魔改造の夜 特設サイト 挑戦の先に、SUBARUが輝く

そこにあるのは、正解のない”自由な挑戦”。
試行錯誤の中で、
エンジニアの本能が目を覚ます。

本ページは番組内容のネタバレを含みます

SUBARUのエンジニアが結集して挑んだ、魔改造の夜。

「そんなことできるのか?」
挑戦の幕開けは、戸惑いの連続だった。
舞台は、NHK総合の技術開発エンターテインメント番組『魔改造の夜』。誰もが知る日用品を、常識を超えたモンスターマシンへと進化させる、技術と発想の真剣勝負だ。
SUBARUからは、クルマと航空機の垣根を超え、あらゆる領域からモノづくりの最前線で活躍するエンジニアたちが結集。“安全”という絶対条件のもとで磨き上げてきた技術を、自由な発想で解き放ち、“正解のない、未知のモノづくり”に挑戦する。
脈々と受け継がれてきたSUBARUらしさが、顔を出す。挑戦と失敗を繰り返したその先に、SUBARUのモノづくりの本質がある。

スリッパ跳ばし、CTOメッセージ、チームリーダートークを公開しました
CTOメッセージ 常に挑戦者であれ。失敗から学び、ワクワクする未来をつくる。藤貫雅浩 取締役専務執行役員CTO(最高技術責任者)

所属部署名は、『魔改造の夜』夜会当日時点の情報に基づいて記載しています

SUBARUが『魔改造の夜』に挑んだ理由

SUBARUがNHK『魔改造の夜』への出演を決めたのは、エンジニアたちに未知の領域に挑戦してほしかったからです。 

私たちのモノづくりは、長い歴史のなかで緻密さや合理性を徹底して磨き上げてきました。様々な工夫により、手順通りに進めることで、品質を担保したモノづくりができる仕組みが整っています。この仕組みは、非常に大事なことです。しかし、その一方で、新しい発想や挑戦を生み出しにくくなってしまう側面もあります。 

現代ほどの解析技術がなかった時代、私たちは「良いモノをつくりたい」という一心で、試行錯誤を繰り返しながらクルマづくりをしていました。SUBARUのエンジニアたちが当たり前のようにやっていた「失敗から学び、挑戦を繰り返す姿勢」は、今も私たちの中に息づいているものの、日々の業務の中で意識する機会が少なくなっていたのかもしれない――。 

『魔改造の夜』への挑戦は、その原点を改めて見つめ直し、今の時代にふさわしい形で進化させていくための絶好の機会だと考えました。 

魔改造で見えたエンジニアの可能性 

番組に参加したメンバーは、アイデアや情熱をぶつけ合いました。手順やマニュアルが存在しないからこそ、全員が自由に意見を出し合い、失敗も前向きに受け止めながら次の一手を探っていく。その姿は、モノづくり本来の愉しさを体現していたように思います。

失敗の数だけ学びがあり、議論を重ねるたびにチームは強くなっていきました。成果物そのものだけでなく、「仲間と一緒に挑戦した」という経験が何よりの財産です。私はその様子を見守りながら、「この雰囲気を会社全体に広げることができれば、SUBARUはもっと強くなる」と感じました。

SUBARUが目指す未来

SUBARUは、常に挑戦者でありたいと考えています。「やってみよう」と変化を起こし、新しいことにも果敢に挑戦することで、より良いモノを生み出すことができる。そのためにも、「なぜこの手順なのか?」を問い直し、自ら考え、試してみる。たとえ失敗しても、その経験を次につなげられる文化を大切にしたいと考えています。

自動車業界は今、大きな転換点を迎えています。だからこそ、社員一人ひとりが挑戦する姿勢を持ち続けることが重要です。『魔改造の夜』への挑戦は1度きりのイベントではなく、SUBARUがこれからも追い求めていくモノづくりを象徴するものです。失敗を恐れずに未知の領域へ挑むことこそが、技術革新の原動力です。 

挑戦と失敗の積み重ねが、新しいモノやコトを生み出し、お客様にワクワクを届ける力になる。そしてその先には、「笑顔をつくる会社」というSUBARUのありたい姿を実現できると信じています。 

SUBARUは、そんな挑戦を続ける社員を全力で応援する会社です。 

CTOと若手エンジニアが語る!SUBARUが『魔改造の夜』に挑んだ理由と未来への想い 記事を読む
リーダーが語る、チームメンバーとSUBARUへの想い。ブランコを走らせる。スリッパを跳ばす。クルマと航空のSUBARUとして絶対に負けられない。

所属部署名は、『魔改造の夜』夜会当日時点の情報に基づいて記載しています

走らせるのはクルマではなく「ブランコ」、跳ばすのは航空機ではなく「スリッパ」。まるで冗談かのような奇題・難題に、2つのチームはどう挑んだのか?ブランコチームを率いた中路リーダーと、スリッパチームをまとめた阿部リーダー。同期入社のリーダー2人が振り返る、未知なるチャレンジへの道程とSUBARUの矜持。

若い世代を中心に幅広い領域の人財を招聘 
1日3時間、1カ月半で魔改造に挑む

──『魔改造の夜』への出演決定から生贄発表。どのようにメンバー選びを行いましたか?

中路

生贄(お題)の発表前にメンバーを選ぶ必要があったため、とりあえず2チームに分けることを前提に、阿部さんと2人で進めていきました。私はハードウェアやモノを作る領域、阿部さんは制御などのソフトウェア領域の人たちとの繋がりが強かったことから、それぞれの領域から満遍なく、どんな生贄でも対応できるように意識して、メンバーを選びました。

阿部

今回のメンバーに限った話ではなく、SUBARUには若い世代で柔軟な発想と行動力を持ち、社内をリードする際立った存在の人がたくさんいます。そういった人たちに光を当てたいという想いから、若手を中心に選出し、一部、玄人肌な30代や40代にも声をかけていきました。メンバー集めと同時に、中路さんが社内で根回しも進めてくれていましたね。

中路

SUBARUとして参戦するからには、メンバーには良い環境で臨んでもらいたかったため、メンバー所属各部の部長をはじめとした関係各所に、事前交渉しました。「なんでそんなことやるの?」と言われるかと思ったのですが、意外にも「頑張ってくれ!」と盛り上がってくれてうれしかったですね。メンバーは、1日3時間を改造業務に充てるということを決め、プロジェクトに備えました。

阿部

生贄発表の当日は、メンバー全員で会場に行きました。やけに大きい何かと、すごく小さい何かが隠れていて、発表された生贄は、ブランコとスリッパ。さらに、競技内容が、ブランコは“走らせる”ということで、まさにクルマ、スリッパは“跳ばす”ということで、航空機。これはSUBARUとして絶対に負けられない2つが来たぞ、と唸りました。中路さんチームは巨大なブランコを、私たちのチームは小さなスリッパを持ち帰り、1カ月半の魔改造が始まりました。 

まだ一度も走れていないブランコを前に
「勝ちます!」と宣言した

──170キログラム級の重量モンスターを、どのように走らせたのでしょうか? 

中路

本来ブランコは、揺れても大丈夫なように、そもそも地面に固定されていて、かつ重いわけです。それをどのように魔改造したら25メートル走らせることができるのか?と、魔改造開始後の数日間は、チーム全員でとにかく案出しを行いました。そこで、「とにかくやってみよう」「形にしよう」となったのですが、モノが大きいため、試作機を作るだけでも時間がかかってしまいます。そのため、「小さいモデルで原理検証してみたらどうだろうか」というアイデアが出ました。すぐに図面を作成し、魔改造開始3日目には4分の1モデルが何体も出来上がりました。魔改造の期間は1カ月半しかないため、スピード感をもってスタートしました。

私は勝ちにこだわりたかったため、生贄発表日に「3秒で25メートルを走る」という目標を掲げました。人間の速さに負けたくない、電気自動車レベルの速さで走りたいという考えからです。ただ、それを実現できそうな案がなかなか出てこなくて、時間が過ぎていく一方でした。その頃は、方向性を巡って真剣な話し合いが続きましたね。 

ターニングポイントになったのは、「これだ!」と思っていた機構での失敗でした。成功すると踏んで1分の1モデルを作り、モーターを搭載して試すと、パワーが足りなくて全然動かなかったのです。やはり、ブランコの重さがネックでした。 

その状況を打破したのが、かつて富士重工業(現 SUBARU)が製造していた産業機械用のロビンエンジンです。メンバーの1人が、中古のロビンエンジンを入手してきてくれていましたが、制御の難しさ等の理由でエンジンを搭載することは難しいと感じていたため、1週間くらい放置していました。そのエンジンに、白羽の矢を立てたのです。しかし、実際にはエンジンを積んでも全然うまくいかず、本体が折れたり、ねじれたり、チェーンが切れたりして、試行錯誤は続きました。 

実は、番組スタッフが中間視察に来た際に、「絶対にエンジンを乗せて3秒で完走します!」と宣言したものの、実際には、その時点では1度も走れていない状況でした。それでも、目標達成には強い想いを持ち続けていたことから、宣言しました。しかし、夜会まであと6日と迫った月曜日になっても走れていません。あの月曜日の夜が、一番きつかったです。メンバーの前では笑いながらも、絶望的な気持ちでした。それでも、チーム全員が「最後まで絶対に諦めない」という強い気持ちを、持ち続けていました。 

その翌日、メンバーたちのアイデアによって、2度の技術的な発想の転換がもたらされました。最初のアイデアを実践することで、ついにエンジンを載せたブランコを25メートル走らせることに成功し、2つ目のアイデアによって、さらにタイムを縮めることができました。特にブランコが初めて走った瞬間は、思わず泣きましたね。

技術的な発想の転換の詳細は、ブランコ開発秘話へ

そこからは怒涛の日々で、納品までの残された2日半、全員で知恵を出し合い、1日に何度も構造を細かく変えて、ギリギリまで速さにもこだわり、「夜会」本番へと臨みました。 

目指したのは、SUBARUらしい「人を中心としたモノづくり」
誰が蹴っても、遠くへ跳ぶスリッパ

──わずか60グラムのスリッパに、どのように動力を与えたのでしょうか? 

阿部

スリッパはブランコとは対照的で、とても小さいです。しかし、ブランコと同様、重さに苦戦しました。提示された魔改造の条件の1つに、「60グラムに収める」ことがありました。ただ、もともとのスリッパが60グラムであるため、何かを加えるとすぐに重量オーバーしてしまいます。そこで、まずはスリッパ本体の軽量化に取り組みました。そのうえで、動力源を付け、60グラムに収め、いかに遠くに跳ばせるかを探っていくというチャレンジでした。

ブランコチーム同様、私たちのチームも全員でひとしきりアイデアを出し、試行錯誤していきました。スリッパが跳んだ時の空気の流れを調べるため、コンピューター上でシミュレーションを行うCFD解析や、実際にスリッパに風を当てて実験できる風洞装置も活用し、使えるものは何でも試して進めました。また、日頃から航空機開発に携わる航空宇宙カンパニーのメンバーもいたからこそ、自動車開発の技術だけではなく、航空機開発のノウハウも生かすことができました。

スリッパチームは、様々な方法を吟味して試しながら、ギリギリまで複数の可能性を探っていました。ガスロケットを噴射させる「射出案」と、制御で羽を羽ばたかせる「羽ばたき案」を、最後まで検討していました。しかし、技術以外の理由から、羽ばたき案を断念することになったのです。「羽ばたき案はここでやめよう」と、それまで頑張ってきたメンバーたちに伝えた時が、魔改造期間を通じて一番辛い瞬間でした。メンバーに羽ばたき案断念を伝えた後、すぐにブランコチームのリーダーであり、同期でもある中路さんのところに走って行きましたね。中路さんに、リーダーとして羽ばたき案を断念した悔しさや、これまで頑張ってくれたメンバーに申し訳ない気持ちでいっぱいであることを打ち明けたところ、「大丈夫、大丈夫」と声をかけてくれました。この瞬間、張りつめていた感情が一気に溢れ出たことを覚えています。また、羽ばたき案を担当していたメンバーも、すぐに気持ちを切り替えて、射出案に加わってくれました。そんなチームの皆がいたおかげで、私もすぐに前を向けましたし、そこからはチーム一丸となって本番まで駆け抜けました。

苦渋の決断の裏にあったチームメンバーの熱い想いは、スリッパ開発秘話へ

そして、夜会当日。実は、本番仕様で一回も記録を取れていない中での、ぶっつけ本番でした。蹴るのは、私。メンバーがそれぞれの要素の開発をして1つのスリッパにしてくれた、チームの皆を信じるだけでした。 

私たちSUBARUのクルマづくりの出発点は、人を中心に考えることです。この開発思想のもと、一貫して、「誰が使っても、誰が蹴っても、すごく遠くに跳ぶ」スリッパを目指そう、という共通の想いを掲げていました。その想いを実現するため、普通に履いて歩くことができて、普通に蹴り出せば、自然と遠くへ跳ぶような構造・重量配分にしました。そのうえで、搭載したガスロケットが作動すると、さらに遠くへ跳びます。スリッパを履く人、蹴る人のことをとことん考え抜くところがSUBARUらしさ。SUBARUらしさを突き詰めた結果、「負けない機構」が作れたのです。

僕らが特殊なわけではない
SUBARUって、全員がこういう力を持っている

──『魔改造の夜』への挑戦を通じて、どのような学びや気づきがありましたか? 

中路

『魔改造の夜』を通して、こんなにパワーを発揮できるメンバーがたくさんいるSUBARUの未来は明るいと思いました。一方で、普段は遠慮しているとも感じました。この勢い、パワー、想い、熱さで、「良いモノ作ろうぜ!」という共通の想いのもとモノづくりをすることができれば、どこにも負けないクルマ・航空機になりますよね。

阿部

私も同感です。全員でコミュニケーションをとりながら、「やるぞ」と決めたら、できる。SUBARUという会社の底力を感じましたし、そういったメンバーたちが今後のSUBARUをさらに魅力的な会社に変えてくれるということを確信しました。

中路

SUBARUは、モノづくりに対するこだわりがすごいと、改めて感じます。「とにかく良いモノをつくるために、誰もが真剣にこだわる」、それがSUBARUらしさです。できると信じて、やると決めて、諦めずに最後まで突き進めば、その想いがお客様にも届き、その先にSUBARUはもっと輝けるはずです。それを実現するためのヒントも種も答えも、会社の中にあると思いました。今回の『魔改造の夜』は、SUBARUの特殊な人間が集まって特殊なことをやったわけではなく、普通の職場にいる仲間たちが集まってやったことです。「SUBARUって、皆がこういう力を持っているんだぜ!」ということは、声を大にして言いたいですね。

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