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2009年1月26日

富士重工業 産学連携による人材育成事業に参加
~イノベーションに資するデザイン能力を有する技術者を輩出~

 富士重工業は、宇都宮大学、(株)エスオラボ*、(株)中島電機工業**とコンソーシアムを組み、経済産業省が進める産学連携人材育成事業に参加する。
 この事業は、次世代の産業人材を育成するための教育プログラムを開発するもので、経済産業省が公募し、今年度は全21件が採択されている。
 富士重工業、宇都宮大学等のコンソーシアムのテーマは、報告・連絡・相談といった基本コミュニケーションなど、技術者が産業界で活躍するための基本能力を養成しながら、同時に問題発見力や解決能力を磨くことで、専門知識の俯瞰的な理解ができ、高いデザイン能力を有する技術者の輩出することである。

* 株式会社エスオラボ
本社:山梨県甲府市、代表:長田 佐
事業内容:各種センサシステム、アナログ回路、制御ソフトの開発
** 株式会社中島電機工業
本社:栃木県足利市、代表:中島 健一
事業内容:電子基盤、ハーネス類の製造


 富士重工業が開発するプログラムは、2008年から宇都宮大学で開講した寄附講座「サービスロボット設計」をベースに、ものづくりの基本である「設計図面の作成」を中心に、ものづくりに関する一連の業務を演習に織り込むことで、ものづくりの理解促進、技術力向上を図る。
  具体的には、企業が新入社員に仕事を与えるように、受講者を製品開発チームに編成し、議論、討論方式で、実際の製品開発事例として製品の立案から製作までを行う。

 図面の作成に関しては、CADを使うのではなく、手書きで設計構想図や計画図などを作成することで、設計前の段階から製品のイメージを頭の中で描いた上で、図面に落とし込む能力を養う。
 昨今、電子基盤を用いた設計頻度が高まる中で、電気・電子系の基本について、電子基盤の回路設計などでノウハウのある中島電機工業が企業の目線からプログラム開発を行う。

 また、将来理工系を志す児童を育むため、小学生を対象とした教育プログラムの開発にも取り組む。
 このプログラムは、エスオラボの運営する「科学塾***」のプログラムをベースに、エレクトロニクスやセンサ、太陽電池などの部品を用いて、原理を学びながら実験装置を工作するなど「ものづくり」を通じて科学の基礎知識を学び、自分で考え行動できる能力を引き出すことを目標としている。

*** 科学塾
エスオラボが山梨社の支援を受けて2008年4月から開講している
小学生向け科学教室。


 本事業の推進にあたっては、産学連携人材育成事業委員会を組織し、委員長の同社クリーンロボット部部長の青山 元、教育プログラム開発委員長の宇都宮大学工学部准教授 横田 和隆氏を中心に協議していく。

 宇都宮大学は、本事業によって産業界と連携し、工学部機械システム工学科のカリキュラムを産業界で重視される機械技術者の素質を涵養することに重点を置いて再構成する方針で、これに富士重工業も協力していく。

 富士重工業は、これまで培ってきたロボット技術や、経済産業省とNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「次世代ロボット実用化プロジェクト」で屋外型清掃ロボットを開発・実現。そのノウハウを活かして経済産業省公募の「平成18年度サービスロボット市場創出支援事業」を活用し、屋外型清掃ロボットシステムを開発・実用化している。

 また、2006年の経済産業省「今年のロボット」大賞2006において清掃ロボットシステム(ロボットによるビルの清掃システム)が大賞を住友商事ともに受賞、2007年には連結式搬送ロボット(連結式医薬品容器交換ロボット)がツムラとともに、同2007の優秀賞を受賞した。

 富士重工業は、これまで宇都宮大学に寄附講座を提供し、技術者を講師として派遣してきた。このたびの産学連携人材育成事業に参画することで、日本の産業界にとって有用な人材の輩出に貢献していく。

以上