様々な先進機能が実現できています

非常に専門性が高くて、複雑ですね…スーパー耐久では何を担当しているのですか?

通常業務よりも大幅に範囲が広く、電装部品そのものやそれらをつなぐハーネス・スイッチ類などを含めた、電気/電装品全般が私の担当分野です。もともとレースにはそれほど興味がなかったのですが、「スーパー耐久のマシンを作るから、協力して欲しい」という周囲からの誘いや上司の後押しを受けて、マシンの開発当初から参画してきました。今となっては現地・オンラインでレース観戦をするほどレースにハマっています!

電気/電装品全般を担当するというのは、通常であればいくつかの部署にまたがる作業ですよね?

そうなんです。スーパー耐久活動に参加した最初の頃は参加メンバーも少なく、担当領域以外も含め広い範囲をカバーする必要がありました。そのため、他部署の先輩やメカニックの知見を借りながら自分なり勉強することに必死で、参加1年目の後半くらいからやっと1人でも対応できるかなという気持ちで現場に来られるようになりました。それまでは不安ばかりでしたが、こうやって全体の流れが分かると他の領域まで理解できますし、現場でのトラブルを経験し、解決していく中で、自分のできることの領域が広がったという成長を感じています。それに、他の領域に関する理解を深めることは、お互いのことを尊重しながら仕事ができる事につながるので、そこはスーパー耐久活動の魅力ですね。

マシン制作の過程で、樋口さんの自信作は何ですか?

VDC*2の自動解除システムは私の自信作です。市販のSUBARU BRZでは、スイッチを3秒間長押しすることで解除することができるのですが、通常のレース時には使用しません。レース本番中に3秒間の長押し操作が必要となると手間もかかりますし、何よりドライバーにはレースに集中してほしかったんです。そこで「自分に何か貢献できることはないか?」を考え、エンジンが始動したことを認識すると、エンジンの始動から数秒後に自動でオフにするというシステムを作りました。

*2:Vehicle Dynamics Control(横滑り防止装置)

この活動での経験を活かし、日常業務にも反映できることが増えたのではないですか?

そうですね。いままで当たり前のようにエンジンがかかると思っていたところが、スーパー耐久では「その当たり前を支えるのが自分の役割なんだ」という大きな気づきが得られましたし、やったことが結果として目に見えることはモチベーションアップにつながりました。また日常業務でも、他の領域を知ることで「1つ1つの部品・システムとしては良くても、クルマ全体として考えたらどうなのか?」と、クルマ1台としての広い視点で考えることの重要性を感じられるようになりました。

樋口 光

樋口 光(ひぐち ひかる)

2018年入社。高校では電子機械科にて機械設計、回路設計、プログラミングをロボット製作を通じて学ぶ。入社後は、CAN通信開発や車載Ethernet通信開発などの車載通信開発を担当。現在は、将来に向けた電子プラットフォームの企画/構想業務を務める。現在もプライベートでロボット競技大会へ出場し、過去には国際大会優勝の経歴も持つ。

「電気/電子系に興味を持ってくれる人がもっと増えるとうれしいです!」と笑顔を輝かせながら語ってくれた樋口さんでした。レースを通じて切磋琢磨を続けるSUBARUのエンジニアたちの挑戦、次回のコラムもぜひご期待ください。

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