2019年度の第三者意見のWEB公開は10月中旬、PDF版の掲載は10月末予定です。

第三者意見

後藤 敏彦様

略歴

(NPO)サステナビリティ日本フォーラム代表理事
(一社)グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン理事、(NPO)日本サステナブル投資フォーラム理事・最高顧問、(一社)グリーンファイナンス推進機構理事、認定NPO環境経営学会会長、(一社)レジリエンスジャパン推進協議会理事、など。

環境管理規格審議委員会EPE小委員会委員、環境省//情報開示基盤整備事業WG座長・日中韓環境大臣会合(TEMM)付設日中韓環境産業円卓会合(TREB)団長・環境コミュニケーション大賞審査委員会委員・環境報告ガイドライン2018年版 解説書等作成に向けた検討会委員、民間事業者の気候変動適応の促進に関する検討会委員、など。元GRIボードメンバー。東京大学法学部卒業。

2018 CSRレポートを読んで

自動車業界は今、未曽有の不確実性の時代の只中にいるといって過言ではありません。 諸外国での化石燃料使用車の販売禁止動向は、リスクという不確実性の問題ではなく現実となってきています。こうした中で様々な不祥事が発生しました。企業風土の刷新は一朝一夕には行えませんが、これらの重なるピンチをチャンスに置き換える絶好の機会として課題解決に活かされることを強く祈念します。
そのために絶対的に必要なことの一つは、中長期のビジョン、ありたい姿の確立です。CSR重点6領域は、その前提であると捉えました。更にその前提の前提としての設計思想の変更が必要のように感じられます。日本の多くの製造業での設計思想はproduct-outが主流のように思われますが、基点を社会実装においたoutside-inへの変更です。重点6領域のSUBARU固有の対応領域はoutside-inとの親和性が高いと思われますので、徹底的に実践していただきたい。SDGs≒社会課題の徹底活用も一案です。またダイバーシティこそ真のイノベーション=創造的破壊・新結合の源泉です。
その意味で新中期経営ビジョン「STEP」は方向性などたいへん良いと思いますが、目標年2025年はあまりにも短すぎると考えます。定性的表現で構わないのですが、例えば創業150周年のありたい姿、そこからバックキャストした2040年のありたい姿などの策定を期待したい。それを策定するには若者、女性、外国人等も入れたダイバーシティが重要と考えます。先行き、金融安定理事会(FSB)のタスクフォースの勧告に応えていくためにも中長期ビジョンは必須と考えます。
カバナンスの中でリスク・マネジメントが少し弱いと感じました。リスク・マネジメントは、リスクの発見・評価・対策の3ステップですが、行われているリスク管理等は対策ステップであり、定期的な発見・評価ステップがなされているかがよく見えません。
環境の取り組みレベルは相当なものですが、事故件数等が増えているのが気になります。「自分の仕事総点検」の中でしっかり点検されることを期待したい。また、環境リスク・マネジメントとEMSが一体化しているのか、がよく見えません。
CO2削減で2030年目標を掲げられたのは良いですが、更に進んでSBT認証やRE100への署名なども検討されることを期待したい。海外から始めるのも一案です。
3Rの取り組みはほぼ極限まで来ていますが、メインはアウトプットである廃棄物のゼロ化です。欧州のサーキュラー・エコノミーはインプットでの資源効率性を重視しています。このキーワードを取り入れることの検討も期待します。
グリーン調達ガイドラインはサプライヤーCSRガイドラインと一体化してCSR調達ガイドラインとすることを検討すべきと考えます。
AI/IOT 推進は進められていると推察しますが、情報がありません、プロアクティブな取り組みとして抜本的環境対策にもなり得ると考えますので記載を期待します。また、自動車への搭載は、将来は倫理課題とも関連することが想定されますので「AIと倫理」委員会等の検討も必要と考えます。
人材、ダイバーシティ関連の取り組みも評価できますが、女性採用数の抜本的強化、ダイバーシティ・マネジメント能力の向上も重要ということを付言しておきます。

第三者意見をいただいて

弊社「CSRレポート2018」へのご意見を賜り、ありがとうございます。

当社は、今後重点的に取り組むべきCSR重点6領域を定め、CSRへの取り組みを強化していくことを表明しました。この過程を通じて、SUBARUが社会から何を期待され、何を大切にすべきかを改めて考える良い機会を得ました。
中期経営ビジョン「STEP」にもこの考えを反映させ、CSRの強化を通じて、高い社会的信頼が得られるよう十分配意するとともに、社会の豊かさの向上に対して当社の事業が的確に貢献できるよう、経営陣と従業員が一丸となって、歩みを進めていくこととしております。

今般、このSUBARUグループのCSR重点6領域の選定、考え方について一定のご評価をいただきました。その一方で、足下高まりつつある社会的課題を正面から受け止め、様々な角度から、目標設定やアクションに関する質的な向上を不断に図るべきとのご指摘をいただきました。
なかでも、ダイバーシティに関する一層の取り組みの強化につきましては、市場の多様性によって当社のビジネスが成立している実態からすれば、まさに核心的な意味合いを持っていると自覚しており、強力に推進していきたいと考えております。
さらに、環境の取り組みに関しましても、気候変動が世界的な最重要課題のひとつであると認識しており、既に着手をしております新たな実行計画である「環境アクションプラン」の策定をはじめとして、中長期的視野を持ちながらも適切に取り組んでいきたいと考えております。
これらを含め、ご指摘いただいた内容については、様々なステークホルダーのご意見を踏まえつつ、検討したうえで、出来るところから対応して参りたいと考えております。同時に、ステークホルダーの皆様のご理解も十分にいただけますよう、引き続き、適時適切な情報開示にも努めてまいります。

自動車業界は、今100年に一度の大変革の時期を迎えています。今後、環境の変化や社会の期待を敏感に捉え、CSRの取り組みを推進し、持続可能な社会に貢献するとともに、信頼される企業を目指してまいります。

株式会社SUBARU
取締役会長 CSR委員長
吉永 泰之