ニューイヤー駅伝の出場をかけた東日本予選までまもなく! 今回も、昨年の予選敗退を、奥谷亘監督率いるチームがどう成長につなげていったかをお伝えします。
|走路員として迎えた2021年
ニューイヤー駅伝の挑戦権をつかめなかった2021年元旦、奥谷監督らSUBARU陸上競技部の姿は、太田市の沿道にありました。赤いウインドブレーカーを着て、大会を支える走路員として試合のお手伝いをしていたのです。
奥谷監督は都大路常連の兵庫県立西脇工業高校卒業後の1993年、実業団陸上の世界に入りました。以来、選手として、コーチや監督として、毎回欠かさずニューイヤー駅伝に出場してきました。西脇工時代を含めれば、「年末年始は戦うことしか知らない男・奥谷」として生きてきたと言って良いでしょう。
「1月1日に戦わなかったのは、社会人になって初めてのことでした」と話す奥谷監督
翻って2021年。4区から5区にかけて、前年の雪辱を果たすべく力走する富士通の選手を、旭化成やトヨタ自動車の選手が追いかけていきます。日本一を争う熱戦を前に、アスリートである自分たちが走れずにいる。選手たちは歯ぎしりしながら、「来年こそは、自分たちがこの頂上決戦の主役になる」と誓いました。
奥谷監督は敗戦を成長につなげようと、「勝利への戦略」を立てました。ただ、最初から手応えがあった訳ではありません。一人の選手の行動と走りが、奥谷監督の背中を押してくれました。
今年で入部4年目の藤原滋記選手です。 「予選敗退で沈んでいる現状を変えたい。チームにとってプラスになることがしたい」。 と考えた藤原選手は、2021年2月の全日本実業団ハーフマラソン大会でいい記録を出し、チームを活気づけようと目標を立てました。
結果を出すことでチームを元気づけた藤原選手
藤原選手は2021年2月の全日本実業団ハーフマラソン大会に向け、同じ大会に出る住吉秀昭選手や国川恭朗選手ら後輩を引き連れて、走り込みを始めました。例年ならニューイヤーに向けた調整が続く年末の時期、「本当なら元旦で活躍していた」という思いにはフタをして、地道な練習を積んだといいます。
そして迎えた2月、藤原選手は自己ベスト更新となるハーフ61分51秒の好記録をたたき出したのです!
藤原選手はレース直後、「泥臭い練習が結果につながりました。より大きな変化や成長へとつなげていきたいです」と力強く語りました。
藤原選手の走りを見て、「選手たちが自ら昨年の失敗を本気で悔しいと感じ取り、意識が変わりつつある。ここが再出発だ」。奥谷監督は確信したそうです。
|選手の走りで前を向く。
「勝利への戦略」は多くの選手を成長させました。
その筆頭は、昨シーズンはケガで1レースにも出られず、「東日本予選で負けたことに責任も感じている」と話していた清水歓太選手です。地元・群馬のニューイヤー駅伝で、奥谷監督と共に走路員として立つことしかできなかった2021年の年明けを、心の底から悔しがっていた一人です。今年9月の全日本実業団の5000メートルで、13分22秒25の日本歴代14位という驚異の記録で走り抜けました。
清水選手の激走は、奥谷監督にチームの成長を実感させた
清水選手の異次元の走りを見届けた時、奥谷監督はこの1年のチームの努力が報われたことを実感し、スタンドでそっと涙をぬぐいました。
それぞれの持ち味や課題を意識して日々の練習に挑む姿や、長年「ロードに強い」と言われてきた選手がトラックでも別人のように変貌を遂げた姿。選手たちの今年の姿と、昨年の状況を重ね合わせて、奥谷監督はこう言います。 「昨年の敗戦は本当に、本当につらかった。ただ、チームにとっては必要な痛みだったとも思います。私に前を向かせてくれる原動力は、いつでも選手たちの走りなのです」
|駅伝で真価が問われるチーム
敗戦をきっかけに選手たちは自ら課題を見つけ、アスリートとして成長しました。とはいえ「本当に昨年の敗戦をばねにできるかどうかは、まさにこれからのロードシーズンでどんな結果が出せるかにかかっています」と奥谷監督は気を引き締めます。これは、駅伝でその真価が問われるチームだと強く意識しているからこその言葉でもあります。
2021年の初春は地元で走路員をして、陸上大会を支える人たちへの感謝を一層強くした奥谷監督と選手たち。それと同時に「本来は走ることで大会を盛り上げるのが、私たちの使命」だという思いを新たにしました。
11月3日に向けて気合いを入れるSUBARUの選手たち
万感の思いを胸に、SUBARUの選手たちが走ります!ニューイヤー駅伝の出場権をかけた第62回東日本実業団駅伝は11月3日(水)、埼玉県熊谷市の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で行われます。皆さまのご声援を、よろしくお願いいたします!
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