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開発秘話

episode03 人間の目と脳に、どれだけ近づけるか。

20年分の想いと努力が、実を結んだ。

アイサイトが初めて世に出たのは2008年のことでした。当時の新型「レガシィ」に搭載されての上市。それはSUBARUのエンジニアたちが、20年も試行錯誤を重ねた末に完成したものでした。SUBARUは1989年から“交通事故ゼロの社会”を目標に掲げていたのです。「多くの先輩たちが繋いできた想いがある。必ず成功させなければと思いました。」プロジェクトを長年リードしてきた柴田は、開発に携わった当初をそう振り返ります。2つのCCDカメラの映像を三角測量的に画像処理することでクルマを制御し、運転を支援するステレオカメラ。その技術開発が最初の一歩でした。「当時はまだ衝突回避・軽減システム自体が黎明期。ドライバーが情報を得る“人の目”に最も近いステレオカメラの技術に世界中が注目していましたが、開発に成功したメーカーはゼロ。より確実なミリ波レーダー方式への移行が主流になる中、SUBARUだけは諦めずに開発を続けていたのです。」柴田たち開発チームは、1999年に世界で初めて、ステレオカメラによる運転支援システムを備えた市販車として「レガシィランカスターADA」を発売。そして続く2003年に発売された「レガシィ」には、ステレオカメラとミリ波レーダーを両方採用したシステムを搭載し、より高い安全性と操作性を実現させました。

最後にヒントをくれたのは、人間の感覚。

しかし柴田たちは痛恨の想いに駆られます。確かに性能がよくなったものの、その分価格が高くなってしまったからです。どんなに優れた自動運転システムでも、ユーザーに買ってもらえなければ意味がない。この認識が柴田の開発方針を転換させました。「機能と価格のバランスを重視して、ステレオカメラ一本で行こうと決めました。とはいえ当時は、雨の日の夜などに、カメラの情報だけでクルマや人物を識別するのは不可能に近い状態。非常に苦労しました。」なぜ人間の感覚では分かるのにカメラには分からないのか?そう悩む柴田に、やがて光が射してきます。「人間は、対象物をいつも細部まで見ているわけではない。曖昧に見えるものでも、部分的な特徴を捉えて、それが何であるかを識別するのだと気づいたのです。そこで、カメラでも同じように対象物の特徴的な部分を捉えて識別し、その動きを追跡することで状況確認する手法を開発しました。さらに、カメラが得た様々な情報から注目すべき対象は何かを選択するソフトウエアの開発にも力を入れ、プロトタイプ車をつくってあらゆる道を走りました。地道な確認作業を行うことでデータを積み上げていく日々。沖縄以外の全ての県を走りまわりましたね。」

“クルマのある人生の愉しさ”を。

アイサイトは、こうした長く険しい道程を経てようやく2008年にデビューしたのです。低価格化を実現し、販売台数も飛躍的に増加しました。「お客様から『運転が楽しくなった。』『機械が介入している感じがしない。』という声をいただけたのが嬉しかった。」と柴田は想起します。アイサイトは、その後も改良を重ねて不断の性能向上と低価格化を実現。そしてさらに2017年、新次元の進化を遂げます。高速道路での0km/hから約120km/hの幅広い車速域で、アクセル/ブレーキ/ステアリング制御を自動でアシストする「ツーリングアシスト」機能を追加したのです。最初の搭載車種は2017年新型モデルの「レヴォーグ」と「WRX S4」。渋滞から高速巡行までの様々なシーンにおいて、運転の主要操作を“人の感覚”に近い自然な制御感で自動アシストし、ドライバーの疲れやストレスを大幅に軽減します。移動をラクにすることで、遠い目的地でも積極的に出掛けたい気持ちになっていただきたい。SUBARUのそんな想いが込められているアイサイト・ツーリングアシスト。それは“クルマのある人生の愉しさ”を深めるための新機能であり、SUBARUの1989年以来の目標である“交通事故ゼロの社会”に向けた確かな一歩でもあるはずです。

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