「トレイルシーカー」開発ストーリーVol.1
SUBARU初となる
グローバルBEVの自社生産を開始
開発責任者が語る、トレイルシーカーの魅力
記事内の日付や部署名は、取材当時の情報に基づいた記述としています
仕事は違っても、「笑顔をつくる」という想いでつながる「SUBARUびと」。 様々な部署で働く「SUBARUびと」を、仕事内容や職場の雰囲気を交えてご紹介します。
今回は、2026年4月9日に発表・受注開始予定のSUBARUのBEV(Battery Electric Vehicle:電気自動車)ラインアップ第2弾「トレイルシーカー」について、開発責任者の井上正彦さんに、BEVにかける想いとトレイルシーカーの特徴を聞きました。
※掲載写真はすべてプロトタイプであり、実際の仕様とは異なる場合があります。
目次
アライアンスで実現する、
BEV 4車系ラインアップ
- 井上:
- 現在、SUBARUはトヨタ自動車とのアライアンスBEVラインアップとして、「ソルテラ」、「トレイルシーカー」、「アンチャーテッド」を展開し、第4弾モデルの開発も進めています。アライアンスを活用することで、投資を抑えながらこれだけのラインアップを揃えられていることは、SUBARUの大きな強みです。性能や価格の面でも、お客様に自信を持っておすすめできます。
- 私がトレイルシーカーの開発責任者に任命されたのはSUBARU BRZの開発が終わった直後でした。BEVに乗ってみると、加速の良さ、静かさ、運転のしやすさに驚き、BEVの大きな可能性を強く感じました。
- よく「水平対向エンジンがなくなると、SUBARUらしさはどうなるの?」と質問をいただきます。
- BEVは、大きくて重いバッテリーを車体の床下に配置するため、クルマ全体の重心が大幅に低くなります。一方、ガソリン車は重量物であるエンジンやトランスミッションが車体の前方かつ上部に搭載されており、そもそも重心の位置がBEVとは異なります。水平対向エンジンはもともと重心が低いことが特徴ですが、それでもバッテリーを床下に置けるBEVのほうが、より低重心化を図れます。このレイアウトの違いによって、BEVは走行時の安定感を一段と高めることができます。さらにAWD(All-Wheel Drive:全輪駆動)についても、モーターにより前後のトルクをより緻密に制御できるため、様々な路面で、より自在なコントロールが可能です。
- つまり、これまで以上にSUBARUらしさを磨き上げ、あらゆる環境下でも、誰もが意のままに操れる走りをBEVでも実現できるということです。
- また、充電について不安を感じる方も多いと思いますが、急速充電器を使えば約30分で10%から80%(急速充電の満充電量)まで素早くチャージすることができます。さらに、自宅に充電器を設置すれば、夜間に充電して翌朝には満充電。ガソリンを入れに行く手間もなく、毎日の使い勝手がぐっと楽になります。
- そして、給電できるのもBEVの魅力です。荷室には1500Wの電源を備えているので、出先でお湯を沸かしてあたたかいお茶を飲んで一息つくこともできますし、災害による停電時にも電気が使えるのは心強いですよね。
- BEVにはこうしたメリットがたくさんあるので、この新しい愉しさをぜひお客様にも体験いただきたいと思っています。
日常、非日常でも使える
SUBARUらしいBEV
- 井上:
- トレイルシーカーは「日常でも非日常でも使えるSUBARUらしいBEV」をコンセプトに開発しました。まさにSUBARUが長年培ってきたワゴンスタイルを継承し、普段の生活でもアウトドアでも使いやすい、オールラウンドなBEVです。デザインはアウトバックを受け継ぎ、欧州では「E-OUTBACK」として発売予定です。
- 私は、初めてトレイルシーカーの試作車に乗ったとき、地面に吸いつくような安定感に驚き、「これはすごい!」と感じました。走行性能では、モーター制御により、4つのタイヤが地面をしっかり掴んでいるという感覚をドライバーに与えるので、操作に対してクルマが素直に応えてくれる、気持ちの良い走りを実現しています。こうした制御技術は、今後も進化させていきます。
- 加えて、バッテリープレコンディショニングという、電池内の温度調整機能も搭載しています。電池は冷えると充電しにくくなるため、専用の調整機能で温度を調整し、寒冷地での充電時間も短縮。実用性をさらに高めています。
お客様にSUBARUのBEVが
持つ魅力を伝えるために
- 井上:
- 2月に矢島工場でトレイルシーカーの生産を開始しました*1。SUBARUとトヨタがそれぞれ調達する部品を組み合わせて車両をつくるのは今回が初めてであり、両社の生産システムが全く異なることから、生産開始までには多くの課題がありました。車両の発注一つとっても、なぜ今の仕組みになっているのかを紐解き、両社の構造を理解した上で、新たな発注スキームを構築していきました。
- 2026年2月4日「SUBARU 群馬製作所 矢島工場にてバッテリーEVをラインオフ」
https://www.subaru.co.jp/news/2026_02_04_173046/
- 携わったメンバーは本当に苦労したと思いますが、これからSUBARUがBEVを自社開発していくにあたって、とても良い経験になったはずです。様々な課題を乗り越え、開発責任者として自信を持ってお客様におすすめできる、SUBARUらしいBEVに仕上がりました。
- また、国内ディーラーのセールス向けの研修にも力を入れ、私自身が全国を回りながら、トレイルシーカーの特長を説明し、お客様一人ひとりに寄り添った提案ができるようサポートしてきました。ぜひディーラーに足を運んでいただき、実際に試乗いただけたらうれしいですね。
- これからも、将来のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、SUBARUらしさが際立つクルマを開発していきたいと思っています。
SUBARUらしさをBEVで追及する「SUBARUびと」。ぜひ、次回のコラムもご期待ください。
井上 正彦(いのうえ まさひこ)さん
1990年に入社。入社後はエアバッグECU(Electronic Control Unit:車両の機能を制御する電子制御装置)の設計に従事し、SUBARU初のエアバッグシステムの量産化を担当。その後、米国駐在を経て、インプレッサ・SUBARU XV・SUBARU BRZ/GR86の開発責任者を歴任。2022年から現在に至るまで、ソルテラやトレイルシーカーなどのアライアンス開発BEVの開発責任者を務める。趣味はテニス、スキー、ガーデニング。