news.gif

平成10年3月2日
使用済み自動車リサイクルイニシアティブ
富士重工業 自動車のリサイクルについて自主行動計画を策定

   富士重工業(田中 毅社長)は、このほど、使用済み自動車の適正処理とリサイクル促進のための同社の取り組みをまとめた自主行動計画を策定した。

   今回策定した自主行動計画は、同社のこれまでの環境保全への努力・取り組みの内、使用済み自動車のリサイクルについて、更なる強化を図るべく策定されたものである。そして、昨年5月に通産省が策定した「使用済み自動車リサイクル・イニシアティブ」ならびに今年2月に社団法人日本自動車工業会が策定した「使用済み自動車リサイクル・イニシアティブ 自主行動計画」(以下、自工会自主行動計画)を受けた形となっている。

   富士重工業では、これまでも1993年3月に「地球環境保全に関する取り組み計画」、1996年4月には「地球環境に関する2000年計画」を策定し、リサイクルに限らず、環境保全への努力を最重要課題の一つとして活動を進めてきている。

  今回の自主行動計画の主な内容は、下記の通りとなっている。

1. 数値目標
(1) 新型車のリサイクル可能率
2000年以降、リサイクル可能率90%以上
(自工会自主行動計画の目標年次の2年前倒し)
(2) 新型車の鉛使用量(バッテリーを除く)
2000年末までに1996年の概ね2分の1以下
2005年末までに1996年の概ね3分の1以下
2. 取組計画
(1) 新型車のリサイクル性向上と鉛使用量削減等使用済み自動車の環境負荷軽減への対応
1. 新型車におけるリサイクル可能率の目標達成と樹脂材料統合の推進を図る。
2. 新型車における鉛使用量の目標の早期達成を図る。
3. エアバッグの車上作動処理の容易性を向上する。
(2) 既販車および継続生産車への対応
1. リサイクル、分解方法そしてシュレッダーダスト処理についての技術開発と情報提供を推進する。
2. 使用済みバンパーの回収地域拡大ならびに独自技術を用いたバンパーからバンパーへのリサイクルの積極展開などを含めたリサイクル品の用途拡大に努める。
(3) 関係事業者全体で取り組む事項への協力


使用済み自動車リサイクルイニシアティブ 自主行動計画

[I. 背景、及び自主行動計画策定の考え方]
 富士重工業では「私たちは常に人・社会・環境の調和を目指し、豊かな社会づくりに貢献します」の企業理念のもとで、人と地球にやさしい商品づくりに取り組み、1993年3月に「地球環境保全に関する取り組み計画」、1996年4月に「地球環境に関する2000年計画」を策定し、リサイクル等、環境保全への努力を最重要課題の一つとして活動を進めてきました。
 今回、1997年5月に通産省から「使用済み自動車リサイクルイニシアティブ」(以下、リサイクルイニシアティブ)、1998年2月に自工会から「使用済み自動車リサイクルイニシアティブ自主行動計画」(以下、自工会自主行動計画)が発行されたのを受け、富士重工業としてもリサイクルに関する取り組みを一層促進することが必要と考え、この行動計画を策定しました。特に自動車製造事業者として、新型車のリサイクル性向上や使用済み自動車の環境負荷低減、リサイクル品の用途拡大等に自ら積極的・優先的に取り組み、実施していきます。また、使用済み自動車の適正処理とリサイクル促進のための技術開発・情報提供についても、関係者全体で取り組むべき事項として、自工会を通して協力・提言等を行っていきます。
[II. 数値目標]
「自工会自主行動計画」に掲げられた「製造事業者として達成が求められる数値目標」に対し、以下の目標で取り組みます。
(1)新型車のリサイクル可能率
   達成年次を2年早め、
●2000年以降: リサイクル可能率90%以上を目指します。
(2)新型車の鉛使用量(バッテリーを除く)
   ●2000年末までに:1996年の概ね2分の1以下
●2005年末までに:1996年の概ね3分の1以下の早期達成を目指します。
[III. 取組計画]
 
III―1 新型車のリサイクル性向上と鉛使用量削減等使用済み自動車の環境負荷低減への対応
(1)新型車のリサイクル性向上
   1. 富士重工業は、従来より樹脂部品の材質表示やPP製バンパの採用等、商品が使用済み段階でリサイクルし易いよう配慮した車造りに努めてまいりました。1994年7月からは、自工会から示された「リサイクル促進のための製品設計段階における事前評価のガイドライン」に基づく事前評価とその判断基準に従って、設計・製造段階におけるリサイクル性向上にも取り組んでまいりましたが、今後とも継続して新型車のより一層のリサイクル性向上に努めます。
   2. 自工会が策定した「新型車のリサイクル可能率の定義と算出方法のガイドライン」に基づき、モデルチェンジ等の機会を捉えて改善を行い、「2000年以降の新型車のリサイクル可能率90%以上」の目標達成を目指します。
   3. 分別の容易性と再利用時の用途拡大を目的に、樹脂材料の統合を推進します。現在取り組んでいるバンパー材料の統合、内装トリム材料の統合に加え、その他の内外装樹脂材料についても種類統合の拡大展開を図り、リサイクル性の向上に努めます。
(2)新型車の鉛の使用量削減
    使用済み自動車が最終処分される段階での有害性を低減するために、バッテリーケーブル端子やアンダーコートでは既に全車の脱鉛化を実現しています。また、その他の部品についても「自工会自主行動計画」で定めた「優先的に鉛削減を図る対象部品の具体的計画」に基づいた鉛含有部品の脱鉛化の技術開発を推進しており、数値目標「新型車の鉛使用量 2000年末までに1996年の概ね1/2以下、2005年末までに1996年の概ね1/3以下」の早期達成を図ります。
(3)エアバッグの車上作動処理容易性の向上
 使用済み自動車が最終処分される段階でのエアバッグ作動処理を容易にするため、以下の内容を推進します。
1. エアバッグのハーネス被覆およびハーネス保護カバーの色を黄色系に統一して、作動ハーネスの識別容易化を図っています。
2. また1999年以降の新型車からエアバッグを一括処理出来るシステムを採用し、作動処理をより一層容易にしていきます。
III―2 既販車及び継続生産車への対応
 使用済み自動車は解体業界、シュレッダー業界で、様々なメーカーの車と区別なく取り扱われます。富士重工業は、既販車が使用済み自動車となった際、それらの適正処理とリサイクルを促進させるための技術開発と情報提供の取り組みを自工会各社と協力して進めていきます。
(1)リサイクル率向上に資する技術開発と情報提供
 自工会が関連業界と共同・協力して取り組んでいる活動に参画し、技術開発と関係者に必要な情報提供を進めます。
1. リサイクル技術開発と情報提供
 リサイクル率の向上に役立てるための、プラスチック、ウレタン、ゴム、ガラス、ハーネス、木材、冷却液等のリサイクル技術開発の推進。
2. 分解方法等に関する技術開発と情報提供
 使用済み自動車分解時の有価部品の取り外しや有害物質の適正除去(工具・装置開発や分解方法改善)、埋立処分量の削減(シュレッダーダストの削減)に貢献する技術開発と、関係事業者等へのその成果・情報の提供。
3. シュレッダーダストの処理に関する技術開発と情報提供
 シュレッダーダストの減容・固化技術と乾留ガス化技術の研究開発及びその技術の有効性・事業採算性の検証、更にはその成果・情報のリサイクル関連業界等への提供。
(2)リサイクル品の用途拡大
 使用済み自動車や補修段階等で発生する部品や材料のリサイクルを促進するため、以下のリサイクル品の用途拡大に取り組みます。
1. 使用済み自動車や補修段階で取り外した部品を、可能なものから順次リサイクルし、自動車産業での再利用を図っていきます。補修時に交換された樹脂バンパーの回収については、既に1993年から開始、現在は関東全域から回収していますが、今後さらに回収地域の拡大に努めます。
2. バンパーの再生材料は、トランクトリムなどの新車部品材料として再利用していますが、今後とも用途拡大に努めます。また、富士重工業で開発した「ロール圧延塗膜剥離装置」を用いてバンパーから塗膜を取り除き、材料リサイクルの理想の姿である元のバンパーへのリサイクルも実施していますが、今後さらに拡大展開して行きます。
3. 他産業で発生した再生素材(ペットボトル、古紙等)を、可能なものから順次リサイクルし、自動車部品製造に使用するよう努力します。
III―3 関係事業者全体で取り組む事項への協力
 使用済み自動車のリサイクル活動を促進していく上では、政府を含む関係事業者全体の取り組みが不可欠です。市場でのリサイクル率を高めていくための基盤づくりや整備、使用済み自動車の適正処理徹底に向け検討されている「管理票制度」の導入等、「自工会自主行動計画」に掲げられた項目に対し、富士重工業は、自工会を通して関係事業者への提言・協力を行っていきます。

back.gif