2006年6月28日

富士重工業 リチウムイオンキャパシタに関する技術を昭栄エレクトロニクスに供与

富士重工業は、このたび、リチウムイオンキャパシタに関する一連の特許の実施権を許諾する契約を昭栄エレクトロニクスと締結した。本技術に関する特許実施権の許諾は2社目となる。

*昭栄エレクトロニクス株式会社(長野県上田市住吉587-3 代表:阿部睦司)

今回の契約は、日本国内外において富士重工業が供与する技術を用いて、リチウムイオンキャパシタの研究や開発、試作、製造、使用、販売などの非独占的な権利を得られるというもの。契約期間は10年で、昭栄エレクトロニクスは100ファラッド**級の高エネルギー密度セルのサンプル供給を開始する。

**コンデンサなどにおいて、どのくらい電荷が蓄えられるかを表す静電容量の単位。ある物体に 1ボルトの電圧を与えたとき、1クーロンの電荷(1秒間に1アンペアの電流によって運ばれる電荷)を蓄えたならば、その物体の静電容量は 1 ファラッドと定義される。

富士重工業が開発したリチウムイオンキャパシタは、従来のキャパシタの特長である大容量の電気を瞬間的に充放電できることや耐久性の高いことを生かしながら、あらかじめ負極にたくさんのリチウムイオンを吸蔵させる“プレドーピング”とよぶ独自技術によりエネルギー密度を飛躍的に増大させた大容量キャパシタ。昨今大容量化のために電気二重層キャパシタにおいて開発の進んでいる新材料を使用した正極とリチウムイオンキャパシタの技術を組み合わせると、さらに大きなエネルギー密度を得ることが可能となり、応用範囲は飛躍的に拡大する。

昭栄エレクトロニクスは、ポリアセンを電極に用いた「PASキャパシタ」およびリチウムイオンを用いた「PAS-Lキャパシタ」の製造、販売を行っており、携帯電話などのコイン型メモリーバックアップ分野で世界的に大きなシェアをもつ。
今回の富士重工業からの技術供与により、ポリアセン電極との組み合わせで、中型(数十ファラッド)から大型(数千ファラッド)のリチウムイオンキャパシタの製造が可能となる。
昭栄エレクトロニクスは、当面、小型・中型の円筒型リチウムイオンキャパシタに特化しユーザー層を開拓するとともに、将来、ハイブリッド車への搭載や自動車用鉛電池の代替なども可能な大型積層型の開発にも取り組んでいく。