第三者意見

後藤 敏彦様

略歴

NPO法人サステナビリティ日本フォーラム代表理事
認定NPO法人環境経営学会会長、NPO法人日本サステナブル投資フォーラム理事・最高顧問、(一社)グリーンファイナンス推進機構理事、(一社)グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン理事、など。

環境省事業//EA21改訂検討作業部委員会委員/環境情報開示基盤整備事業WG座長/環境コミュニケーション大賞審査委員/日中韓環境大臣会合 (TEMM)付設環境産業会議(TREB)団長など複数委員会の座長・委員を務める。ISO/TC207エキスパート。元GRIボードメンバー。東京大学法学部卒。

2017 CSRレポート 環境を読んで

昨年の第三者意見でパラダイム・チェンジ対応と長期ゴール「ありたい姿(Goals, Aspirations)」の策定を述べさせていただきました。2017年に入り6月以降、英仏での2040年からガソリン・ディーゼル車の販売禁止などパラダイム・チェンジが現実の事象として発現し始めました。自動車業界はビジネス・モデルの根本からの見直し、即ちイノベーション(創造的破壊)を図らない限り将来的な存続は不可能というところに来ていると考えます。
2008年のリーマンショック後、G20が主導して各国の財務省、中央銀行等が参加する金融安定理事会 (FSB)が設置されました。そのFSBが気候変動の産業界に与える「リスクと機会」、ひいてはそれが金融セクターに与える影響は看過できない状況に来ているとして、2016年1月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)を立ち上げました。TCFDは2017年6月に最終報告書「勧告」を策定し、7月のG20に提出しました。勧告では、金融セクターは事業会社に対してシナリオ分析情報等の開示を求めていくこととしています。
シナリオ・プランニング/分析はまさに戦略策定であり、少なくも直ちに本社の経営企画・財務・CSR環境・IR・調達部門等に横串を刺し、必要に応じ外部識者等も入れて研究・検討を始めるべきです。残された時間は3~4年であり、待ったなしの状況と考えます。
「『大地と空と自然』がSUBARUのフィールド」と環境方針を改定されました。一般論として、事業活動がまずあって、その外部不経済(環境破壊)をできる限り内部化するというのがこれまでの世界の環境対策の中心でした。今回の貴社の方針は「企業は環境の中の一員」ということを打ち出しておられると受け止め、素晴らしいと思います。
EMSが従来パターンとしては完成形ということを昨年度に述べ、ISO14001:2015年版への切り替えと共に経営マネジメントシステムへの統合の必要性を述べました。2020年度までの自主取組計画の中で検討されるのでしょうか。そのあたりの見える化を期待したい。
環境取組は実に様々なことを行っておられ素晴らしいですが、緩和策としてRE100(再生可能エネルギー100%)の検討を期待したい。日本は様々な制約からREの普及・コスト低減は遅れていますが米国では2020年代に太陽光は系統電力より安くなる可能性もあるようですので、米国での先行の検討をお勧めします。適応策はシナリオ分析で検討されます。
SUBARUに比べ海外グループのエネルギー使用量は少ないのに、CO2排出量が多いのはなぜか、分析が必要と考えます。
欧州では多様性の欠如はイノベーションに弱いという理由から、上場大企業に対しては取締役会のダイバーシティ方針を策定公表することが義務化されています。社内から例えば女性役員を継続的に一定数輩出するには、今取り組み始めても20年以上かかると思われます。当面、少なくも環境・CSRやリスク関係の各種の委員会や意思決定に女性の活用を期待します。最後に報告書は字も大きく読み易く編集されています。

第三者意見をいただいて

昨年に引き続き弊社「CSRレポート2017 環境」へのご意見を賜り、ありがとうございます。

昨年4月に改定した弊社の環境方針において、「企業は環境の中の一員」ということを打ち出したことに関しましてご評価をいただきました。ISO14001の改定も背景の一つでありますが、より環境への経営の感度を上げていくことを目的として、当社環境方針を改定し、経営と一体となった環境経営を目指すこととしているところでございます。

気候変動は今や世界的な最重要課題であり、当社の事業活動や商品とも密接に関係しております。当社に於いてもこれを真摯に受け止め、より安定的かつ強靭でサステナブルな経営を実現するため、社内外の意見を反映しつつ、可能な限り能動的な取り組みとなるよう努力してまいりたいと考えています。

さらに、こうした当社の取り組みにつきまして、本レポートを通じ、様々なステークホルダーの皆さまにご理解をいただくよう配意していきたいと考えております。

今後とも、より社会の持続性への貢献を継続していくとともに、ご指摘頂きました要検討事項を含め、具体的な活動を推進してまいります。

2018年2月

株式会社SUBARU
取締役常務執行役員
環境委員会委員長
加藤 洋一