「風通しの良い会社」になるために

2018年7月に発表したSUBARUの中期経営ビジョン「STEP」では、”Change the Culture”をスローガンに、「組織風土改革」を重点テーマに設定しました。そのための取り組みの一つとして真に「正しい会社をつくる活動」の推進を掲げてきました。
この1年間で、「自分の仕事総点検」を実施し、部門横断的な課題や本部での解決が難しい課題については「全社課題」とし、経営陣が改善に向けた議論や検討を重ね、その改善に取り組んできました。真に「正しい会社をつくる活動」の中心となっていた「正しい会社推進部」は2019年4月1日付で機能を会社の中枢である経営企画部に移管したことで、全社の「組織風土改革」を恒常的に推進していく基盤としています。
まず、経営層が「もっと現場に寄り添う」姿勢を持つために、誰もが現場に関心を持ち、現場に赴き、現場視点で考える習慣を身につけることが重要です。さらに、課題解決の壁にぶつかったときには、社内で議論するだけでなく、他社の事例など「外から学ぶ」ことも大切だと考えます。
組織風土を変えるには、経営陣をはじめマネジメント層自らが意識・行動を変えることが必要です。上司と部下がしっかりと向き合い、コミュニケーションを強化することで、より「風通しの良い何でも言える会社」を実現することができると考えます。真の意味で「正しい会社」をつくっていくために、引き続き、覚悟を持って取り組みを推進していきます。

目指す姿

「お客様・社会・従業員をはじめとするステークホルダーから信頼される会社」の実現を目指します。そのためには「事業・業務・行動が正しく行われていること」「会社としての活動が、社会から認められ、支持されること」「全従業員が、誇りを持って働き、成長できること」の3つが不可欠だと考えています。同時に、従業員一人ひとりが元気で闊達な、縦横のコミュニケーションがしっかりと取れた、「何でも言える」組織風土への改革を果たします。

2018年度の主な活動内容

目指す姿を実現するために、2018年度は以下の2つをゴールと定め、全社で取り組みました。
①全社で課題を洗い出し、正しく業務が遂行できる状態になること
②「風通しの良い何でも言える会社」を目指し、全従業員が「職場の風土が変わってきた」と感じること


全社的な取り組み
取り組み項目 実施内容
各本部の「正しい会社をつくる活動」 全本部長が「自本部の課題とその改善策」を策定し、リーダーとして活動を推進
全社一斉「自分の仕事総点検」 全従業員が自分の仕事を洗い出し、職場メンバーと改善策を話し合う
全社一斉「法令・コンプライアンス違反調査」 各職場でコンプライアンス課題を集約し、優先順位を付け改善に取り組む
社内報「秀峰」別冊「正しい会社通信」の定期発行 各本部の活動を見える化し、全社で共有しながら活動の活性化と意識醸成を図る
「従業員コンプライアンス相談窓口」の開設 認知拡大と利用の心理的ハードルを下げるために名称を変更
コンプライアンスマニュアル・エッセンシャル版の発行 コンプライアンス意識浸透を図るべく、全グループ従業員に配布
規範意識強化教育 再発防止策の一環として、自動車部門全職制を対象に研修を実施
役員講師による全社コンプライアンス研修 役員が「自身が考えるコンプライアンス」を講演
役員合宿での「組織風土改革」議論 全役員で「組織風土改革」を徹底議論。役員自身が変革し、本部を変えていく
従業員意識調査結果の活用 追加質問を設定し、活動全体のPDCAを回す
各本部の主な取り組み
部門 取り組み内容
国内営業本部
  • 「正しい会社をつくる活動」、「自分の仕事総点検」について部長クラスによるPDCAを毎月行い、取り組みを着実に推進
海外第二営業本部
  • 本部内勉強会を拡充し、本部員全体の「考える力」の前提となる実務知識の再徹底・底上げを実施
    -輸出業務ならびに海外特約店対応における留意事項の再徹底
    -SUBARU Way of Sales & Marketing(スバルらしい販売・マーケティング)の習熟など
原価企画管理本部
  • 本部内の情報共有促進と業務効率化
商品企画本部
  • 全員参加による規程見直しを実施
  • 業務プロセスの最適化
  • 本部内庶務業務の運用体制見直し
調達本部
  • 本部員全員参加の“コミュニケーション研修会”を実施
ワーキンググループの様子(商品企画本部)
全員参加の“コミュニケーション研修会”の様子(調達本部)

「“Change the Culture” 組織風土改革」

従業員それぞれの思いや問題意識、やってみたいことなどを自由に言い合える、より「風通しの良い会社」をつくるため「まずトップから変わっていく」ことを全従業員に向けて宣言しました。そして従業員一人ひとりにも声を上げていく必要性を伝え、全従業員が縦のコミュニケーションを大切にし、より「風通しの良い会社」を目指すことを改めて共有し合いました。


「“Change the Culture” 組織風土改革」でやるべきことを「正しい会社通信」(社内報)で全社に発信

従業員意識調査結果

毎年実施している全正規従業員を対象とした意識調査に、真に「正しい会社をつくる活動」や、より「風通しの良い会社」についての項目も加え、活動推進への理解や取り組み状況、その効果などについて確認をしました。この1年で、活動の意義や目的についての理解が着実に広がった一方、活動を通じた変化を実感できているという声は、まだ一部にとどまっています。今後も、さらに活動を継続・加速させていきます。


役員が本気で考える「組織風土改革」

2019年3月、新任役員を含む28人の役員が一堂に会し、「組織風土改革」をテーマとしたワークショップを実施しました。社外ファシリテーターによる進行のもと、各自が直面している課題を共有し、組織風土改革の重要性について改めて話し合いました。また、経営トップにしかできない役割として、「ものが言い合える空気のつくり方」についても学びました。グループに分かれ、熱のこもった議論を重ねました。

役員一人ひとりの「行動宣言」

上記ワークショップの締めくくりとして、役員一人ひとりが、組織風土改革のために自分自身が何を実行していくのかを決意し宣言。それを各本部や職場に戻ってからメンバーへ共有し、実行を開始しています。「トップから始め、上から順に変わる」を合言葉に、全役員が本気で風土を変えるために、自らの役割を果たしていきます。

役員ワークショップの様子

2018年度の真に「正しい会社になる」活動の総括

「お客様・社会・従業員をはじめとするステークホルダーから信頼される会社」の実現を目指し、2018年度は全社で真に「正しい会社をつくる活動」に取り組んできました。1年経過した時点で総括をして振り返り、次年度の活動につなげるべく課題を明確にしました。


今後に向けて

2018年度、「お客様・社会・従業員をはじめとするステークホルダーから信頼される会社」の実現を目指し、全社で「正しい会社をつくる」活動に取り組んできました。会社は着実に変わってきましたが、一方でこれを継続・持続していくことが必要であり、また組織風土改革については、まだ道半ばの状況です。
2019年度、常に信頼される会社であるために、中期経営ビジョンの重要テーマとしても掲げている「組織風土改革」を、社長直下のもと経営層と直結する部署である経営企画部が旗振りを担い、全社に向けて決して手を緩めず強力に推進していきます。
昨年度の活動で良かった点をしっかり継続し、悪かった点は改良することで、「やりっぱなしにしない、風化させない」をモットーに、全社の他活動とも連携し、役員・従業員が一丸となって取り組み、全従業員が「風通しの良い会社」だと感じられることを目指していきます。

品質改革への取り組み

品質向上への取り組みは中期経営ビジョン「STEP」の最重要テーマです。お客様をはじめとするステークホルダーの皆様からの信頼を取り戻すために、組織風土改革、品質意識の醸成を下支えとしてSUBARU車の商品企画から生産にいたる品質造りこみのすべてのプロセスを見直す品質改革を推進しています。

CQOメッセージ

専務執行役員 CQO
大崎 篤

SUBARUの「安心と愉しさ」、その根幹は「品質」であり、「品質はお客様に対する最も基本的な責任の一つ」です。「品質」には、商品の品質から、お客様への対応品質、従業員一人ひとりの日常における業務品質、そして企業活動の質そのものまで広く定義することができ、これらを着実に高めていくことが大切です。お客様の生活に寄り添い、人生をより豊かにする高品質な商品づくり、サービス向上に邁進するため、SUBARUグループ全員が何にも増して「品質が最優先」の価値基準を醸成する先導役を果たしていきます。
一方で、エアバッグをはじめとするリコールやサービスキャンペーンを継続して発生させてしまい、株主様、お客様をはじめ多くのステークホルダーの皆様にご心配とご迷惑をお掛けしています。また、米国市場における第三者機関による品質評価にて、着実な改善は図ってきましたが、残念ながら他社との比較において相対的に品質評価が低下してしまっている状況にあり、極めて大きな課題と認識しています。


これらの問題・課題への対応として、新車開発では、開発の各段階における節目管理を一層強化し、徹底して過去不具合の再発防止を図りながら、リコールやサービスキャンペーンの撲滅を目指します。また、お客様のご使用状況を踏まえた、分かりやすく、使い勝手の良い、高品質の商品づくりを進めると同時に、コールセンターの拡充や対策部品・補修部品のスムーズな供給体制の構築、サービス作業の効率的な運用に努めるなど、お客様が商品をご使用になれない時間を最小限に留め、満足度の向上を図っていきます。
中期経営ビジョン「STEP」における最中核は、「品質改革」であり、そのために、商品の企画段階から、サプライヤーの部品調達、工場における製造・出荷にいたるすべてのプロセスで改革を実行しています。見直しにあたっては、これらのプロセスに関わる各部門において、品質が基軸である考え方にぶれがないように、CQOの権限も強化して横串を刺し、商品づくりにおける品質マネジメント体制を徹底して強化します。
また、品質に関わる技術開発用の設備、例えばシミュレーターをはじめとする制御関連の評価設備、温度や気圧などの変更が可能な環境評価設備や耐久評価設備などに投資を行います。製造においては、これまで生産能力を上げる設備投資が中心でしたが、今後は品質を底上げするため老朽設備更新やトレーサビリティ強化などへIoTも活用しながら重点的に実施していきます。人的投資も含めて、品質改善に寄与する部分については積極的に投資を行い、「お客様が安心して長く使い続けることができる品質」No.1を目指していきます。

品質最優先意識徹底の取り組み

「品質最優先」に向けた従業員一人ひとりの意識と行動の変革を促すため、様々な取り組みを続けています。その代表が2019年4月に実施の “品質方針” 改定です。

品質方針

私たちは何より品質を大切にしてお客様の信頼に応えます

  1. お客様に安心して長くお使いいただける商品をお届けします
  2. お客様の声に常に耳を傾け、商品とサービスに活かします
  3. 法令・社会規範・社内規則を遵守し、お客様に信頼される仕事をします

2019年4月改定

改定にあたって重視した事は①「何より品質が大切」という強いメッセージを伝え、②全活動のベクトルを「お客様」に向けて揃え、③分かりやすく、従業員一人ひとりに働きかけ、意識と行動の変革を促し、④コンプライアンス重視を明記。この方針を経営トップ主導のもと、全従業員が日々の業務の中で活用していきます。

この品質方針改定に加えて以下の諸活動を継続し、品質改革の底支えを行なっていきます。

  1. 社内報「秀峰」へ品質改革関連記事を定期的に掲載する啓発活動
  2. 2018年度から11月の品質月間に全事業所従業員とお取引先様を対象に、SUBARUの品質状況やお客様の声を直接伝える「品質キャラバン」を開催
  3. 2019年度から従業員の階層別教育に品質意識醸成講座を追加

これらの活動を通じて、従業員の「品質最優先」意識の醸成に取り組んでいます。
こうした取り組みによって、従業員の意識向上は着実に進んできたと考えていますが、これを一過性のものに終わらせるのではなく、しっかりと定着させていきます。

「品質最優先の徹底に向けて」

2019年6月、SUBARU WEBサイト内に「品質最優先の徹底に向けて」と題する特設ページを開設しました。一連の完成検査問題に関する事実と経緯の詳細、現状をご説明すると共に、現場の設備やシステムの変更など、同じ問題を繰り返さないために進めている対策についてお伝えしています。また、組織風土改革をはじめ、再発防止と「品質第一の徹底」のための全社的な取り組みについてもご説明しています。

品質最優先の徹底に向けて

SUBARUWEBサイト
「品質最優先の徹底に向けて」

●製造現場を変えていく!

代表取締役副社長
製造本部長兼群馬製作所長
細谷 和男

自動車メーカーであるSUBARUグループにとって、「製造」は開発、販売と並ぶ事業の三本柱の一つです。私たち製造本部の未来への変革なくしては、SUBARUグループの成長はあり得ないと考えています。
その上で、重要なポイントは以下の4点だと考えています。


  1. どんな場面においても、「現場・現物・現実」を正確に捉えた本質的な取り組みを行うこと。
  2. 守りに入ることなく、常にチャレンジを続けること。それも、表面的なものや無謀なものではなく、適切なチャレンジであること。
  3. 一つひとつの仕事を適切にこなすだけでなく、全体を俯瞰したうえで、しっかりと計画を立てて動くこと。
  4. 自分たちの「あるべき姿」を描いたうえで、本当に必要な仕事は何かを見極めながらスピードを上げて行くこと。

変革とは上から成し遂げるものですから、まずはマネジメント層がこうした点を意識しながら、自分自身を変えていく必要があります。そこからリーダーシップを発揮しながら全従業員を巻き込むことで、組織一丸となってのパワーを生み出すことができると考えています。
もちろん、一朝一夕にできることではありません。しかし、水面下でしっかりと取り組みを進めていれば、芽が出てきたときには大きな変化が生まれる。そのことを胸に刻みながら、製造本部、そしてグループ全体の変革に向けての取り組みを継続していきます。

●お客様、社会からの信頼回復に向けて

執行役員 国内営業本部長
佐藤 洋一

一連の完成検査問題では、お客様はもちろん、お取引先様をはじめ広く社会の皆様に、長らくご心配とご心痛をお掛けすることになりました。
国内営業本部では、メーカーでお客様に一番近い部門として、お客様の声を社内に届けると共に、お客様を向いて仕事をすることを常日頃より徹底してきましたが、さらに「本当にお客様のためになっているか」を判断軸に、率直に意見が言い合える、より風通しの良い職場作りを強力に推進しています。
一方、直接お客様と接しているのは販売特約店の“現場”です。今まで以上に“現場”に寄り添い、販売特約店とのコミュニケーションを深めて、販売特約店がしっかりとお客様対応ができるようメーカーとしてサポートに取り組んでいきます。今年に入り、全国の販売特約店の幹部・店長クラスおよそ250人にSUBARUの工場見学を実施しました。販売特約店のサービススタッフにもメーカーの車両開発を経験してもらう研修を始めましたが、このような取り組みも販売特約店のお客様対応の一助になるのではないかと考えます。
お客様に「安心と愉しさ」をご提供し、お客様の期待に応えていくために、メーカーと販売特約店の全従業員が一丸となり、お客様に向き合い全力を尽くしていきます。