監督と新キャプテンが語る、ニューイヤー駅伝への挑戦
監督と新キャプテンが語る、ニューイヤー駅伝への挑戦
記事内の日付や部署名は、取材当時の情報に基づいた記述としています
仕事は違っても、「笑顔をつくる」という想いでつながる「SUBARUびと」。今回は、SUBARU陸上競技部監督の奥谷亘さんと、2025年4月にキャプテンに就任した並木寧音さんに、新体制で挑む全日本実業団対抗駅伝競走大会(以下、ニューイヤー駅伝)への想いを聞きました。
目次
「自主性を重んじる風土」を
改めて浸透させた1年
奥谷 亘(おくたに わたる)さんSUBARU陸上競技部 監督
2000年に中途入社。選手時代は世界選手権にも多数出場し、2009年に現役引退。同年から2年間コーチに従事し、2011年に監督に就任。
- 奥谷:
- 今年は、選手もスタッフも新しい人たちが多く加わりました。陣容を強化できた一方で、苦労も多い1年でした。SUBARU陸上競技部の良さである自主性を重んじる風土は、裏を返せば簡単に緩みにつながる可能性もあります。新しいメンバーには、2020年のニューイヤー駅伝予選落ちの苦い経験から、選手たちが自ら目標を決め、どのように達成していくかも考えるチーム方針にたどり着いた経緯を理解してもらう必要があり、時間をかけて慎重に伝えていきました。
- 選手はもちろんですが、チーム運営という観点では、コーチをはじめとしたスタッフがきちんとこの風土を守っていかなければいけません。改めてスタッフの意識付けもかなり力を入れました。おかげでチーム全員が自分の役割を理解して、チームの良い雰囲気を崩すことなく緊張感を保てるようになったと思います。
選手自身がチームの魂を
継承してくれることが頼もしい
- 奥谷:
- キャプテンの交代については、前キャプテンの梶谷選手と同期の清水選手が、次の世代にしっかり継承してくれています。2人とも2020年のニューイヤー駅伝予選落ち経験者ですが、事前に作成された引き継ぎファイルを見せてくれたときは感動しましたね。「ああ、彼らはちゃんとわかってくれている」と頼もしく思いました。そうしたサポートを受けて、新キャプテンの並木選手も、いろいろ考えながら少しずつ成長していると思います。
- 今年度のチームスローガンは「気魄(きはく)~個々の力をひとつに変えて~」ですが、実は「先手必勝」というのももう一つの候補でした。駅伝は、終盤の勝負ドコロで目指すゴールを狙える順位に残っていることが大事なポイントです。それを実現できるオーダーを組む必要があるし、一つでも切り札を取っておけるような余裕もほしい。そもそも戦力を充実させないと色々なオプションが生まれないので、選手たちは全力で準備しています。
ニューイヤー駅伝の目標は
優勝を視野に入れた3位以内
- 奥谷:
- チーム全体で決めたニューイヤー駅伝の目標は、表彰台である3位以内。これは同じ目標を立てて叶わなかった前回大会からの宿題です。当時の戦力で最大限頑張ったのは事実ですが、やはり相手が強かった。上位3チームの一角を崩すということは、優勝争いをするということ、つまり優勝できるぐらいの戦力で挑まないと、3位以内には入れないということです。それは本当にレベルの高い目標なので、しっかり準備をする必要があります。
- 今、選手たちの士気は上がっています。私たちの使命は、応援してくれる皆さんに元気や勇気を与える走りをお見せすることなので、ぜひ期待していただければと思います。
「チームを引っ張る存在」
としてのキャプテンに
並木 寧音(なみき ねお)さんSUBARU陸上競技部 キャプテン
2024年に入社。社会人1年目から数々の好成績を収め、ニューイヤー駅伝2025で最終区間を託されると、ゴール前の直線で驚異のラストスパート。区間4位の走りでライバルを振り切り、チームの総合5位入賞に貢献した。2025年には、2年目ながら新キャプテンに就任。若手中心となったチームをけん引し、ニューイヤー駅伝での表彰台である3位以内を目指す。
- 並木:
- 「ニューイヤー駅伝2025」後の合宿で、4年間チームを率いた梶谷さんからキャプテンを次世代に託したいという話があり、若手選手で集まって誰が引き継ぐかを話し合いました。そこで、「いずれチームを引っ張る存在になる並木が良いのではないか」と先輩方に推薦してもらったのです。自分では少し早い気もしましたが、若手から始めた方が早くからチーム目線で考えられると思い、引き受けました。
- 学生時代を含めキャプテンになるのは初めてで、チームをまとめる、年度方針やスローガンを決める、など想像以上に大変でした。ただ、ニューイヤー駅伝予選落ち翌年にキャプテンに就任し、ゼロからチームを立て直した梶谷さんはじめ、先輩たちを頼りながら、なんとかカタチになってきたかと思います。まだまだ未熟ですが、だんだんと自分なりの色も出していけたらと思います。
選手それぞれの良さを
最大限に活かせるチームに
- 並木:
- このチームは、十人十色というか、選手一人ひとりの性格や考え方が違い、それぞれの良さがあります。それを活かせるようなチームづくりをしていきたいと思っています。 SUBARU陸上競技部の強みは選手一人ひとりが異なる個性を持ち、各々が個人種目で記録更新を目指しながらも、駅伝になれば一気に団結できることです。世界で戦っている三浦さんもチームと一緒に頑張りたいと言ってくれていますし、チーム一同、ニューイヤー駅伝は特別という想いが強いです。
- お互いにリスペクトし合い、「今日の練習良かったね」「あれはどういう目的でやっていたの?」とプラス思考のコミュニケーションも活発で、褒めながら高め合っている感じです。SUBARU陸上部の真の実力はまだまだこんなものではないと思うので、もっとみんなの良さを引き出したいですね。
ニューイヤー駅伝に向けて
チームの雰囲気は最高潮
- 並木:
- 私自身は今年ケガをしてしまい、たくさん出たいレースがあったのですが、出場が叶いませんでした。9月ぐらいから本格的に練習を再開して、今のところ順調にきているので、何とかニューイヤー駅伝には間に合わせたいと思っています。
- チームの目標は3位以内ですが、もちろん優勝も狙っていく気持ちでいます。先輩たちは先輩たちで、「まだまだ若手に席を譲るつもりはない」と言っていますし、僕ら若手選手も必死に食らいつこうとしているので、チームの雰囲気は日々高まっていると肌で感じています。当日は、これまで積み上げてきたものを発揮して、皆さんに良い走りをお見せできるよう、チーム一丸となって頑張ります。
進化し続けるチームでニューイヤー駅伝に挑む「SUBARUびと」。ぜひ、次回のコラムもご期待ください。