※ 以下のページは2016年8月発行のCSRレポートを掲載しているため、旧社名(富士重工業)のままとしています
特集1 スバルが追求する
世界最高水準の安全性能

スバルは、10年先を見据えた新プラットフォームの導入や
「アイサイト」のさらなる進化によって、世界最高水準の安全性能のより一層の向上を図り、
自動車会社の社会的使命でもある「交通事故ゼロ」の実現を目指しています。

スバルが追及する究極の安全性

交通事故「ゼロ」の実現を目指して全方位から安全性能を追求。

スバルは、「誰でも、いつでも、安心、快適に、運転を愉しんで欲しい」という想いから、安全性を最優先させたクルマづくりに取り組んできました。基本コンセプトは、「ALL-AROUND SAFTY」——すなわちあらゆる環境下で安全性を確保することにあります。その実現に向けて、スバルでは「0次安全」「アクティブセイフティ」「プリクラッシュセイフティ」「パッシブセイフティ」の4つの方向性から全方位の安全性を追求しています。

「0次安全」とは、クルマの形状や操作性といった初期的・基本的な設計の工夫によって、安全性を高めようという考え方です。スバルでは、良好な視界設計をはじめ、操作パネルやシートデザインなど細部にまで工夫を凝らし、ドライバーが安心・集中して運転できるクルマづくりに注力してきました。

「アクティブセイフティ」は、起こりうる事故を想定して事故発生を未然に防ごうという安全技術です。スバルは、「走りを極めると安全になる」という考えに基づき、低重心の「水平対向エンジン」や「シンメトリカルAWD」といった独自技術を駆使して、ドライバーが意図した通りに「走る・曲がる・止まる」というクルマの基本を徹底的に磨き、誰もが安心して運転できる車両性能を追求しています。

「プリクラッシュセイフティ」とは、危険を予知・察知してドライバーの運転操作をアシストすることで、衝突の被害を軽減する技術です。スバルはこの技術の可能性にいち早く着目し、開発を積み重ねてきました。その成果である「アイサイト」は、ステレオカメラから得られる情報をもとに、前方の状況を適確に判断。エンジン・トランスミッション・ブレーキと連携を図ることで、危険回避もしくは被害の軽減、ペダル踏み違いによる誤発進の抑制、長距離ドライブの疲労軽減など、さまざまなシーンでドライバーの安全運転を支援します。

「パッシブセイフティ」は、万一の衝突事故において、衝撃から人間を守る技術です。スバルは、独自の「新環状力骨構造ボディ」や乗員に衝撃を与えないためのエンジンレイアウトなど、乗員の保護はもちろん、歩行者との衝突も視野に入れた衝突安全性能を追求してきました。その安全性能は国内外の衝突安全評価において高い評価を得ています。

スバルは、今後もこれら全方位の安全性能をさらに進化させることによって、自動車メーカーにとって究極の目的である「交通事故ゼロ」の実現を目指します。

安全思想と注力4分野

未来の安全を見据えた
「スバルグローバルプラットフォーム」

車両の走行安定性を飛躍的に高め、世界トップ水準の危機回避性能を実現。

スバルは、2016年に発売する次期インプレッサ以降、独自開発する全てのクルマに、2025年までのクルマの進化を見据えて新開発した「スバルグローバルプラットフォーム」を採用していきます。クルマの基本構造であるプラットフォームを全面刷新する大きな目的の1つは、スバル車の大きな特長である世界最高水準の安全性能をさらに進化させていくことにあります。

例えば、スバル車は、「水平対向エンジン」による低重心パッケージや「フルタイムAWD」などの独自技術を活かして、どのような環境・天候においても安定した走行性能を実現していますが、こうした「アクティブセイフティ」性能をさらに高めるには、車体の剛性アップや足回りの強化などが大きな効果を発揮します。そこで新プラットフォームでは、「車体・シャーシー剛性の大幅向上」や「一層の低重心化」、サスペンションの設計見直しなどによる「足回りの進化」を図りました。その結果、当社試験による危険回避性能(緊急時にとっさのステアリング操作で安全に危険回避できる速度)は、現行車の84.5kmに対し、新プラットフォームを採用した次世代車は92.5kmと欧州プレミアムスポーツ車に匹敵するレベルに達しています。

アクティブセーフティ

衝撃吸収エネルギーを40%向上させ衝突安全性能のさらなる進化をリード。

スバルは、「スバル360」の時代から独自に衝突安全試験をスタートするなど、常に時代の一歩先を行く衝突安全性能を追求してきました。その結果、現行のスバル車の衝突安全性能は、日本のJNCAP、米国のIIHS、欧州のNCAPなど、主要な第三者機関による性能評価においていずれも最高レベルの評価を受けています。

「スバルグローバルプラットフォーム」の採用は、こうした「パッシブセイフティ」のさらなる性能向上にも大きく寄与します。新プラットフォームは、「車体・シャーシーの剛性向上」に加え、「フレーム構造の最適化」「荷重伝達経路の多重化」「高強度材の採用拡大」などによって車体強度を飛躍的に高め、現行車に比べて衝突時の衝撃吸収エネルギーを約40%向上させました。また、将来、よりシビアな衝突や幅広い体型の乗員・歩行者の安全確保にも対応できるように、一層の高強度化や非鉄材の採用拡大などによって、さらに40%程度の性能向上を見込める設計となっています。

スバルでは、これからも新プラットフォームの採用や独自の安全技術の開発などによって、世界最高水準の衝突安全性能をさらに進化させていきます。

多様化・複雑化する衝突形態

「アイサイト」が切り拓く未来の安全

交通事故ゼロの実現に向けて、“ぶつからないクルマ”を追求。

交通事故を無くすことは、自動車メーカーにとって究極の目標であり、重要な社会的使命でもあります。創業以来、安全性能を最優先させてきたスバルでは、この“事故ゼロ”実現への第一歩として、危険を予測して被害を軽減する「プリクラッシュセイフティ」の可能性にいち早く着目し、独自の運転支援技術の開発に取り組んできました。

その成果が、プリクラッシュブレーキシステムの先駆けであり、“ぶつからないクルマ”の代名詞にもなった「アイサイト」です。「アイサイト」は、人間の「目」にあたるステレオカメラと、「頭脳」にあたる3D画像処理エンジン/画像認識ソフトウェア/車両制御ソフトを搭載したマイクロプロセッサーを備え、進行方向にあるクルマや歩行者、自転車、路面の白線などを正確に認識します。そして危険を察知した際には、警告表示やプリクラッシュブレーキの作動などによって衝突回避または被害軽減を図ります。

さらに2014年6月に導入したVer.3では、ステレオカメラのカラー化や視認角・視認距離の拡大、3D画像認識エンジンの性能向上などを図り、より多くの対象を迅速・正確に認識できるようになりました。その結果、Ver.2(前方車両との速度差0~30km/h)に比べ、さらに広い車速域(同0〜50km/h、歩行者の場合は約35km/h)においてプリクラッシュブレーキが作動するようになりました。また、AT誤発進抑制制御機能が前進だけでなく後進にも対応したほか、高速道路走行時の車線中央維持や車線逸脱抑制を実現するアクティブレーンキープ機能を搭載するなど、安全で快適なドライブを実現する多彩な運転アシスト機能を提供します。

現在では多くの自動車メーカーがプリクラッシュブレーキなどの運転支援システムを採用していますが、多様な道路環境を再現したテストコースなどを活用して、早い段階から実用性・信頼性を徹底的に磨いてきた「アイサイト」は、国内外の予防安全性能評価においていずれも最高ランクの評価を獲得しています。実際、交通事故総合分析センターのデータを基にした独自算出では、「アイサイトVer.2」搭載車は、人身事故が約60%低減、クルマ同士の追突事故は約80%低減されるなど、実社会における交通事故防止に大きな効果を発揮しています。

アイサイト装着率

アイサイト事故低減データ

「アイサイト」の進化を加速し人間中心の自動運転を目指す。

現在、国内外の自動車メーカーやIT企業による自動運転技術の開発が活発化しています。「人を中心としたクルマづくり」を原点とするスバルにとって、自動運転技術を開発する目標は「人の代わりにクルマに運転させる」ことではなく、あくまでも「交通事故をゼロにする」ことにあります。そんな技術思想のもとに、これからもクルマの基本的な安全性能向上や「アイサイト」のさらなる高性能化・多機能化などを通じ、実用的な自動運転・運転支援システムを多くのお客さまに手の届く価格帯で提供していきます。

具体的な計画としては、2017年から「アイサイト」に自動車専用道路での渋滞追従機能を実用化します。これは高速道路などが渋滞した際、「アイサイト」で先行車の動きやカーブの状況などを把握してアクセル・ブレーキ・トランスミッション・ステアリングなどを自動制御し、同一レーン上で速度域0km/h〜65km/hの自動運転を実現するものです。さらに2020年には、「アイサイト」にレーダーによるオートパイロット機能を追加し、車線変更を含めた自動車専用道路での自動運転を実用化する計画です。

スバルでは、こうした事故につながりやすい状況をターゲットにした運転支援機能を優先的に開発することによって、今後もスバル車の事故回避性能を一層向上させていきます。そして「事故ゼロ」を追求するのはもちろん、乗る人に「安心と愉しさ」を提供するスバルらしい自動運転の実現を目指します。

自動車専用道路の渋滞時追従機能(TJA:トラフィック・ジャム・アシスト)

高速道路自動運転(オートパイロット)