東京レガシーハーフマラソン2023で、2連覇を達成した唐澤剣也選手(通称:からけん)。ハーフマラソンと5000mの世界記録保持者でもあります。さまざまな困難を乗り越えながら競技を続け、世界を目指すからけんから、チームはいつも大きな刺激をもらっています! → 東京レガシーハーフマラソン2023、からけん&小林コーチの力走はコチラ
ガイドランナーと走ります
唐澤選手は全盲のランナーなので、練習もレースも、ガイドランナーと一緒に走ります。東京レガシーハーフマラソン2023でガイドランナーを務めたのは小林光二コーチ。唐澤選手は右手でテザーと呼ばれるロープを持ち、小林コーチが左手でロープのもう一方の端を持って走りました。 小林コーチは、あのスピードで走りながら、レース中ずっと、周囲の状況や足元を素早く観察し、今、どこを走っているか、どこで曲がるかなどを、唐澤選手に伝えているのです!
黄色く、先が輪っかになっているロープがテザーです。唐澤さんは輪に手を握り、小林コーチは指に引っ掛けて走ります。なんと、放すと失格になってしまいます…!
速すぎて、起きた問題
唐澤選手が本格的に競技を始めたのは2016年。以来、多くの人に協力を呼びかけ、ガイドランナーになってもらいながら、競技を続けてきました。
唐澤選手の場合、速くなるにつれガイドできるランナーが少なくなる、という問題があります。あまりの速さに、いよいよガイドランナーの成り手がいなくなったからけんは、2021年3月、SUBARU陸上競技部にやってきました。
唐澤選手の応援団「からけん会」制作のTシャツ。胸にはガイドランナーと走る、ぐんまちゃんがプリントされています!
暗いチームに、からけん参上!
からけんが参加した時のチームの雰囲気は、はっきり言って最悪でした。というのも、その直前のニューイヤー駅伝で、創部以来初めて予選落ちし、出場を逃していたからです。 一方のからけん。速くなるにつれてガイドランナー探しは困難になり、遠征費もかかってくるなど、新たな難問が次々と降りかかる中、一つずつクリアしながら競技を続けていました。 「僕たちは、学校や実業団という整った環境のなかで競技をしてきた。一方、からけんさんは、競技するための環境そのものを自分で作り出すところから始め、しかも、世界をめざしていた。そのパイオニア精神と、前向きな思考に触れ、暗かった選手たちもだんだん『僕たちも頑張らないと』という気持ちになっていきました」と小林コーチは振り返ります。
ウォーミングアップする唐澤選手(右)&小林コーチ(左)。「小林コーチとはピッチやリズムがあまりにぴったりで、一人で走ってるかのようにラクに走れます」と唐澤選手。
栄光の表彰台
決定的だったのは2021年8月27日。唐澤選手は東京パラリンピックに出場。5000mで素晴らしい走りを見せ、見事、銀メダルを獲得しました。ガイドランナーを務めた小林コーチ、茂木洋晃さんと3人で、日の丸を背に栄光の表彰台に上る唐澤選手(コチラ をご覧ください)。 そして、からけんの輝かしい活躍から約4カ月後の2022年1月1日、奮起したチームがニューイヤー駅伝で準優勝を果たしたのでした!(ニューイヤー駅伝2022の試合結果はコチラ)
そして唐澤選手は以降も、
2022ジャパンパラ800m、アジア新! 東京レガシーハーフマラソン2022、世界新! パリ2023世界パラ陸上、金メダル!
と、次々に偉業を成し遂げ、チームを鼓舞し続けています。
「パラスポーツ、広がってほしい」と小林コーチ
ガイドランナーとしてパラスポーツの世界を知り、唐澤選手からチームが刺激を受ける過程を目の当たりにしてきた小林コーチは「パラスポーツは、本人や周囲を元気にする。もっと普及してほしいと思います」と話します。 皆さんも、からけん&小林コーチと走り、パラスポーツに触れてみませんか? 伴走体験をご希望の方は、コチラまでご連絡ください!